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惑星ケモミミα  作者: 梅しそ ほろろ
2章 旅人は語る
22/35

想定外

「ほれ、あーんじゃ」


「………」


「ええい、口を開けよ!あーん!!」


「やだぁ!!恥ずかしぃんっ、んむぅ~~~!!」


「ほーれ美味いじゃろう?よしよし」


「…うおおお!殺せ!ひと思いにやれぇええ!!」


こんにちは。ケンです。

足をガオパルドンに食われたと思ったら折れてただけで平気だったんですけど。

ミユシスが謎の力で骨折も秒で治してくれました。治してくれたんだけど……


「くふふ、恥ずかしがるでない~。ほれもうひとくちじゃ、あーん」


「ひぃん」


一晩は安静じゃ!と言われて、今は介護プレイされてる。死ぬほど恥ずかしい。

ロリのちっちゃなお手々であーんとか。こんなプレイされて俺の威厳はぼどぼどだ!

リアルおままごとやってんだぜ?遊びでやってんじゃないんだよぉーッ!


「失礼します。艦長、着替えをお持ちしました」


「む。ライム助かる、ご苦労様」


俺はキリッと全力で表情を引き締めて着替えを受け取る。こんな恥ずかしい所ライムに見せられん。

今日はこのままミユシスの家に泊まる事になりそうだ。

ライムには小間使いさせて悪いが、これで下がってもらおう。


「今日はもう良いぞ。船に戻って休んで良い」


「いえ、引き続きお世話させていただきます」


「…もしかしてさっきの事を気にしてるのか?もう大丈夫だって」


「駄目です!艦長は私が居ないとすぐ死んじゃうんですから!今日は一緒に寝るんですぅ!!」


いや確かに外で動く時はライムの護衛は必要かも知れんが。

一緒に寝る意味…男と女が同衾する意味理解していってる?もう知ってるよね?エロ同人だぞエロ同人。


「ではまず着替えをお手伝いしますね」


「いや自分で着替えれますけど。やめろライム脱がすな脱がさんでいい」


ちょっとどうしちゃったのこの子。

なんかキノコにまた変な事教わったか?そろそろアイツ焼くか?煮るか?それとも炊くか???


「ライムは健気じゃの。今晩はわしが世話するから放っておいてよいのに」


「いや別に俺は一人でどうとでも」


「いや?今晩はぜ~ったいに安静じゃぞぉ?…くふふ、くふふふ」


こ、コイツ…!?まさか第2ラウンドを仕掛けてくるつもりか…!?

君もう孕んだって言ったじゃん!そういうの体に良くないんじゃない?ねぇ!知らんけど!


