表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想ヒ音  作者: 鈴木 アル
13/14

第12小節

あなたは私と交した会話のいくつを憶えてる?

あなたは忘れっぽいひとだよね。

だからきっと私の方が憶えてるんだろうな。




‐第12小節‐




大会が終わったとはいえ、吹部は九月の文化祭に向け、依然として忙しいまま。

残りの夏休みも、たいてい丸っと一日部活をしていた。



そんな中の一日だった。

私は初めてヒロトくんと二人で帰った。

ヒロトくんは駅まで自転車で帰るのだけれど、途中まで私の帰り道が同じだったから。

もう一度言っておくが、ヒロトくんはとても女の子と仲が良い。

女の子と二人で帰るなんて彼にとっては日常茶飯事。

ただ、友達同士の二人がそれぞれ自分の自転車に乗って、並んで帰るだけ。

でも私にとってそれは非日常的な出来事。

初めては少し、恥ずかしかった気がする。



一度一緒に帰ると、その後も何度か一緒に帰るようになる。

何度かって言っても、多くて5回くらいだったけど。

この頃の私は、前ほどに、『ヒロトくんと変な関係に誤解されたくない』と思わなくなっていた。

だから二人で帰るのを意識的に避けようとはしなかった。

むしろ一人で帰るよりはずっと楽しかったし、そうなることを少しは望んでいたのだろうか。

別にヒロトくんを男の子として認めたとかではなくて、友達として割りきれるようになったんだと思う。



一緒に帰りながらも思い出すのはサヤカちゃんの事。

罪悪感っていうのかな?

少し違うかもしれない。

一生懸命、『ヒロトくんはサヤカちゃんと付き合ってるんだから』と自分に言い聞かせた。

そうしないとバカな私は勘違いしてしまうから。

ヒロトくんに淡い恋心を抱いてしまいそうだったから。



一緒に帰る時、私達は何を話していたんだっけ?

確か、吹部の事、曲の事、課題の事、先生の事……etc.

ある時は、部活が終わった後話し終わらなかった、私の恋バナだったりもした。

そのときのことを一番鮮明に覚えている。



私はタクヤくんのことを中学の時の事から話した。

ヒロトくんはまがりなりにも男の子だから、男から見てのアドバイスをくれるんじゃないかって期待して。

結局、アドバイスをもらった記憶はないんだけどね。

ケータイのアドレスはタクヤくんの名前から考えたもので、彼氏が出来たら変えようと思っている事とか、誰に告白して、付き合って、なんて私の数少ない恋愛経験の話もした。

これって、私の中ではぐっと距離が縮まった証拠だった。

たとえ自分の恋に利用しようとした裏があったのだとしても。

それは信頼の証だった。

この時私はやっと、一年生の頃、あの、初めてヒロトくんとまともに話した時、ヒロトくんが私のそばに立っていてくれたのと同じ距離に立てたのかもしれない。




ねぇ、ウソだよ。

私の方が憶えてるなんてウソ。

あなたは私が忘れてしまっていたことも憶えていてくれたんだっけ。

それはとても些細なことだったけど、とてもとても嬉しかった。

あなたの中に、ちゃんと私がいるって思えたから、すごく、嬉しかったの。

祝!!読者数100人突破☆御愛読ありがとうございます(*^ー^)ノ♪……遅いですか?ィャ、マイペースで頑張ると決めたんだぃ(*`Д´)ノこれからもよろしくおねがいします。ところで気になるのはどなたが100人目だったのか……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