新章☆第三話アルミのマグカップ
今回はアルミのマグカップをめぐる小話です。ちょっとした日常のひとコマをお楽しみください。
新章☆第三話
アルミのマグカップ
サンドラがゲストルームから出てきて、両手に銀色のマグカップを抱えていた。
「これ、キッチンにあったんですけど……すごく軽いですね」
差し出されたのは、惑星AL特製のアルミ合金製マグカップだった。
スキッパーが笑った。
「丈夫で軽い。熱伝導もいいから、あったかい飲み物に最適なんだ」
サンドラはカップの底を指で軽く叩いてみた。
「カン、カン……。なんだか楽器みたい」
「おい、マグカップで演奏するなよ」
スキッパーが呆れ顔をする横で、私は思わず吹き出した。
「でも確かにいい音ね。叩き方次第では……」
私が言うと、サンドラの目が輝いた。
「そうでしょう? 実は料理をしてるとき、道具の音って全部音楽に聞こえるの」
しばらく3人でマグカップを叩いて遊んだあと、温かいお茶を入れて飲んだ。
口をつけると、ほんのり金属の冷たさと、立ちのぼる湯気の温かさが一緒になって、不思議な味わいだった。
「楽器か、食器か……。どっちにしても使い道は無限大ね」
サンドラのひと言に、私とスキッパーは顔を見合わせて笑った。




