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洞窟に入ってみよう

 その後、水際や岩場なども回り、薬草の採取を進めていく。

 ハマアサガオの他にスナービスやヤクシソウという薬草を見つけ、採取していく。

 このヤクシソウという薬草が、いわゆる回復ポーションの主原料となるらしい。

 岩場の上に生えていた潅木になる、赤い実はサルトリアといい、依頼にはなかったがこれも、回復ポーションの原料になるらしい。

 岩場をウロウロしていると、洞窟を発見する。

 最後の依頼のタメタという苔は、海辺の洞窟に自生し、殺菌効果のあるものらしい。

「ちょっと待って。」

 一旦みんなを制止して、ボク一人でゆっくり洞窟に近づいて、様子を見ることにする。

 洞窟にはゴブリンが巣を作っているかもしれない。

 洞窟の入り口近くまでくると、人間のものでないが人間に似た足跡が見える。

 引き返して、みんなにゴブリンがいることを伝える。

「前みたいに煙で燻したらいいんじゃない?」

「でも、どれぐらいいるか分からないんでしょう。ちょっと危険だよね。」

「気がついたら強くなってるし、優が新しい魔法を覚えたから大丈夫じゃない?」

「今回は眠らせて麻痺。」

 こころが作戦に参加する。

「今日取った薬草使える。」

「じゃぁ、その作戦でいこうよ。」

 美羽は軽く返事する。

 陽菜もボクも特に異存はないので、こころの調合する薬草を使って、眠らせる作戦をとることにした。


 流木に布を巻きつけて、即席のたいまつを準備し、調合された薬草とそれを燃やすための枯れ枝などを持って、ボクが洞窟の入り口まで進む。

 奥のほうでゴブリンの声が聞こえるが、入り口周辺にゴブリンの気配はない。

 少し入り込んで薬草などをセットし、たいまつで火をつけてから、一旦逃げる。

 薬草などが燃え尽きるまで様子を見ていたが、特に動きはない。

 陽菜に防御強化と武器強化を、美羽とこころに防御強化と防具強化をかけて、陽菜を先頭にして洞窟の中に進入することにした。

 先ほどまで聞こえていたゴブリンの声はまったくしていない。

 中を進んでいくと、天井は低いままだが、やや広い空間に出たが、そこにはゴブリンたちが寝息をたてている。

「効果てきめんね。」

 美羽が感心していう。

 眠るゴブリンの群れに、引導を渡していった。

 抵抗をされることもまったくなく、中にいた10匹のゴブリンは始末され、ボクが一人で魔核を回収していった。

 もうひとつたいまつを作り、他のメンバーは依頼のタメタという苔を探しにいった。

《レベルが8に上がりました。》

 作業をしていると、不意に天の声が聞こえる。

 奥にまだゴブリンか何かがいたようだ。


「奥にゴブリンでもいたの?」

 3人が戻ってきたので、声をかける。

「半漁人が転がってた。」

 美羽が興味なさそうにいう。

「魔核を回収しにいかないと。」

 その半漁人を見たいのもある。

「仕方ないなぁ。みんなで戻る?」

「水面あった。一人は危険。」

 こころが注意してくれる。

 確かに、水面があれば、薬草の煙を吸っていない半漁人が現れてもおかしくない。

 みんなに半漁人のところまで連れて行ってもらい、魔核を回収する。

 典型的な半漁人が美羽のハンマーで頭を潰されて転がっている。

 強化魔法はすでに切れていたはずなのだが、確実に威力が上がっているようだ。

 もう、素手でも美羽と陽菜に敵わなくなってそうな気がする。

 寂しいような、悔しいような。

 半漁人は暗くて色はよく分からない。

 しかし、頭が無いと、人間っぽさが増して、気持ち悪い。

「ちょっと魔核が大きい。良かったかも。」


 冒険者ギルドの依頼4件すべての薬草の採取を終え、上機嫌でケアールドに戻る。

 道すがら、5匹ぐらいの小さな野犬の群れに襲われるものの、強化魔法をかけられた美羽と陽菜が危なげなく殲滅した。

 何とか日が暮れきる前に冒険者ギルドの受付に滑り込む。

 今は夏だから、日が長くて日帰りできたが、冬になれば、そうはいかないんだろうな。

「お、怪我無く帰ってきたか。」

 ベンがボクたちの姿を見とめ、声をかけてくれる。

「4件ともなんとか今日中に終わらせることができました。」

「本当か?魔物は出なかったのか?」

「蟹と洞窟のゴブリンはあらかたやっつけちゃいました。半漁人もいましたよ。」

 陽菜がベンと話している間に、こころが籠から依頼の薬草を取り出していく。

「マーマンが出たのか!よく無事だったな。」

「広くない洞窟なんで数はいなかったし、ほとんどは煙で眠らせたんで、楽チンでした。」

「そ、そうか。海岸線だと、海に引き込まれたりするから、普通はかなり危険な魔物なんだがな。まぁ、無事で良かった。あの海岸からさらに北に上がると、レッドサンドウィッチ、さらに北に上がるとランドエンドって呼ばれているところになる。マーマンや人魚の大群がいるから、気をつけろよ。」

「はい。」

 さすがに採取依頼を4件もこなしたので、金貨一枚分にはなった。

 今日は運が良かったから、それなりになったが、普通は2日ぐらいかかるだろうから、諸経費を引くと、なかなか儲けにならないだろうな。

 まぁ、こころの使う材料を集めるのと、レベル上げが主な目的だから、そんなもんだと思っておこう。

 宿は同じところを2週間借り切っているので、多少は安くしてくれているし、しばらくは安定した生活が送れるような気がするな。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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