「何するつもりだ!?ライムも居るんだぞ!」


「そなただって皆の前でわしを辱めおったではないか…。お互いさまじゃ」


「いやっ、あれはだな…悪かった!俺が悪かったから!な、許して?」


「では私は上を脱がすので」


「わしは下を」


「おい、ちょま…!いやぁん!!パンツはらめぇ!!」


・・・


俺は散々二人に弄ばれた後、結局3人で川の字に寝ることになった。

もう好きにしろい。まな板の上のケンとは俺のことよ。


「はふはふ…くふふふ」

「すんすん…えへ、えへへ」


「お前等何がそんなに楽しい……」


「む?好きな男の匂いを嗅いで何が悪い。のぅ、ライム?」


「はい、艦長の事は好きですよ」


あー可愛い女の子に挟まれて爆発しそう。頭部と股間が。それ大破じゃん。

でも俺紳士。何も手出しするわけにはいかないの。拷問継続。


「…ふふん、罪作りな男じゃ。神の子まで手籠めにするか?」


「まだしてねーよ!!……そりゃライムの事はミユシスと同じくらい、俺だって。好き、だぞ」


「ありがとうございます…んぅ?ミユシス様と同じくらいって。あー!艦長のえっち!セクハラぁ」


「なんでそうなるんですかぁ!純愛だよぉ!?」


「くふふっ、よいではないか。わしは番を増やすなとは言っておらぬ」


「確かに俺もこないだ勢いでそんな事口走ったけどよぉ……今はそんな気分じゃねーんだ」


そもそもライムは俺の癖にドンピシャすぎて手を出しにくいんだよ。

0歳相手とかそういう言い訳すっ飛ばしても、ちょっと躊躇するというか…

なんかハマっちゃいそうで危ねえの!ミユシスだけでもこうやって一緒に寝てるだけでムラムラしてくんのに。

ハーレムエロ小説じゃねえんだからそう容易くR18にするわけにはいかねぇんだよ。説得力薄いけど。


「ほーぅ。心変わりでもしたのか?」


「…まぁ、な。俺はまだまだ知らない事が多すぎて…もっと。子作りよりも先にこの世界の事を知りたいの!」


「ふむ」


この村は、俺の介入があろうが無かろうが。ゆっくりとした時間軸で日々の生活は安定している。

子孫を増やすことだけが喫緊の課題なだけであって、他にはすぐにでも解決しなければならない問題点はあまり無い。

村でやりたいことはそれなりにある。だが、俺にも欲が出たのか。もっとやりたいことが。


「…旅に、出たいんだ。色々な世界の風景を。動物を。もっと見て回りたくなってさ」


「はぁ~、またそれか。お主はじっとしておるのが苦手なようじゃの」


ミユシスが体を起こす。俺の頭におなかを当て。静かにゆっくりと語りかけてきた。


「…聞こえるか?新しい命の音が。お主の子じゃぞ」


俺は耳を澄ませる。…ちょっとよくわからない。

ミユシスには聞こえているのだろう。流石にもう少し大きくならないと…。


「この子達はすぐに生まれる。その後なら、世界を見てくるとよい」


「えーと…たしか1年くらいかかるんだよな。わかった、それまでは…」


「一年?いや、ひとつきくらいで生まれるが?」


「…は?」


そりゃ幾ら何でも早すぎね?俺も詳しくはないが、普通もっと掛かるだろ。


「なんじゃそんな事も知らんのか。子供は孕んでからだいたいひとつきで生まれるものじゃ。そこから乳離れがもうひとつきくらいかのう」


「いや…ペース早くない?じゃあ大人の体になるのはどれくらいかかんの?」


「うーん、成長しきるのはもっとかかるのぅ。まぁ10年そこらじゃろ」


そっちは普通…いや普通ではないな。もうなんなのこの星。

明日シイタケに通信して問い詰めよう。ミユシスの治癒力とか色々聞きたいし。


「じゃがまさか子育てをわし一人に押し付けはせんじゃろうなぁ?」


「えっ、しないしない。俺だって頑張るよ?」


「じゃったら旅にでてもすぐ戻ってくるんじゃな?そうじゃな、前の旅と同じくらいまでなら許してやろう」


前に墜落船調査行ったときってどれくらいで戻ったっけ…

10日くらい?…短いなぁおい。


「どうせ連れて行くんじゃろう?ケンの事は任せたぞ、ライムよ」


「はい!精一杯お世話します!!」


なんか飼われてるペットみたいな気分になってきた…わんわんわおん。


「良い返事じゃ。旅に出る前にもっと皆の話を聞くとよい。服の件も聞いたが、あれこれ欲しい物もあろう…くぁぁ」


「あぁ、サンキューなミユシス。ほら、もう寝ようぜ」


「……今日はせんのか?」


「お望みなら全力でモフり倒すが?」


むしろモフりたいが?モフらせろ。


「そっちじゃないわい、たわけ…ふん、今日はライムもおるから勘弁してやろう。わしも眠くなって…」


ふーん、寝ちゃうんだ。…なんかつまらんな。

さわさわもふわしゃ


「…ええいそっちではないと言っておろう!やーめーぬーか!」


「ミユシス…そんな尻尾で俺を誘惑するのが悪いんだぞ」


「ばかものっ、誘惑などしておらん!ライムもおると言っておろうに!」


「…尻尾って触ると気持ちいいんですか?」


「らしいぞ?お前ももふっとけよ絶品だぞ」


「ひゃぁん!?この、ばかものどもっ…きゅふん!」


もふもふ。もふもしゃ。

二人がかりで尻尾をもふられたミユシスはあっという間に墜ちた。


「きゅふぅぅん…」


チッ、もう看板か…出来れば朝まで尻尾抱いて寝たいまであるんだがな…


「ミユシス様の尻尾、本当に柔らかいですねー」


「だろ?これがまた癖になるんだよ」


「うーん、私の尻尾はあんまり大きくないので…ちょっとうらやましいです」


「そうか?ライムの尻尾も可愛くて俺は好きだぞ」


「えっ、そ、そうですか?あぅぅ…」


「ん?どうした?」


「……触ります?尻尾」


「あーーーうんうん!もう寝ようねぇ~?良い子は寝る時間だね~~~」


「艦長~!触って!良いですよ!」


「あー眠いなー!俺も寝ないとなー!うんうんぐぅーすか」


「…艦長のヘタレ」


「誰がヘタレだこら」



・ ・ ・



おはようございます。ケンです。

危うくライムの尻尾に手を出す所でした。危険が危ない。

繰り返しますがライムは俺の趣味ドンピシャの美少女なんです。

下手に手を出したら絶対歯止め効かねーんだよ。

ミユシスとの件は失敗しちまったとはいえ、そんなホイホイ子孫増やせねーの!

