新章☆第四話 ユウとカウベル
「カウベル=楽器の小話です。昨日のマグカップの続き。」
新章☆第四話 ユウとカウベル
市場の喧騒から少し離れた場所で、ふいに「カラン、コロン」と澄んだ音が響いた。
ユウが足を止めると、小さな露店に吊るされた数十個の金属製のベルが、風に揺れて鳴っている。
「これは……カウベル?」
首をかしげるユウの耳に、店主の説明が飛び込む。
「そうそう。牛の首に下げるだけじゃなくて、打楽器としても人気なんだ。素材によって音色が変わるんだよ」
鉄、真鍮、銀色に光る合金──。並んだカウベルをひとつ叩くと、低く柔らかな音が響いた。
別のものを叩くと、澄んだ高音が転がるように広がる。
「へぇ……同じ形でも、こんなに違うんだ」
ユウは目を丸くして、ひとつひとつ音を確かめていく。
そこへスキッパーがひょいと顔を出した。
「マグカップを楽器にするよりは、こっちの方がちゃんと鳴るな」
「もうっ、からかわないで!」
ユウが頬をふくらませると、サンドラがくすりと笑った。
「でも、音楽ってそういう偶然から生まれるのかもしれないわ。
マグカップも、カウベルも、使い方次第で誰かの心に届く音になる」
その言葉にユウはうなずいた。
風に揺れるカウベルの音が、少し未来の合図のように耳に残っていた。




