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6.毒入りの缶ジュース

 ジリリリリリリ!

 朝になり、目覚ましが部屋中に鳴り響く。

 目を覚ました聡美は目覚ましを止めた。

 時間を見ると、午前六時半だ。

 聡美はベッドから出ると、寝間着からスーツに着替えた。

 家を出て警視庁に出勤する。

「警部、おはようございます」

 と、洋子。

「おはよう」

 聡美はそう返した。

プルルルルル──電話が鳴る。

 洋子が応答した。

「はい、捜査一課。……はい。……はい、分かりました!」

 受話器を置く。

「どうしたの? 事件?」

「桜田門駅に停車中の車内にて死亡者が出たそうです!」

「了解」

 聡美と洋子は桜田門駅構内に停車中の列車へと向かった。

 現場ではすでに鑑識が作業をしている。

 鑑識の黒岩が聡美に報告する。

「被害者の名前は山本やまもと 誠一せいいち。死亡推定時刻は午前九時ごろです」

「死因は?」

「口元からアーモンド臭がしたので、青酸系の毒物かと」

「毒物はどこにあるの?」

「飲んでいた空き缶です。それに青酸カリが含まれていましたので、それかもしれません」

「青酸カリの出所は?」

「それは今、調査中です」

「乗車駅は?」

「交通電子マネーの記録によりますと、埼玉の蒲生駅です」

「荒川さん、蒲生駅行くわよ」

「分かりました」

 聡美と洋子は別の列車に乗って蒲生駅に移動した。

「取り敢えず、自販機を調べましょう。もしかしたら、証拠が残ってるかもしれないし」

 二人は蒲生駅ホーム階の自販機を調べた。

 そして、缶ジュースが取り出し口に残っている自販機を見付けた。

「警部、これあの人のと同じじゃないですか?」

「そうね……」

 聡美は携帯を出して警視庁の鑑識に問い合わせた。

 鑑識は空き缶に残っていた指紋から前科者リストを照合し、該当者を突き止めていた。

 それは、埼玉県越谷市蒲生寿町に住む田中たなか 誠二せいじだった。彼は十年前に妻の光代みつよを殺害の罪で服役していて、最近出て来たのだ。

 当時、田中は逮捕した越谷署の取り調べで、罪を否認していたという。

「……ありがとうございました」

 電話を切りしまう聡美。

「荒川さん、田中 誠二という男が浮かんだわ。今から会いに行きましょう」

「はい」

 聡美と洋子は田中 誠二の家へ向かった。

ピンポーン──インターホンを鳴らす。

 扉が開き、男が出て来る。

 聡美は男に警察手帳を見せた。

「警視庁の者ですが、田中 誠二さんですね?」

「警視庁の刑事さんが俺に何の用?」

「山本さんをご存知ですよね?」

「そんな男知りませんよ。その人がどうかしたんですか?」

「先ほど、桜田門の駅で遺体で発見されました」

「青酸カリはどこで入手しましたか?」

「俺を疑ってるの?」

「はい。だって貴方、山本さんを男と断定しましたから」

「それだけじゃないですよ。現場にあった毒入り缶ジュースの空き缶から、貴方の指紋が検出されています」

「くそっ! あいつが悪いんだ! あいつが光代を殺したから!」

「え?」

「俺がパクられた時、取り調べで犯行を否認しただろ? あの後、出所して知ったんだ。光代にストーキングしていた男がいたことを。それでそいつに酒を飲まして酔わせ、聞き出したんだ。あいつ、言ってたよ。光代が俺の物にならなかったから殺した、って。だから俺は毒を盛ったんだ……うぐっ!」

 田中の目に涙が浮かぶ。

「光代……俺、敵取ったぜ……」

「どうして警察に相談せず殺したんですか?」

「だって、警察は俺を犯人扱いしたじゃないですか。そんな警察が俺の言うことを信用しますか?」

 田中が両手を前に出した。

 聡美は田中にワッパをはめた。


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