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惑星ケモミミα  作者: 梅しそ ほろろ
1章 ケモミミの惑星
17/35

くんくん、ふすふす、すんすん

どうもケンです。長い旅も終わって、俺達はようやくPSG-3810まで戻ってこれた。

さて…まずはニンジャーから荷物を降ろして片付けないと。


<<おかえりなさい艦長>>


「ただいま。サンパチの声を聞くのも久しぶりだなぁ。道中に詳細送ったけど届いてるか?」


<<調査概要レポートは受信しました。現在墜落船との通信中継ポイント建設候補地を策定中>>


「あ、そうだ。キノコ星人からそのための…ええとライムなんだっけ」


「タキオン通信アンテナですね。これ使うと便利だよって預かってます…よいしょ」


シイタケから預かったタキオン通信アンテナ。ニンジャーに乗せて持って帰ってきた。代わりにドリルは置いてきた。

本来は星系間通信に使うNAV SATに搭載されてる物らしいんだが、旧規格の製品をシイタケが持っていた。

惑星は丸いので地平線の向こうに電波は届かないだろ?今はドローンで中継してるが、これを静止軌道に設置できれば離れた位置でもタイムラグ無しで通信できる。

ただ、どうやってこれを打ち上げるかだが…


<<…タキオン通信アンテナの最大ポテンシャル発揮には軌道投入ロケットの作成が必要です。資材が不足しているため、作成は困難と判断します>>


「そんなロケットあるなら俺達とっくにこの惑星に居ないよな~?HAHAHA」


<<しかし可能であれば非常に有用な装置です。中継アンテナのコア部品に利用出来るか検証を開始>>


俺渾身のジョークはあっさりスルーされる。AIにジョークは通じない…いや、真面目なサンパチには通じない。


「うーん…道中にあった一番高い山へ設置してみるはどうでしょう?」


「えぇ~山頂まで登るの?雪山登山はちょっと…何か他に案ないか?」


流石にニンジャーで整備された道すらない山を登るには限度がある。

最大出力で踏破できたとしても、万が一滑落なんてことになったら目も当てれない。当然自力で山に登れって話ならもっと辛い。

俺が躊躇していると、サンパチが別の方法を提案をしてくれた。


<<ドローンを呼び戻し、アンテナを搭載して高高度で周回させるのは如何でしょうか>>


「あー、なるほどね。もうそれでいいや、1機手配してくれ」


<<了解、ドローンNo3に帰還命令を出しました>>


同じ仕事をするなら楽な方が良い。決して怠惰なわけではなく、リスクを考えればこっちのほうが良いだろう。

ドローンやドリルは予備機があるが、ニンジャーは1機しかないのだから。大事に使わないとな。


「では私はドローンにアンテナを固定する器具を3810の予備部品から作成してみます」


「あぁ頼む。手伝いが必要なら言ってくれよ?」


「はい、艦長。どうやって搭載しようかなぁ…」


ライムはアンテナをひょいっと片手で持ち上げて考える。…あれの重量、ライムより重いんですが。

そういやよくよく考えたらライムのことをちゃんとサンパチに紹介するのを忘れていた。

元はサンパチのコピー。サンパチから生まれたってことは…ある意味、サンパチが母ちゃんって事か?

