2024/12/12_コタツ戦車
うっかりメイは「曇り」「コタツ」「過酷な物語」を使って創作するんだ!ジャンルは「ギャグコメ」だよ!頑張ってね!
あらすじは……ありません
警報が鳴り響く。ベースキャンプの出入り口から離れた第一防衛線で定位置についたハバキ曹長はインカムを通じて隊員の様子を把握し始める。
「ベルナード、ポイントAでの観測状況を……わかった。ナタリー、ポイントDで潜伏、合図を待ちなさい。サラはポイントCでパメラと敵を引き付けて。ネネは……ネネ? 返事しなさい」
隊員の一人、支援火器担当のネネから返事がないことに気付く。
「誰か、彼女知らない? え、兵器庫で遊んでた? 嫌な予感ね。わかった、彼女は後できっちり絞っておく」
「たいちょー、遅れてすみません」
「ネネ、遅い! 早くサラの……って何してるの?」
振り向いた彼女の眼には何かを背負って這いつくばるように移動する少女の姿が目に入った。
「何って、寒いのでコタツに入って来たんです」
「ふざけてるの? 装甲服着てればいいじゃないの」
「あれ重くて嫌なんですよ」
「そのコタツの方が重たいと思うんだけど」
「それに私ゴロゴロしながらお仕事したいので」
「ならずっと匍匐で移動すればいいじゃない」
「それにコタツに入っていればどんな天候でも快適ですよ」
「そうね、今日みたいな曇りでも快適そうね……ってさっき言ったように装甲服着てきなさい」
「いやだってあれ重たいんですよぉ」
「そのコタツの方がどう考えても重たいと思うわ」
「それにゴロゴロしながら仕事できないじゃないですか」
「ならずっと匍匐していなさい……あれ、さっき言ったかしら?」
「あ、たいちょー危ないですよ」
二人の場所に銃弾の嵐が降り注ぐ。しかし、ネネがコタツを背負ったまま立ち上がり、ハバキの前に移動する。下はやはり怒られると考えたのか、ちゃんと制服を着ている。天板と布団が無数の鉛弾を受け止め、二人に怪我はないようだ。ハバキが天板の上に身を乗り出し、応射する。
「それちゃんと防弾仕様なのね」
「そりゃそうですよ。コタツの中で死にたいですけどコタツで死にたくはないですから」
「哲学っぽく言ってるけどどちらも全く選びたくないわ」
「ええ、たいちょー、まじめすぎると人生損しますよ~。少しくらい息抜きしないとこんな過酷な世界じゃ長続きしませんよ~」
「私としてはあなたのように毎回ふざけているのに生存している方が不思議なんだけど」
「あ、でも今回私は真面目に考えましたよ!」
「はぁ、全く期待できないけど聞いてあげる」
「これ、やっぱり動きにくいので脚に車輪着けてくるべきでした!」
「そうね、いまのままじゃ亀よりも遅そうだわ」
「あとやっぱり充電式だけじゃなくてコードを付けるべきですよね」
「私に聞かないで。ちなみに尻尾のつもりかしら」
「お、さすがたいちょー! その通りです」
「分からなければよかったわ」
「そんなこと言わずに~。たいちょーも改善点考えてくださいよ」
「私が考えるべきはそのふざけた装備品を開発した雨森とあなたの処罰内容よ」
「またまた~」
「本気よ」
「分かりました。ではこうしましょう」
「なぜあなたが提案する権利があると考えているのかわからないけど、一応聞きましょう」
「私の役職は今日からタートルです!」
「少なくともハバキ防衛部隊に役職はないわ。ゲームじゃないのよ。あとそんな役職一度も聞いたことがないわ」
「いいじゃないですか。人は一度くらい誰も歩いていない道を歩きたくなるものじゃないですか」
「そうね、それが地獄への一本道でなければね」
「地獄って寒そうですよね。そんな時でもこれがあれば一安心です!」
「多分地獄の入口で没収されるわ」
「そんな。私はコタツの中で死ぬと決めているのに!」
「その状態で地獄にいるなら目的は達成しているんじゃないかしら。それか今から確かめに行ってみる?」
「痛いです。銃口でグリグリされて、つめたくて痛いです」
「トリガーに指をかけてないだけマシだと思いなさい」
「優しいんですね……ポッ」
「死ね」
「ストレートに罵倒されました!? ってあれ、もう戦闘終わりですか?」
二人が周囲を見渡すと、敵の姿はどこにも見えなくなっていた。
「ふぅ。本当に皆には迷惑かけてばかりね。ほら、ネネから謝罪しなさい」
「私また何かやっちゃいました? すみません、もう二度としません。ほっぺたに銃口の跡がついちゃいます」
ハバキがため息をつく。
「さて、今日は帰ってからやることが山積みね」
「え、何か書類仕事でも残ってるんですか? 食事と寝るだけだと思ってましたけど」
「あなたに頼みたいことがあるのよ。基地内の掃除と今日使った分の弾倉への補充、それとオーバーホールも」
「え、雑用全部やらせようとします?」
「今日はぐっすりと眠れそうね。もちろん就寝時は懲罰房に行ってもらうわ」
「そ、そんなぁ。新しい兵器をお披露目して役に立とうとしただけなのに」
「分かったわ」
「あ、許していただけるんですか?」
「一週間懲罰房ね」
「ひぃぃ、どなたかお助けを~!」
ネネはコタツごとハバキに抱えられ、基地へと戻っていった。