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自己紹介をしてみよう

 ダイニングのような場所に案内され、食事が振る舞われる。

「あのさ、今からパーティーを組まないといけないんだけど、お互いの事を知っていないといけないだろうから、自己紹介しようよ。」

 爽やか系イケメンが場を仕切る。

 教会側としても、望んでいた展開だろうな。

 ボッチ展開だけは避けたいんだけど、どうみてもボクが一番年下だろうし。

 それに、人と話すのは苦手なんだよな。

 一通り、自己紹介が済んだ。

 ボクは一言だけだったが。


「なあ、みんな、ここに来る前の記憶はどれくらいある?俺はほとんどないな。家族の顔も思い出せねえ。」

 チャラ男、瑛太が聞いてみたかったことを聞いてくれる。

「辛うじて、名前と年齢ぐらいかな。俺も家族構成が思い出せない。」

 三十路ぐらいに見える男が答える。

「私は苗字も分からない。」

 小柄な女の子が呟く。

 ボクと同じぐらいの身長ではあるが、その顔にそこまでの幼さはない。

 成人しててもおかしくはないはずだ。

 胸の辺りの成熟度はかなりのものだし。

 ステータス公開の際に苗字と年齢が空白で表示されていなかったな。

「個人差はあるけど、大体、皆んな同じような状況みたいだね。」

 爽やかイケメンが勝手に締めに入る。

「それで、パーティー編成なんだけど、魔王と戦う必要があるだろうし、レベル上げのために冒険にも出なくちゃならないみたいだから、基本的には攻守・回復のバランスの取れた編成にしていきたいんだけど。」

「俺は男女混成は御免だな。私情を挟むと後々面倒だ。」

 ツッコミイケメンの意見に同調する人間もいる。

 確かに、惚れた腫れたでパーティーが崩壊してしまっては、元も子もない。

 ただ、男女6人ずつで、3つのパーティーを組まないといけないので、男女混成パーティーが一つはできてしまう。

「あと、非戦闘ジョブの人については、巫女さん達も言っていたとおり、カレン王国に引き取ってもらうようにしていった方が良いと思う。」

 爽やかイケメン、遥人だ。

 カレン王国は島国であるために、魔族との衝突が極めて少なく、海軍がメインであることから、使徒、勇者に戦力的なものを求めておらず、伝統的に非戦闘職種を招いて技術や産業の発展に注力する傾向があるとのことだ。

 この発言で商人や薬師のジョブを持つ人間達はカレン王国用のパーティーを組むように仕向けられた。

 中途半端なボクはどうなるのか。

 チートで無双できないなら、生産系スキルのパーティーでまったりするのも良いかも知れないけど、ボクは『付与魔法師』。

 生産系スキルパーティーに入れば未来は無い。

 しかし、今の流れでソレは避けられないような気がする。


 結局、爽やかイケメンが仕切って、夕食時まで検討して、パーティー編成を確定するということに決まった。

 ボクらを引き取る各国には神託のあった一週間前には連絡を行っており、明日の朝イチには各国の要人が神殿に来て、どのパーティーを引き取るか決めるらしい。


 明日は要人が来るため、ボクらにも風呂が振る舞われる。

 普段は沸かさず、特別なイベントがある時だけらしい。

 特に石鹸は非常に高価で、貴重なものらしく、無駄遣いしないよう何度も注意された。

 装備や衣服は、ボクらを引き取る国が用意するらしく、しばらくは貫頭衣のままであるが、洗ってはくれるらしい。

 ボクは手早く石鹸で身体を洗い、すぐにベッドに潜り込んだ。


 翌朝、早くから洗い立ての貫頭衣が準備され、着替えてから食堂へ向かう。

 既に女子組はテーブルについていた。

 お誕生日席には、リムルが座っている。

「皆さん、席にお着きください。」

 大人しく席に着くと、再びリムルが口を開く。

「本日の午後から、皆様をお引取りいただく、各国の要人たちがこの神殿に来られます。それまでにパーティーを組んでおかないといけません。」

「ええ、食事が終わり次第、パーティー編成を行う積もりです。」

 遥人が勝手に話を進めていくが、誰も気にしていないようだ。


 食事が終わると、テーブルの上に札が並べられていく。

 札には名前とジョブが記載されており、パーティー編成の検討に使えということらしい。


  如月 遥人:戦士

  藤堂 蓮 :剣士

  木村 達也:魔法使い

  町田 大輝:僧侶

  梅田 優 :付与魔法師

  斉田 瑛太:盗賊

  葉月 芽衣:魔法使い

  牧田 栞 :狩人

  桜田 陽菜:商人

  こころ  :薬草使い

  横峰 菜月:精霊使い

  竹田 美羽:鍛冶師


「リムルさん。ちょっと聞いときたいんだけど、俺ら、魔王を倒すためにレベル上げするために冒険とかしないといけないんだよな。」

 お、チャラ男さんはやっぱり聞きたいことを押さえてくれている。

「冒険ですか。パンティア王国については、その方針みたいなのですが、カレン王国とガルディア帝国については、あまり奨励していないようです。」

「やっぱり、冒険者ギルドってあるのか?」

 町田が身を乗り出して聞くが、転移者全員が真剣な表情で聞いている。

「カレン王国にはあると聞いたことがあります。昔に来られた使徒様が『冒険者ギルド』を設立されたと聞いています。」

「やっぱりあるんだー。」

「ゲームじゃあるまいし。」

 蓮さんは一人で突っ込んでいる。

「なら、ランク制度とかはあるの?」

 栞が聞く。

「カレン王国にしかありませんので、詳しい事は分かりかねます。」

「そっかー。」

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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