2024/12/21_月
うっかりメイは「夜空」「破壊」「荒ぶる高校」を使って創作するんだ!ジャンルは「童話」だよ!頑張ってね!
[あらすじ]
ある街では年に一回、夜の明けない日があった。神話では建国の王が祟り神を封印したとされる月が一年で一番この星に近づくからだとされていた。とある高等教育機関の生徒がその祟り神をよく見ようと月に近づこうとするが、ついに到達できず。それどころか大けがまでしてしまう。彼はそれ以来空に近づくことを辞め、長い年月が経った。
ある所に大きな街がありました。その街にはたくさんの人が住み、たくさんの建物がありました。この街で一番大きな建物にはそこを治める王が住み、彼の下で皆は幸せに人生を過ごしていました。さて、その中で五番目に大きな建物、専門知識を教える学校にひとりの青年が居ました。彼はその街の王子であり、名前がありましたが、周囲の人からは“熱中公”と呼ばれていました。というのもひとつ気になることがあると、朝晩の食事も忘れてそれを解決することに熱中しまうからです。そして彼の最近の専らの関心事は空にかかる月についてでした。
街には一年のうち、ずっと夜が続く日がありました。古い言い伝えによると、この街を作った王様が人々を苦しめていた祟り神を夜空に浮かぶ月に封印したことがあり、夜が続く日はその月が一番この地上に近づくせいだとされていました。ですが、その月に誰も行ったことがありません。そこで王子は何とかして月に近づく方法を考えていたのです。
「この世で一番高い塔を作れば近づけるのではないか」
彼は職人を呼び、学校の屋根にレンガを積み上げさせました。王宮より高く積み上げれば月に手をかけられる、そう考えたからです。しかし、彼の考えた通りにはなりませんでした。一度目の建設では積み上げたレンガが高くなるにしたがって塔自体がグラグラと揺れ、ついには倒れてしまいました。おかげで授業や研究が一週間ほど中止になってしまいました。そのため、場所を街の外の広い場所に移し、古い書物を参考に地面に深く杭を打ち込み、巨大な一枚の岩を遠方から切り出して地面とし、二度目の塔を建設しました。しかし雷が降り注ぎ、足場や骨組みの木材が燃え、今度も失敗してしまいました。それ以降もレンガの強度が足らずに根元から崩れてしまったり、ついには建設途中に落下する人が増えて中止になってしまいました。塔を建てる作戦は失敗です。彼は次のアイデアを考えました。
「空を飛ぶことができればいいのではないか」
そこで彼は大きな翼を作らせ、それを装備しました。鳥のように羽ばたけば空を飛べるはずです。しかし、どれほど動かしても彼の身体は浮き上がることはなく、冬にもかかわらずただびっしょりと汗をかくだけでした。またしてもうまくいきません。彼は鳥が飛ぶ様子を注意深く観察し、やがて高いところから飛び降り、風に乗れば空を飛べるはずだと考えました。そこで更に大きく、軽い素材で翼を作り、体重の軽い者に操縦を任せました。それは一見成功したように思えました。たしかに大空を舞い上がる姿は巨大な鳥です。しかし、肝心の月に到達するにはまだ高さが足らないようでした。操縦した者も月には全く近づいた気がしないと口にしました。
更に高く飛びあがるにはどうすればいいのか。彼は再び悩みました。しばらくすると、とある学者が彼の下を訪れてきました。火を燃やすときに出る煙で布が舞い上がることを見たことがあり、これを利用すれば空を飛べるのではないかという話を持ってきたのです。そこで王子はこの学者にお金を与え、研究をさせました。そしてついに大きな風船と焚火台を上部に付けた熱気球を作りあげたのです。彼は学者と共に空に浮かび上がりましたが、上空で見えない力に押し流され、遠くの湖に着水。腕の骨を折るなど大けがをしてしまいました。これには父である王様も大激怒。彼をしばらく王宮に閉じ込め、許してもらうまで数か月もかかりました。
ついに彼は夜空にかかる月をこの手で掴むことはできないとあきらめ、また別のことに熱中してしまいました。この世界で一番最初に空を飛んだ人々から尊敬されましたが、当の本人は最後までこのことについてあまり話すことはなかったそうです。そのためか、王子が空を飛んでから百年間はその実験や研究を行う者が現れることはありませんでした。