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ジョブを取得してみよう

 ジョブは本来なら神殿等にいる神官から適正のあるものを選択して授けて貰うものらしい。

 技能の習熟により、新たなスキルが天の声から授けられ、更にそのジョブを極めれば、高位のジョブが授けられるらしい。

 稀にジョブに関係なく習得した技能によって、ジョブを得ることもあるらしいが、ジョブは基本的に一つしか選べないとのことだ。

 今まで『勇者』に至ったのは、『戦士』と『剣士』のジョブを授けられた者しかいないらしい。

 なお、レベルについては、魔物も含めて生物を殺めることにより、レベルが上昇する。

 何やら、殺生によって魂の力を取り込んでいるらしい。

 レベルの上昇により、ステータスが上昇するが、ジョブによりステータスの上昇幅が異なるらしい。

 あと、善行を重ねることによって、レベルが上昇することがあるらしいが、殺生の方が圧倒的にレベルが上がる速度が早いとのことだ。

 強くなるには魔物を殺していけってことだな。


 次に、これからの身の振り方なのだが、先ずはパーティーを編成する必要がある。

 ステータスにも関連するのであるが、パーティーは四人まででしか編成することが出来ず、それを超えて一緒に行動したとしても、経験値の共有やパーティーに対する回復等の効果の範囲外となってしまうらしい。

 パーティー編成後に、各パーティーは、神の子の血を引く王族がいる三つの国にそれぞれ所属することになるという。

 この神殿が属するのが、神聖国ルースで、この神殿が聖教の本部となっている。

 神話の話になってくるが、聖女シェファ処女受胎し、神の子が成人したあと、魔王を倒した勇者と結ばれ、三人の子を設けた

 それぞれ独立し、国を興す。

 長女はパンティア、次女がカレン、三男がガルディア。

 それぞれの名を冠した国となったらしい。

 神の使徒である転移者は、大きな力を持つため、また、魔王からの侵略を防ぐため、それぞれの国に平等に分け与えられるとのことだ。

 因みに、この神聖国ルースは魔王国からは地理的にパンティア王国を挟むため、転移者は必要ないらしい。

 魔王というのは、その名の通り魔族を統べるものらしいのだが、魔族は魔境と呼ばれる大国ぐらいの広さの地域があり、人間の国とも隣接している。

 必ずしも人間と敵対するというわけでは無いらしいが、人間を食す種族も多いため、自然と人間の国を攻めるということだ。

 ここまでの説明だけでも、結構な時間を食った。


 やっと、お待ちかねのジョブゲットだが、そのために移動するらしい。

「アレ?女の子部屋に居なかったね。男の子の部屋に行ってたの?」

 女の子が馴れ馴れしく話しかけてくる。

 まだ、150cmに達していないボクを見下ろしてくる。

 高校生ぐらいか。

「私は栞。牧田栞。」

「ボクは梅田優。」

「さっきも話してたみたいだけど、あの子達と仲良くなったの?」

 明るいキャラかと思ったが、目が笑ってないぞ。

 この女、実は意外と面倒なんじゃ。

「ボクっ子なんだー。」

 何で絡まれるんだよ。

「優ちゃんが、男部屋にいてたから心配しただけだよ。ね。」

 癒し系美女が助け舟を出してくれる。

 やっと、状況が理解できた。

 身長148cm、体重49kgのチビガリのうえ、14歳になったも変声期は未だ訪れず。

 ボクはよく女とまちがえられるのだ。

 そう、喋ってすら。

「ボク、男。」

 「やっぱり、男だったんだよな。」

 男の声が聞こえたので振り返るとツッコミ系イケメンがホッとした顔で横に居た。

 心配して、ツッコミ系イケメンが近づいてきていたようだ。

 そうか、全員が同じ貫頭衣を着ているということは、全員全裸でここに転移してきたのだろう。

 だから、きちんとアレを確認されて、男部屋に入れられてたのか。


 神殿の中庭には、ストーンヘンジのように円形に石柱が並べられている。

 どうするのかと思っていたのだが、12本並んだ石柱にボク達を並べていく。

 それぞれの石柱に嵌められた宝石に触れれば、ジョブを得られるらしい。

 ボク達はそれぞれの石柱の元に呼び出されたらしく、呼び出された石柱に並べられているらしい。

 昨晩はここに全員全裸で転がっていたというわけだ。

 勿体無い。昨晩、一瞬気が付いた時があったが、気を失うんじゃなかった。

「間違っていたらどうなるんだ?」

 ツッコミイケメンが聞く。

「石柱が反応しないだけです。」

「試してみる。」

 強力なジョブを奪うことができれば、有利になれる。

 全員が気になってその行方を見守る。

 ツッコミイケメンは、騎士達が静止する間もなく、隣の石柱の宝玉に手を触れるが、何も起こらなかったため、元の場所に戻っていく。

「あの、ここでジョブを選ばないこともできるんですよね。」

 さっき、助け舟を出してくれた癒し系美女だ。

 可愛いうえに、しかもあれだ、メロンだ。

 女子高生ともなると、あそこまで成熟するものなのか?

