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富山の薬売りの籠を作ってみよう

 街の薬屋を見て回ると、行商人も店舗でも陶器の壷に入れて売っているのが標準のようであり、稀に金属の物があるぐらいだ。

 陶器は釉薬がかかっていない?

 いや、自然釉のものか。

 だから、水薬は金属の容器を使っているということなのか。

 酸のキツいものは、どう保管してるんだろう?

 あ、それに磁器も見かけないな。

 王族との会食でも見かけなかったぞ。

 磁器を作れるようになったら、大儲けじやないの?

 作り方は知らないけど。


 薬の行商人は大半が馬車ほとんどがロバだがだった。

 それなりに金がある者のする商売って感じだ。

 そういや、一人で荷物を背負って売って歩いた富山の薬売りってどんなだったっけ?

 ボクには分からないけど、他のメンバーなら何か思いつくかも知れないので、呟いてみる。

「富山の薬売りってどんなだったっけ?」

「ああ!そっか!籠を重ねれば良いのよ!」

 美羽が叫ぶ。

「昔、富山に観光に行って、見たことがあるの。仕切り板を入れて籠を重ねるのよ!マトリョーシカみたいに!」

「「あー!」」

 残りの全員が声を合わせる。

 なるほど、大きさの違う籠を重ね、中の仕切りを置けば、段を作って効率よく収納できる訳か。

 今日の美羽は冴えてるな。

 しばらく使う藤の籠を買ってから、籠屋にこころ専用の背負える籠を注文した。

 あとは、籠の仕切り板を大工に頼み、その場で仕上げてもらう。

「もう少し、材料見たい。」

 こころの使う材料をもう少し見て回ることにした。

 薬草使いとはいえ、薬草だけでなく、様々な鉱物や動物由来の材料も必要になるらしい。

 元の世界で言うところの、薬師や本草学のようなもので、この世界では錬金術的アプローチが主流なのもあるため、それと区別するために薬草使いと呼ばれているのだと思う。

 店を見て回りながら、様々な素材を購入する。

「あ。」

 こころ何かを見つけたようだ。

「これって、火薬じゃない?」

 美羽がこころが見つけた物を言い当てる。

「この時代に火薬なんてあったんだな。」

「当然ですよ。そもそも、元寇の頃から火薬はあったじゃないですか。」

 陽菜がボクに説明する。

「硝石の入手難しい。貴重。」

 なるほど、存在は知られているが、入手が難しくて普及していないだけなのか。

 でも、火薬があるなら、もう銃が作られててもおかしくないのではないだろうか。

「あ。火薬があるなら、こころさんの武器を強化できないかな?」

「強化?」

「こころの武器って、毒の煙とかのコト?」 

「うん。火薬の力で煙幕みたいに急激に拡散できれば、本格的な武器として使用できるんじゃないかと思って。」

「いや、毒だと危ないでしょ。自分たちも巻き込まれるわよ。防毒マスクみたいなのでもなければね。」

 ボクと美羽が話をしている間に、こころは火薬を購入したようだ。

「優。使い方分かる?」

「火薬は悪戯で爆竹をいじったことぐらいしかないけど、詰め方とかで何とか出来そうかも。」

「でも、火薬だけで煙がモクモクでるわけじゃないよね。」

「確かに。」

「また、錬金術士にでも、聞いてみようか。」



「あれ、もうするの?」

 魔核を握りしめるボクを見て、美羽が声を掛けてきた。

「早めにすれば、二つできるかも。」

「無理しないでよ。」

 その言葉も虚しく、ボクは気を失っていた。



「何で無理したの?」

 気が付いたボクを美羽が責めてくる。

 今日は出費が多かったなんて言ったら、こころが傷つきそうだ。

「練習したら、スキルとして覚えれるかも。スキルになれば、ウハウハだしね。」

「もう、勝手になさい!」

「優くんも無茶はしないで。」

「優、お金いっぱい使ったから…」

 ちゃんと、みんな心配してくれている。

 ちょっと嬉しいな。

「肉いっぱい食べたい。」

 美雨とこころが笑ってくれた。

「それに気持ちよく寝れて、朝スッキリするし。」

 魔力が枯渇すると、気分も悪くなるし、ひどいめまいがするけど、それは起きておこうとした場合で、寝てしまえば関係ない。

 しかも、眠りは深くなるし、寝覚めはスッキリする。

 夢も見ないぐらい。

 聞いた話だけど、睡眠薬を使った時と同じように意識を失って、スッキリ目覚められるんじゃないだろうか?

 気分的に楽なのは、自分の記憶や今の境遇について考えなくなるのもあるのかも知れないけど。

「宿に居る時にしかしない。もう、一個やってみる。」

 ステータスを開くと、半分ぐらいは回復してるか。

 半分の魔力で魔石ができるんなら、魔力の扱いが上手くなれば、一晩で二つできたりするかな?

「優くん、本当に大丈夫なの?」

「うん。もう遅いしこれをして寝る。」

 それに、女の子に囲まれて悶々とした夜を送るよりはマシだ。

「うん。おやすみ。」

 ボクはベッドの中ですぐに意識を手放した。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
こちらもご覧ください。


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