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新章☆第七話 朝のパン焼き
新章☆第七話 朝のパン焼き
アルミの星の記憶☆新章第七話
朝、居住モジュールに甘い香りが漂った。
「ユウ、パンを焼いてみたのよ」
サンドラがアルミホイルに包んだ小さなパンを取り出す。外はこんがり、なかはふわりと蒸気があがった。
「すごい! オーブンなんてないのに」
「ホイルで包んで、石の熱を利用したの。ちょっとした工夫よ」
スキッパーがひと口かじり、目を丸くした。 「うまい! でも……あっつ! 金属伝導、早すぎだろ!」
みんなで笑いながら、パンを分け合った。ユウは湯気を眺め、胸の奥がじんと温まった。
少年の来訪者がそっとパンに触れ、目を閉じた。 「……声がする。『ありがとう』って」
ユウは編み棒を手にしてつぶやいた。 「料理も、編み物も、笑い声も……星は覚えてくれるんだね」
サンドラが頷き、スキッパーがにやりと笑った。
「じゃあ俺の冗談も、ぜんぶ記録されてるわけだ」 「それは迷惑!」ユウとサンドラが同時に突っ込んで、また笑いが広がった。
灯台の光が差し込む窓辺で、小さな営みのひとときは、確かに星に刻まれていった。




