『誘拐』
俺はすぐに実行しようと決めた。
「俺帰るわ」
そういえばなぜ俺は連れてこられたのかと疑問に思った。
帰る振りをして女の子を連れ出した。
「どこいくの?」
「俺の家」
目立たないように女の子に俺の来ていたジャンバーを着せる。
季節は冬だった。
「着いたよ」
家に着いた。
扉を開け俺の部屋に入った。
「おっかえりー!」
妹がいた。
「だあれ?その子」
「秘密」
まずい、計画が
「誘拐とか?」
まずい、計画が
「そんな分けない」
やばい、計画が
「私が手伝ってあげようか」
まずい、計画が
「なにっ!」
まじか!
「その子虐待受けてるでしょ?」
「わかんのか?」
妹はにっこりしていた。
「で、どうするわけ?」
「電話する」
この子の母親に電話して、警察沙汰にする計画を妹に話した。
「でも、警察には電話しないんじゃない?」
あ、そっか
「だって虐待してるのがばれるし」
『あなたの近くに虐待を受けているかもという子はいませんか?間違いでも構いません。遠慮なくお電話を・・・』
テレビからそんなCMの音が聞こえてきた。
「電話する?」
「いや、無理だ」
もう手遅れだ。
「お兄ちゃんたち私のこと誘拐したの?」
もう、だめだ。
「お母さんのところに帰りたい?」
俺はそう言うと女の子は泣きながら首を振った。
「やだ、帰りたくない!」
女の子は必死に俺の手をひっぱった。
「大丈夫だよ、ここにいていいから」
「ほんと?」
うん、と答えると女の子はまたにっこり笑った。
「お兄ちゃん、お腹空いた」
女の子がそう言った。確かに・・・
「そうだな」
「にいに、私が作ってあげようか?」
「じゃあ、大量に頼む」
「アイアイサー!」
妹は勢いよく部屋から飛び出した。
さて、電話するか。
prprprprpr ガチャ
『はい、もしもし』
あわてている感じがした。
「あなたの娘を誘拐しました。返してほしければ警察に電話してください。さもなくばこの娘が虐待されていることをばらします。」
よし、うまく言えた。
ガチャ
相手は言葉も出なかったようだった。
「できたよー」
妹がチャーハンを持ってきた。
「いっただきまーす!」
女の子はよっぽどお腹が空いていたらしい。
「ところで電話したの?」
「娘を返してほしければ警察に電話しろ、さもなくば虐待の事実をばらす」
「なかなかやるじゃん、でも警察に電話しなかったらどうするわけ?」
それが問題だ、ここまで来たら近所の人に話すなんてしょぼすぎる。
「とりあえずもう一度電話するか」
固定電話だと逆探知でかけた瞬間に居場所がばれるが
携帯電話でなら地域までしかわからない。
携帯電話でもう一度電話をかけた。
「警察に電話しましたか?」
『はい、しました。』
「そこには?」
『いえ、まだ来ていなくて・・・』
「分かりました。一時間後にもう一度電話をかけます。」
そして俺は電話を切った。
「どうだった?」
「まだ警察は来ていないらしい、お前この子の家の近くに行って確認してくれないか?」
「うん!いいよ!」
もし警察が来る気配がなければあの家の住人のふりをして警察に電話する。
20分後
『警察が来たよ!』
妹からの電話だった。
「ありがとう、誰にも気づかれずに帰ってきてくれ」
『りょーかい!卵とお肉だね!分かった!晩ご飯はすき焼きで』
ピッと携帯の電源を切り、充電を開始した。