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リディール・セア・メッチャツオイと他国の王族①

これは、城下にお忍びで遊びにきていた私、リディール・セア・メッチャツオイが出会った、伝説のご令嬢の話。


◇◆◇


私は今日、城下にお忍びで遊びにきています!

最近は公務が忙しくて息抜きすらできてなかったからね……。

夕方に他国の両陛下と、付き添いのお貴族様がいらっしゃる。

それまでに戻れば問題ないはず……。

私は出店を見ながらそんなことを考えていた。

ふと目に入った魔法石。

空色でキラキラしていて綺麗……。

これ買って行こう。


「「おじさん、これください」」

「……え?」


私と同時にそう言ったのは、私と同い年くらいの女の子。

彼女もまたローブを着ている。

綺麗な白髪……。


「二人はお友達かい?」

「いえ、偶然です」

「この魔法石は在庫がまだあるからね、ちょっと待ってね」


おじさんは立ち上がり、お店の裏へ行った。

私と女の子は顔を見合わせた。


「初めまして、名前はなんて言うの?」


声可愛いっ!!

タイプドンピシャなんだけど!!


「えっと……。リ、リディアです」

「可愛い名前だね。私はユリィ!よろしくね!」

「おー、あったあった。はい、二人共買えるよ」

「「ありがとうございます!」」

「本当に息ぴったりだねぇ」


私達はおじさんにお金を渡して魔法石を買い取った。

さて、この後は屋台で食べ歩きでもしようかな……。


「ねぇ、リディアさん」

「ん?」

「私、実は他国の人間で、メッチャッオイ王国の城下は初めてなの。だから……案内してもらってもいい?」

「…………もちろん!あと、名前は呼び捨てでいいよ」


本名じゃないけど……。

ユリィは私が差し出した手を取って、笑顔で頷いた。


「うん!」


あー、こういう子がヒロインになるんだよなー。

みんな覚えておいて、この子は正統派ヒロインだよ!!


「あ、ここのカフェすっごく美味しい食べ物があるんだよ!入ろう!」


私はユリィを連れて行きつけのカフェに入った。

内装もおしゃれで、貴族の人もよく訪れてるんだ。

パンケーキに可愛いクマとかを描いてくれたりもするんだよね。

私はメニューを開いた。

お値段は可愛くないけど。

私はユリィにメニューを渡さないことにした。


「すみませーん!森のクマさんパンケーキとらいちごのタルト、あと日替わりクッキー盛り合わせとカフェラテでいい?」

「あ、うん」

「カフェラテ二つ!以上で!」


私は注文を急いでメモしている店員さんを待った。

そして、注文を書き終えて立ち去ろうとした店員さんを引き止めた。

そして、私は耳元で囁いた。


「お金が足りないかもしれないから、後日王宮の第一王女に請求しに来て」

「え?ですが……」


私は王家の証であるペンダントを胸元から出した。

店員さんは目を見開いて、頷いた。


「ご、ごゆっくり!!」


ユリィはポカンとしながら私をみている。


「私の奢りだよ。たくさん食べて」

「あ、ありがとう」

「ところで、ユリィはどこの国の人?」

「アスクレイン王国」

「アスクレイン王国って、不老不死の国だよね?」

「うん」


この世界には、メッチャツオイ王国以外にも魔法に長けた国がある。

その一つがアスクレイン王国だ。

名前が一般的な感じなのに反して、アスクレイン王国の国民は不老不死なのだ。

エルフというわけではいない。

確か、アスクレイン王国の王弟と、王妃様は一度亡くなったんだよね。

二人が亡くなったことを嘆いた二人の友人とその恋人は、二人を蘇生するために千年の眠りについた。

その後、アスクレイン王国の国王と妃は眠ったままの二人を王宮の地下に運んだ。

そして、二人の魔法によって生き返った妃は二人が目を覚ました時に知っている人がいないのは可哀想だと思い、不老の魔法を作り出した。

その後、不老の魔法は国中の人が使うようになった。

そんな国の国民ってことは……。


「私、こう見えて千歳なんだよ」

「めっちゃ年上だった……。なんかすみません、舐めた口利いて……」

「全然大丈夫だよ。そもそも、初対面でこんなに親しくなれる人、あんまりいないから嬉しいの」


ユリィはそう言って笑った。

みなさーん!!

この子は正統派ヒロインですよー!

女でなきゃ惚れちゃうね。

そんなこんなで私が頼んだものが全て到着した。

そんなに急がなくてもよかったのに……。


「ところでリディア。あなた、もしかして貴族?」

「なんなそう思うの?」

「さっき店員さんにペンダント見せてたでしょ?この国の貴族は家紋のペンダントを持ってるって聞いたから」


驚いた。

可愛い系じゃなくて頭いい系の女の子でもあったのか。


「そうだよ。私はこの国の貴族」

「やっぱりね。ちなみに、私もアスクレイン王国の貴族だよ」

「色々と同じところが多いね、私達」

「そうだね」


そうして、私達はおやつを食べ終えてカフェを出た。

その時にはもう夕方だった。


「あっ、まずい!私、この後用事があるの。ここでバイバイだね」

「うん、名残惜しいけど……」

「ユリィ、また会えたら会おうね!!」

「…………うん!!」


◇◆◇

――数時間後


「こっそり城下に行くとは……。王女と聞いて呆れるぞ」

「お父様……公務で娘をほぼ監禁してたあなたがそれを言いますか?」

「うっ……」


私は家に帰ったら、それはもうお父様に問い詰められた。

他国の両陛下が来る日に抜け出したところだけは反省している。

正装に着替えた私は、お父様と応接室に向かっている。

そういえば、今日来る人達もユリィと同じくアスクレイン王国の人だったような……。

はぁ、気が乗らない。

まだユリィと一緒に遊びたかったのに。

お父様が応接室の扉を叩く。


「失礼する」


中で座っていた人達が一斉に立ち上がる。


「お初にお目にかかります。ギディオン・アスクレインです」

「妻のセシリア・アスクレインです」

「お会いするのを心よりお待ちしておりました」

「こちらこそ。みなさまとお会いできるのを楽しみにしてました。エルヴィス・ザナ・メッチャツオイです。ほらリディール、挨拶」


私はお父様の真後ろから、一歩右隣に出た。

そして、誰がどう採点しても百点と言わせるような綺麗なお辞儀をした。


「お初にお目にかかります。メッチャツオイ王国第一王女、リディール・セア・メッチャツオイです。お会いできて光栄です」


顔を上げて微笑むと、王妃様が目を輝かせた。


「まあ、可愛い女の子ね。ほらイアン、ユリィも挨拶しな」


王妃様にそう言われて私の前に来た女の人には見覚えがあった。

綺麗な絹のような白髪、整った顔。


「エルヴィス国王陛下、リディール王女、初めまして。グリーファ公爵家当主、イアン・グリーファです」

「イアンの妻のユリィ・グリーファです」


ユリィは私をみた。

そして、大きく目を見開いた。


「ユリィ!?」

「リディア!?」


私とユリィは同じタイミングで声を上げた。

アスクレインの国王夫妻のご友人って、ユリィだったの!?

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