第3話 -片鱗 1-
初めて見る天井だった。厳密に言えば天蓋なのだが、そういう生活と縁のなかった冬弥には区別がつかなかった。
「ここは…」
体を起こして周囲を見回す。生まれて初めて見る屋根付きの大きなベッドに豪華な調度品の数々。
そして、その傍らで静かに寝息を立てる真里谷の姿を見つけた。
足が痺れているのは、真里谷が無意識に枕代わりにしていたからだろう。
真里谷を起こさぬよう静かにベッドを抜けた冬弥は、窓の外を眺め、暫くの間絶句する事になる。
窓の正面に見えるのは、並外れた大きさの大樹だった。
仮にこの木を輪切りにした場合、東京ドームとどちらが大きいだろうか。
高さに至っては、比較できるものを即座に思いつけない。
大樹の根元には西洋風の家々が立ち並び、大きな都市を形成している。
各々の家から煙が上がっている所を見ると、電気やガスと言ったものは引かれていないのだと想像できた。
自分が日本にいない事は確かだ。
なら、ここは地球のどのあたりになるのだろうかと考えたところで、地球上に存在しないものを目にする。
想像上の生物としてはポピュラーな飛龍が目の前を横切ったのだ。
背中には鎧姿の人間が乗っている。
冬弥は、今はっきりと異常事態に巻き込まれた事を自覚した。
ここは自分たちの常識が通用しない世界なのだ、そして空想的な異世界は今や自分達にとっての現実に他ならない、と。
修正ついでに構成も変更。
見辛いのと、知人からの突っ込みが理由です。