 心でも目でも癒やしてくれそうだ。

 あんな子とパーティーが組めたらいいな。

「ええ、ですが神から与えられたジョブなら適性があるもののうえに、習熟も早いので、今までここで習得しなかった方は聞いたことがありませんね。」

「そう。」

 自分の好きなジョブを後から選ぶというものあっただろうが、メリットが無いか。

 ここで、ジョブを身につけないなんて無いんだろうな。

 でも、無職で最強とか、少し憧れるな。

「無職のままでも良いのか?」

 ナイス!チャラ男。

「ジョブを取得してもデメリットはありませんし、役割分担が明確でないと、パーティーを組む際にも困りますよ。後から変えることもできますから、取り敢えずここではジョブを授かっておくのが得策かと。」

 まあ、常識的にはそうだな。

「では、皆様、お願いします。」

「おっ!これが天の声か。」

 周りで驚く声が聞こえる。

 ボクも指定された石柱の宝玉に触れてみようとした。

 何でターコイズなんだ?

 ボクのだけ安っぽくない?

 そう思いながらターコイズに触れてみる。

《『付与魔術師※』のジョブを取得できます。取得しますか? はい/いいえ》

 野太い声とともにメッセージウィンドウが開く。

 ちょっと待て。

 後ろの『※』って何だ?

 そもそも『付与魔術師』って何だよ。

 思いっきりサポート職じゃないか。

 天の声がおっさんなんて、誰得なんだ?

 選択の余地無く『付与魔術師』しかないとは…

 他のやつらはどうなんだよ。

 そう言えば、パーティー編成のために後で全員のステータスを開示するとか言ってたな。

 恥ずかしくね?ボク。

 これって脇役確定?

「皆さん、選択ウィンドウが表示されしたら、ウィンドウの『はい』を指で押すか、『はい』と返事してください。」

 巫女さんが使い方を説明してくれる。

 ボクは諦めて『はい』の部分に指を当てた。


 全員がジョブの取得を終えたのを見計らって、巫女さんが声をかける。

「ジョブの取得が終わりましたら、こちらにお並びください。」

 そう言って、案内した場所には金属板が嵌め込まれた台座があり、金属板の下側には水晶の球が嵌め込まれている。


 アレに触るとステータスが表示されたりしそうだ。

「先頭の方から、この水晶に触れていってください。」

「じゃ、僕からいくよ。」

 爽やかイケメンが水晶に触れると、金属板にステータスが表示される。

 それを見た神官達がざわつく。

 神官っぽい男がステータスの内容を紙に記録していく。

 横から覗いてみた。


------------------------------

名前:如月 遥人

レベル:1

性別:男

ジョブ:戦士+

種族:人間

スキル:【基礎スキル:剣術】

   スマッシュ、シールドバッシュ

   【固有スキル:天職】

ステータス:

   HP:48

   MP:40

   STR:48

   VIT:46

   DEX:41

   AGI:45

   MEN:40

   LUK:30

------------------------------


 基礎ステータスからボクとは比べ物にならない。

 ジョブの右側に『+』が付いている。

 これが、神が選択したジョブの補正か。

「固有スキルが『天職』か…」

「これは『勇者』の再来だな。」


 何人か挟み、とうとうボクの番が回ってくる。

 ボクのステータスが公開処刑される。

 神官達はざわつくどころか絶句している。

 暫くしてからようやく、話し声が聞こえ始めた。

「『付与魔術師』なんて初めて聞いたぞ。」

「ジョブ補正のあの印は何を意味している?成長できるのか?」

「聖女様でもないのに、献饌のスキルなんて、使いどころなんてないだろ。」

 神官共に散々言われ、心のHPがガシガシ削られていく。

「付与魔法なんて他のジョブでも覚えるのに、そもそもジョブにする必要なんてあるのか?」

「付与魔法しか使えないんだったら、何の役にも立たないな。どこのパーティーがこのお荷物を背負うんだ?」

 とうとう、心のHPは尽きた。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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