全ては決められた通りやっていた
とある大地人からみた「夜明けの迷子」です。
全ては決められた通りやっていた。
町中で攻撃的なスキルを使用したら、<衛兵>で対処するだけ。
それであの日までは上手くいっていた。
あの<大災害>と冒険者達が言っていた日から状況は変わりつつあったのだ。
やたら嘆いている者、町はずれで何かを企む者、街に住んでいる<大地人>を捕まえようとする者。
そんな奴等はどうだって良い。只決められた通り対処すれば問題は無いはずだった。
何やら騒ぎを起こしたセタ=ソウジロウと言われてた奴を誰かが叩ききったそうだが、特に問題ではなかったはずだ。
それからしばらくして、<冒険者>による自治組織<円卓会議>が設立した。
ご苦労な事だと思っていた。時折馬鹿な事をする冒険者がいたが、今回はかなりの人間を巻き込んでやってるな。
只それだけだと思っていた。
なぜか、騒ぎを起こしたソウジロウが混ざっていたのが気になったが。
しばらくして、町に住む普通の<大地人>が我らを見る目が少しずつ変わってきたように思えた。
「今まで何をしてきたんだ?」「実はあの中には誰も入っていなくて、さぼってるんじゃないのか?」
そういう声がぽつぽつと聞こえ始めたのだ。
アキバの街が発展するにつれて、町に住む人の我らに対する感情は日に日に悪化していった。
<冒険者>から攻撃を受けるという事は無かったが、町に住む人は我らの事をすっかり忘れたようにしながら口々に<円卓会議>の事をほめたたえつつあった。
その事についてはやや悔しいと思う側面があったが、そんな時、とんでもない情報がミナミの街から流されてきた。
冒険者による、衛視機構の変更。
我らの立場を一切考えぬ蛮行。それをミナミの供贄一族はやってしまったのだ。
悪しき冒険者を止める為の一族が冒険者の言いなりになってしまったのだ。
あってはならない事だった。
供贄一族のトップ同士は何度も話し合っていた。
結論は出ずにずるずると時間だけが過ぎていった。
そんな中幾つもの大きな事件が次々と発生していった。
東、イースタルにおいては数万のゴブリン軍の進軍。
西、ウェストランデにおいては、『凶皇』の復活(スザクモンで色々あったらしいが、数年おきにおきる事件なので数えない。)
さらなる西、ナカスにおいてはミナミの冒険者が治安維持を理由に施設を強制的に購入して色々とやっているらしい。
北のススキノはかなりの数の<冒険者>と<大地人>がアキバに移住した以上の問題は起きておらず、銀行や大神殿は問題なく稼働している。
……いつかミナミの供贄と戦う事になる。
そう、心の中で思った俺は強力な武器を手にしようと、<冒険者>の武器屋に行くことにした。
幸い、長年の仕事で金はたっぷりあるし、周りがわいわい騒いでいる味のする料理なんて一切興味が無いから出費も気にならない。
装備レベル90以上の武器は2種類あった。片方は相手の武器の耐久度を減らす能力を持っていたが、自動修復能力を持つ衛兵相手にその武器は不利だろう。
冷気属性の追加ダメージはそれこそ衛兵との戦いで有利になるはずだ。
全額現金で支払い、その武器を買い、衛兵所でその武器を抜く。
やはり装備レベル90の刀は美しさが違う。透き通ってるかのような刃にほれぼれとする。
試し切りをしてみたが、とんでもない威力だ。これだけの武器が使えればそう簡単に後れをとる事は無いだろう。
……頭がくらくらする。少々、眠るとしよう。明日起きたならとりあえず試し切りをしてみよう……。
そうだ、<大災害>の後騒ぎを起こした<西風の旅団>を襲ってみるのも悪くないかもしれないな………。
ちょっと短めになりましたけど、書いてみました。
あの事件がミナミの陰謀とする意見もありますけど、個人的には違うんじゃないかなと思います。
1.フレーバーテキストの浸食を利用するのなら、わざわざアキバで買ってそれを衛兵に渡すのは不自然。ミナミで使わなくなった武器を集めてそれを使った方が一度に複数の人数を攻撃に利用できるので有利なはずだ。またたまたまその装備を見つけてやるとするのなら、手間暇がとんでもなくかかってしまう。
2.金については供贄一族には黄金の川がある以上、公的な財産としては問題が起きないはずだ(今回は個人的な財産としたが)。また一括払いについても、大地人だから分割して支払うと言う考えは逆に起きないのではないかと思う(死ねばそこまでの為、踏み倒しを恐れて一括払いにしてしまう)。
3.なにより何でもかんでもミナミの陰謀にしてしまうと、TRPGにした時にミナミの冒険者を作りにくくなると思うので、やっぱり偶発的な事件にした方がいいんじゃないかなと思っている。
まあ最後3番は冗談にしても、アキバは正義!ミナミは悪!みたいにしてしまうと、TRPGする時にやりにくいんじゃないかなと思ったので個人的にはこんな感じじゃないかなと思いました。