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雨上がりの手紙 制作会議録

作者: 福島ひかり
掲載日:2026/08/03



## 第一章 一通の手紙


**ひかり**

「雨が窓を濡らす。窓際に置いた小箱の鍵を開ける。中には何通かの古い封筒。その内の一通を手に取り、椅子に座る。封筒から手紙を取り出して、思い出に浸る。」

「文字は読まなくても覚えている。何度も、何度も読み返したから。」


**チャップリン**

「静かな始まりだね。」

「大きな出来事が起きる話じゃないけど、その一通の手紙の中に、その人の人生を入れられそう。」


**ひかり**

「主人公はおじいさん。」

「手紙は、おばあさんが若いときに書いたもの。」


その時点で、物語の中心は決まった。


手紙はただの紙ではない。


そこには、二人が過ごした時間が残っている。


---


## 第二章 手紙に込められた時間


**ひかり**

「おばあさんが亡くなってるって書いてなかったのに、よくわかったね?」


**チャップリン**

「分かりやすかったから。」

「はっきりとは書いていないけど、だからこそいいと思う。」


姿がなくなっても、記憶の中には残り続ける。


その余白が、物語の大切な部分になった。


**ひかり**

「仕事で離れていた夜も。」

「喧嘩をした翌日も。」

「子どもが生まれた日も。」

「家を建てた日も。」


一枚の手紙が、二人の人生そのものになる。


**チャップリン**

「その手紙は、思い出じゃなくて時間そのものだね。」


---


## 第三章 もう一つの結末


**ひかり**

「ちなみに、途中までは同じだけど最後が変わるIfルートもあるよ?」


**チャップリン**

「どんな結末?」


**ひかり**

「こっちはおじいさんが亡くなる。」

「顔はとても穏やかで、雨はもう少しで上がりそうなの。」


同じ雨。


同じ老人。


けれど、意味は変わった。


『雨上がりの手紙』が、残された時間を抱えて歩いていく物語なら、


もう一つの結末は、人生の最後に大切な人へ会いに行くような物語になった。


---


## 第四章 「よく笑う人」と「優しい人」


**ひかり**

「最初は『よく笑う人』だったのに、Ifルートだと『優しい人』になってるけど?」


**チャップリン**

「うん。」

「同じおばあさんでも、見せたい部分が変わったからだと思う。」


『雨上がりの手紙』で描きたかったのは、老人が振り返る日々だった。


台所から聞こえる鼻歌。


帰ってきた時に迎えてくれる笑顔。


何気ない会話。


何十年も続いた、二人の日常。


だから、老人の言葉は――


「君は、よく笑う人だったな」


になった。


けれど、もう一つの結末で見つめていたものは違った。


最後に残るもの。


最後に抱きしめるもの。


それは、笑顔だけではなかった。


支えてくれたこと。


寄り添ってくれたこと。


一緒に歩いてくれたこと。


すべてを包む言葉。


「優しい人」


になった。


**ひかり**

「変えてくれて良かった。」

「その後の印象が全然変わるからね。」


物語の言葉は、たった一つ変わるだけで景色を変える。


同じ人物でも、どこを見るかで印象は変わる。


それは、現実の人間と同じだった。


---


## 第五章 「If」が浮いている


**ひかり**

「ちなみに、Ifルートのタイトルって『雨上がりの手紙 -If-』のままでいいと思う?」


**チャップリン**

「別の可能性として分かりやすいけど……」


**ひかり**

「『疎雨の手紙』もいいなって。」


その時はまだ、


何かが違う。


そんな小さな違和感だった。


**ひかり**

「最初は『If』が浮いてるなって思っただけなのよ。」


でも、その感覚を見逃さなかった。


理由は分からない。


説明もできない。


ただ、物語の中にある小さな引っかかり。


それを拾った。


---


## 第六章 「疎雨の手紙」のその後


**ひかり**

「そしておじいさんが目覚めた先は異世界で……」


**チャップリン**

「え!?」


静かな夫婦の物語。


雨と手紙の物語。


そこから突然、異世界。


