第10小節
もし、こうじゃなかったら、ああじゃなかったら…。
もしもの話をしてもなにも進まないんだってわかってる。
だから尚更、全てが運命であるような気がしてならないよ。
‐第10小節‐
定期演奏会が終わると、まもなく夏がやって来る。
夏と言えば吹奏楽シーズン本番。
吹奏楽の甲子園、普門館目指しての吹奏楽コンクールが始まる。
そして、それは同時に厳しい練習の始まり。
私の高校は進学校で、先生は大会だからといって課題の量を減らしてくれるわけでもなく、部活と勉強をこなす辛い日々が続いた。
体調不良者も続出。
その中にはサヤカちゃんも含まれていた。
サヤカちゃんと同中の友達が言うには、親との兼ね合いがうまくいっていない、精神的負担もあったらしい。
そして、ヒロトくんに関わる精神的負担も。
痛々しいくらいにサヤカちゃんは弱っていた。
サヤカちゃんが学校を休むことが多くなったからかな?
この頃二人が一緒にいた所が思い出せない。
そして、きっとこの頃から私のヒロトくんへの思いが加速し始めた。
一方で、私がヒロトくんに近付く障害となる出来事の前兆も、この頃起こる。
夏休みに入るとすぐに地区大会が行われる。
地区大会に刻一刻と近付くにつれ、私達の演奏にも磨きがかかる。
そして、いよいよ地区大会。
当日のことはよく覚えていない。
ただ、吹部の部長として、ステージの上で緊張しながら結果を待っていたのを覚えている。
そして、私達は県大会出場を決める。
県大会に向けて夏休みも練習が続く。
県大会は地区大会のほぼ一週間後。
暑さのせいか体調不良者が後を絶たない。
本番に向けて緊張が高まっていく。
あっという間に一週間が過ぎ、いよいよ本番。
その日は体を十分な状態に整えておくためにも、朝5時集合。
学校で練習をして、出発前に、練習していたホールを軽く掃除した。
この時だった。
ほんの些細な出来事。
でも、私とヒロトくんを隔てる大きな壁の予兆。
それが起きた。
今思ってもバカバカしい。
友達の一人、セイノミキが、私の楽器の片付けを手伝っていたヒロトくんに声をかける。
「ヒロトー。指揮台運ぶの手伝えよ」
確か、この時ヒロトくんはセイノに怒ってた。
「あっちが先に人のこと馬鹿にしたんだよ!?いくらなんでも限度あるって」
と、ヒロトくんはその時のことを話してた。
とにかく、ヒロトくんはセイノに対して怒ってた。
だからその時ヒロトくんはセイノの言葉を無視した。
その後、セイノは他の誰かと指揮台を音楽室へ運んでいった。
ね、それだけだったの。
この時は、私もヒロトくんも大事になるなんて思ってなかった。
そうこうして、出発の準備も終わる。
みんなどこかそわそわしていた。バスに乗り込む前に突然の応援団からのエールがあって、空気が少し和む。
そして……いよいよ会場へ。
全てが運命ならば、認めるしかないじゃないか。
あなたが私のそばにいないこの現実を、認めるしかないじゃないか。
それしか、今の私には出来ない、のかな?
そんなの辛すぎるよ。
私の周りの女の子は言葉遣いが少し乱暴です。私も例外でなく。文にすると何故か乱暴さが倍増……。会話文って難しいですね。御希望とあれば私が読んでお聞かせしますが?(苦笑)でも本当に読みあげたい気持でいっぱいですねー。