こないだみたいに変なノリで子作りすっぞとか言えねー。


とりあえず昨日のライムの治癒能力がすっげー気になる。朝から通信でキノコにモーニングコールだ。


「おいこらシイタケ。色々説明しろ何がどうなってやがる」


『また急に連絡してきたと思えば穏やかじゃないねぇ。で、何さ』


「かくかくしーかーじーか!!ミユシスのあれは何だ!説明してください!」


『あぁ、狐耳の子だよね?彼女のプロトタイプはね、試作のバイオコンピュータを入れてテレパス通信を出来るようにしたかったんだー」


「はぁテレパス。んじゃライムと通話出来たりとかするってこと?」


『いやそれがさぁ。最初のほうは上手く行ってたんだけど、なんか世代交代が進む度に勝手に改変されちゃって。目標の生態組織に直接介入するバグが発生しちゃったんだけど』


「あれバグなのかよ。…じゃあ想定外ってこと?」


『うん。本来の通信機能は失ってしまったみたいだけどサイキック能力が向上したみたいだね。でも特に害も無いしほっといて良くない?』


「まぁ確かに。そういや元々がテレパスって事は、ライムも使えたりする?」


『あぁ、ライムには無理だからね。そういうイレギュラーな因子は排除してるからデータ送受信で手一杯なはずだよ』


「ふーんなるほどね。だからってスケベなデータ送ったのは許してないんですけどねぇ!?」


『し~らない。僕はアニメ見るので忙しいから切るよ。じゃね』ブツッ


「あ、おい!ったくもぉ…」


…はぁ、とりあえずミユシスの謎能力の事が聞けただけ良しとするか。

あ、妊娠のサイクル早すぎねぇか聞きそびれたわ。

しかしそうなると…ミユシスの子供にも同じような能力が備わるのか。将来大変そうだなぁ…

……てことはもしライムと子供が出来た場合はどうなるんだ?魔王が増えるのか?増えちまうのか…?

子供をあやしてる最中にねじ切られたりとかせんだろうな。不安だ……。


「艦長、おはようございます…」


「お、おうライム!?今朝も良い天気だな!!」


「はい……」


き、気まずい…!なんか他に気の利く言葉言えねーのか俺は!

ぐ、ぐぬぬ。経験値が足りない。


「…艦長、私の事。嫌いになっちゃいましたか…?」


「え?なんで?」


「だって…」


もしかして尻尾触らなかったから拗ねてる?んなわけないよねぇ?

それともまだ守れなかったと悔やんでるのだろうか。気にするなと言ったろうに。


「はぁ…好きに決まってるだろ」


「好き…?」


「ライムは俺にとって大事な可愛い女の子なの!変な事気にしてんじゃない」


「……嫌われて無くて良かったです。えへへ」


俺は床に膝を付いて崩れ落ちる。なんてピュアな子なんだ…!くそぉ、一生大事にしてやるからな!


「…旅、もうちょっと後になりそうですね」


「あぁ。子育てとか色々あるもんな…。ま、んなもん後からいくらでも出来るさ」


「…あの!私も、艦長大好きですよ」


「あああぁぁぁ!うちのライムちゃんが可愛すぎるんです!好きぃ!!」


「んぅ~、もう朝かぁ?まだ眠いんじゃ…はっ!昨晩お主らよくも~!」


ミユシスは起床直後はぷりぷり怒っていたが。

全力でほっぺにちゅーしたら超ご機嫌になった。ちょろい。

ライムにもおねだりされたので同じことをしてやった。これくらいはポリスメンも見逃せ。


俺の足もすっかり治ったし、ライムも元気になったようなのでとりあえず一件落着。

さて今日は何をしようか。昨日採取し忘れた良い感じの草でも拾いにいくか?

あと、縫製用の機械を自動作業机で…うーん、結構タスク溜まってんな。

まぁ、のんびりやるかぁ~。



・・・



俺とライムは森に入って、草を毟る。村の近くに種でも撒いとけば勝手に生えないだろうか。

そんな事を思いつつも作業していると。


ゴルルッ…


「げっ!また出たぁ!!」


ガオパルドンが草むらからにゅっと顔をだす。

無音で近づいてくるもんだからこちとら寿命がめっちゃ縮まる。

俺は慌ててショックガンのホルスターに手を伸ばした。


「艦長待ってください。彼女に敵意はありません」


「えぇ?そうなの?かぷっとしてこない?」


「はい、大丈夫です。それで御用はなんですか?今日はお肉持ってないんですよ」


ガオッ…ゴルッ…フシュゥゥ


ガオパルドンは肉を強請りに来たわけではなく。

むしろ逆にファミ鳥(変な声で鳴くヤツ)の死骸を俺の前に置いた。


「…これは?」


「お見舞いだそうです。息子がご迷惑をおかけしました、と」


「あ、そんなそんな。ご丁寧にどうも…?」


ゴルル…ブフゥ、とガオパルドンはまた静かに音も立てず、草むらの奥へ消えていった。


「…ひぇぇ、おっかねぇ。ていうか昨日も思ったんだが…ライムってガオパルドンの言葉が理解るのか?」


「? はい、わかりますよ。むしろ皆喋ってると思うんですけど…」


「皆って…カルビーも?」


「はい。草美味いとか言ってますよ」


「ミャーオ族は!?サンパチがサンプル足りんと言ってたが」


「…理解りませんか?皆さん結構饒舌なんですけど…」


理解らんのかこのたわけが。と、ライムは言う。

いやわからんて。つかそれも特殊能力じゃない?テレパスとかと違うだろ。

おーいキノコよ。ライムもバグってんぞー。0歳で進化しちまってるよどうすんだこれ。


「…うん、すげーわ。これからも通訳頼むぞライム」


「はい、お任せください!」


うーん、なんか他にもありそうじゃない?

村人達に後で特技とか無いか聞いて回るとするか……

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