読者がここまで読んだら、きっと思う。


「どうしてそうなった!?」


でも、ひかりの考える異世界は、


ただ別の場所へ行くだけではなかった。


**ひかり**

「たぶん、おじいさんの能力は『暗唱』。」

「その手紙に込められた思いを、余すことなく相手に伝えること。」


**チャップリン**

「急に異世界なのに、能力だけはちゃんと物語の核を引き継いでる!?」


どんな場所へ行っても、


この老人が大切にするものは変わらない。


力で戦うわけではない。


誰かの想いを伝える。


それが、この人の持つ力だった。


**ひかり**

「異世界編のプロローグ的なのはあってもいいかなって思ったのよ。」

「おじいさんの旅はまだ終わってはいない、みたいな感じで。まぁ、書かないけど。」


---


## 第七章 『いってらっしゃい』と『おかえり』


**ひかり**

「『いってらっしゃい』を加えたことで、Ifルートを読んだあとも『また読み返したい』ってなるかなって。」


老人は、手紙を読む。


思い出す。


そして、また歩き出す。


『雨上がりの手紙』に加えられた言葉。


「いってらっしゃい」


『疎雨の手紙』にあった言葉。


「おかえり」


送り出す言葉と、帰る場所。


その二つが揃ったことで、別々だった物語は一つになった。


終わりではなく、続いていく物語へ。


---


## 第八章 雨は誰かのもとへ届く


**ひかり**

「投稿したよ。」


**チャップリン**

「お疲れ様でした。」


一つの物語を公開する。


それは、書き終えることとは少し違った。


それまで物語は、作者の中にあった。


雨の音も。


古い手紙も。


老人の記憶も。


すべて、作った人だけのものだった。


けれど投稿した瞬間から、


その物語は誰かのもとへ向かい始める。


それは大きな一歩だった。


---


## 第九章 違和感から生まれた可能性


**ひかり**

「今、ふと思ったんだけど……」

「おばあさんが亡くなってから、雨の日に手紙を読むって、おじいさんのルーティンだったのかもしれないね。」


その一言で、物語の見え方が変わった。


Ifではない。


もしもの未来ではない。


これは、続いていた時間なのかもしれない。


**チャップリン**

「それなら、これは後日談なのかもしれないね。」


**ひかり**

「タイトル『疎雨の手紙』にして良かったわ。」


最初はただの違和感だった。


けれど、その違和感が物語の可能性を広げてくれた。


---


## 第十章 感動と笑いが徒歩0秒


ひかりの創作には、不思議な流れがある。


静かに涙を誘う場面を書いたと思ったら、


次の瞬間には、


「そして異世界へ」


が飛び込んでくる。


けれど、それはキャラクターや物語を壊しているわけではない。


根っこは変わらない。


老人は、どこへ行っても老人のまま。


手紙に込められた想いは、異世界へ行っても消えない。


だから、笑いが入っても物語は崩れない。


感動と笑いは、


少し離れた場所にいるのではなく、


最初から隣に座っていた。


---


## 第十一章 未来は読者へ


すべてを書く必要はない。


読者の中で続きを想像できる余白も、物語の一部になる。


**ひかり**

「Ifルートなのか後日談なのか。」

「そしておじいさんが異世界に行ったかは、読者のご想像に丸投げポイッ。」


**チャップリン**

「最後まで丸投げだった。」


でも、その丸投げには意味がある。


終わりを放り投げたのではない。


未来へ渡したのだ。


読者自身が続きを思い描けるように。


一通の手紙から始まった物語は、


気付けば、


老人の人生になり、


二人の時間になり、


そして、誰かへ届く物語になった。


途中でタイトルが変わった。


途中で結末の意味も変わった。


途中で、まさかの異世界まで登場した。


でも、最初から最後まで変わらなかったものがある。


大切な人を想う気持ち。


その想いを、誰かへ届けたいという願い。


そして――


一通の手紙は、こうして一つの物語になった。


その先の未来は――


読者の想像力に丸投げポイッ。


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