第1小節
いつから、あなたと私の歯車は噛み合い始めたのだろう。
‐第1小節‐
出会った四月、私とあなたは吹奏楽部に入部した。
ねぇ。一つだけ、あなたのこと"スゴイ"って思ってた事があったよ。
それはあなたが吹奏楽未経験者なのに吹奏楽部に入部したこと。
学校説明会の吹奏楽の演奏でコントラバスに憧れて入部したんだ、って誰かに聞いた。
(コントラバスっていうのはバイオリンを人より大きくしたみたいな楽器。)
それってスゴイなぁって思ったの。
だって高校から新しい事始めるのって、勇気がいることだと思うから。
でも、あなたは女の子と"とても"仲が良いから、
吹奏楽部に入りやすかったのかな。
なんて。
こんな言い方は意地悪だね。
でも本当に、そこだけはあなたのこと認めてた。
そういえば、あなたの名前は友達から聞いた。
私は男の子と話すのがあんまり得意じゃなかったし、
何よりあなたと仲良くなろうと思わなかった。
「あの子の名前なんて言うのぉ?」
「サトウヒロトだって」
そんな風に名前を聞いた。
そのときから私はあなたを"ヒロトくん"って呼んでる。
今もずっと。
あなたも私の名前をいつのまにか呼んでいた気がします。
私の名前は"キタノアスカ"だから
"アスカちゃん"
って初めは呼んでたね。
今思うと、すごく、くすぐったい。
ヒロトって良い響き。
あなたの名前、私は大好きよ。
なかなか展開が進みません。あとからのまとめ読みをお勧めします(・・;)