第9小節
"好き"だけじゃどうにもならないことが多すぎるよ。
私が一番あなたを愛してる自信があるのに。
報われないんだなあ。
叶わないって分かってるけどね、それでも、好きなのやめられないよ。
‐第9小節‐
時が経つにつれて少しずつヒロトくんへの警戒心は薄れていく。
あの頃の私は、ヒロトくんをあんまりにも男の子として意識してたもんだから、今思うと凄くおかしい。
初めて、
「キタノー。今日車に乗せてって」
って言われた時なんか
「えー。だってそんなことしたらうちのお母さん変な誤解しちゃうよぉ」
なんて言ってた。
ヒロトくんには失礼だけど、冷静に考えればそんな風になんて見えるわけないのにね。
初めはそんな言い方をしたものの、結局ヒロトくんは私の家の車に乗ることになって。
ヒロトくんは車に乗り込むと、
「アスカさんとは変な関係じゃありませんから」
なんて言うから、私はすごく恥ずかしかったのを覚えている。
でも私は、ヒロトくんを駅まで送った後、
「ヒロトくんって彼女いるんだよー」
ってわざわざ付け加えた。
この頃もまだ、ヒロトくんと恋人同士になんて思われたくなかったの。
その後、ヒロトくんはよく私の家の車に乗るようになる。
何度も繰り返し強調してるけど、ヒロトくんは普通の男の子じゃない。
だからきっとお母さんもすぐヒロトくんを覚えたの。
「あの、女の子みたいな子だべ?」
母はヒロトくんの名前を出すと、そんな風に言った。
私も
「ヒロトくんなんて女友達みたいなもんだよ」
なんて言ったりした。
本当におかしい。
時間がこんなにも私を変えたんだ。
そう、思わずにはいられない。
この頃、ヒロトくんとサヤカちゃんとの関係は良好なように見えた。
私が迎えの車に乗り込む時、二人が並んで玄関を出ていくのを何度も見掛けた。
やっぱりこの頃も羨ましかった。
だって、冬は寒くなるから余計に人肌恋しくなるものだし、なんといっても花の女子高生なんだもの。
恋に、恋していたのかもしれない。
そうやって、厳しい冬は過ぎ、道端の雪が気にならないくらい小さくなってきた頃、私達は二年生になった。
二年に上がるときにはクラス替えがあった。
私は文系クラス。
ヒロトくんも文系クラス。
サヤカちゃんも文系クラス。
私はヒロトくんと違うクラスになったけど、サヤカちゃんが同じクラスだった。
本人に聞いたのか、誰に聞いたのか忘れたけど、確か、ヒロトくんはそれを喜んではいなかった。
一方で、四月になって私が気になることはただ一つ。
タクヤくんのこと。
これからはタクヤくんと会える機会が増えるはず。
そう思うと嬉しかったけど、同時に会いたくない気もした。
私はあんまり人と触れ合うのが得意じゃないから、きっと会っても上手に振る舞えない。
実際、たまに会っても私は気付いていない振りをして、挨拶されるのを待っていた。
すれ違う度に私は自己嫌悪に陥り、挨拶される度に胸が高鳴った。
そんな風だったから、私の恋は進まなかった。
タクヤくんにはもう二度と告白をしないと決めていたし、彼女がいるなら歯が立たない。
私は一年という年の差を何度も呪った。
タクヤくんにとって、私はただの先輩でしかないって思うと、涙が溢れた。
でも、ずっと好きだったの。
想いは消えなかったの。
あなたは知ってるよね?
私がどれだけあなたのこと好きか。
知らないなんて言わせないんだから。
もし、そんなこと言うなら、分かるまでずっと言い続けてやるんだから。
大好きなのって。
読んでくださっている方々がいるのを嬉しく思います。単調にしか書けなくてすごく申し訳ないです。でもまだ肝心のヒロトとの恋が始まっていないじゃないかァ。それはまだ少し遠い道のりです。交流サイト様の方に行き、書き込みをみてメラメラと闘争心がっ(笑)書かずにいられなくなりまた更新してしまいました(≧Д≦ノ)ノ