本人から見たら複雑だろうなぁ…送り出した分身がまさか人間になって帰ってくるんだから。


「…あー、今更だけどライムの件は…説明いる?」


<<彼女の顛末はレポートで概ね把握済みです。…ですが実際に見て正直驚いています>>


「俺だって最初は驚いたさ。こんなの前代未聞だぜ?」


<<私のコピー…いえ、今はライムでしたか。何か彼女がご迷惑をおかけしませんでしたか?ずっと心配していたのです>>


珍しい。サンパチから心配、なんてセリフが聞けるなんて。

迷惑なんてかかってませんよ。何度かねじ切られそうになったりドギマギさせられてるだけっすよ。

しっかし、ホントに母親みたい。ずいぶん人間っぽい事いうじゃないの。


「いんや、心配するような事はねーよ。むしろ助けられてばかりだったぜ?お前と同じで優秀さ、なっライム?」


「えへへ、精一杯がんばりました」


俺はライムの頭を撫でながら褒める。

本当に彼女が居てくれなかったら、こんなにスムーズな旅は果たせなかっただろう。


<<…問題なかったようでしたら何よりです。所で艦長、今後の予定はお決まりですか>>


「一応レポートで送ったが、ゆくゆくは村人に技術指導とかをやろうと思ってる。まずは農業とかな」


「この後皆さんに挨拶に行かれるんですよね?ちょっとだけ緊張してきました…」


「なぁに俺がついてる、心配すんな。サンパチ、ついでにちょろっと村人にも農業の説明とかしたいから…適当に分かり易い資料出してくれ」


<<了解。ライブラリから関連ワードを検索>>


「3810、私にも関連資料のライブラリデータ共有を求めます」


<<許可します。ライムへのデータリンクパスを発行>>


「ミキュッ…ムキュ。…ええと、概ね必要な情報は把握できました。これでバッチリです艦長」


「す、すげぇ一瞬で…じゃあ細かい説明とかは任せていいな?」


「はい、お任せください!」


「…まーじで優秀。よし、行くかぁ」


<<いってらっしゃい>>



・ ・ ・



「やぁぁぁっと戻ってきおった!!寂しかったのじゃぁあああ」


俺は村に戻るなり、いきなりだが出待ちしていたミユシスの熱い抱擁を受けている。

わかった、わかったからちょっと離れて…ええい、くんくんするな!顔を舐めるな!やめろぉー!


「はふはふ……ふぅ、久々にケンの匂いを堪能出来たの~」


「…まったく、すぐ戻るって言ったろ?ただいま、ミユシス」


「ケン!帰ってきた!」

「ずっと待ってたよぉ!」


俺がミユシスをどうにか引き剥がすと。今度はキキルパとマルチルに見つかってどーんと突っ込まれ、地面に押し倒された。

そしてまた…顔とか頭を舐められる。もうベトベト。


「ケン!土産!肉!肉!!はすはす!」

「ねぇ怪我とかしなかった?平気?ぺろぺろ…」

「ええいおぬしら何をしておるか!今はわしがケンとはぐはぐしておったのじゃぞ!」

「族長ずるい!キキルパもする!」

「あ、ケン汗かいてる…一緒に温泉、入る?ねぇねぇ」

「これ!わしもまだ嗅ぎたりんのじゃ!はふはふくんくん」


「だあああ!お前等いいから離れろ!土産もあるけどまずは話を…おい、マルチル脱がせようとするな!いやぁーっ、痴女ぉ!」


もう収拾がつかない大騒ぎ。かくなる上は…


「ライム助けてぇ!」


「はい、艦長」


3人にもみくちゃにされてる俺を、ライムがひょいっとあっさり奪って距離を離す。


「な…誰じゃお主は!?」

「ケン返せ!がるるる!」

「知らない匂いの子!?…クゥーン、キューン」


彼女たちはようやくライムの存在に気づいたらしい。

最初から俺の後ろにずっと居たのに…もしかして気配消すスキルとかもあんの?


「あぁもう落ち着けって!今から紹介するから…キキルパは威嚇しないの!めっ!おすわりっ!」


・・・


「改めまして、皆様こんにちは。私は艦長のサポートえーあい…じゃなくて!メイドのライムと申します」


ライムはメイド服の裾を持ち上げ、エレガントに会釈する。

こういう所作は教えてなかったが…サンパチのライブラリからデータを得たのだろうか。素直に綺麗、お美事に御座います。


「めいど…?いったい何処の里の者じゃ?そのような耳の種族など見たことないんじゃが…」


「うーん、ライムの種族か。強いて言うなら兎っぽい耳だし……そうだな、ラビ族とでも呼べばいいか?」


「ラビ族。艦長の安直ネーミングにしては中々良いです」


ライムはお気に召したようで、うんうんと頷く。

うるせーやい。俺の高度なネーミングセンスには彗星すら追いつけないんだよ。


「ではこれからはラビ族のライムと名乗りましょう。どうぞよろしくお願い致します」


「ふむ…ラビ族とな。しかし何処でこの娘を?まだ他に生き残りが居る集落があったのか?」


「いや、ライムはなんていうかな…ミユシスのいう神って奴に直接作られたんだ」


「な、なんとぉ!?そなた神に出会ったのか!?」


「おう」


どういうの想像してるか知らんけど会ったよ?君等の創造主に。


「なんと、なんということじゃ!とすればこの娘は…神使!?あわわわ、とんだ御無礼を!許してたもれ許してたもれ~にゃむにゃむ」


ミユシスはライムにひれ伏して拝みだしてしまった。

やっぱ普段信じてる宗教の、しかもいきなり神の使い?とやらが顕現したらこうなるよなぁ。

未だにどういう宗教か知らんけど。つーか神の正体キノコだけど。ネタバレは控えとくか…


「ミユシス様、お顔をあげてください。私はそのように崇められるような身ではないんです」


「しかしじゃな……」


「どうか私の事も皆様と同じように接してください。気軽にライム、と」


「う、うむ…そうか?ならばワシは里の長としてそなたを歓迎しようぞ」


「はい、ありがとうございます。そちらのお二人も仲良くしてくださいね」


よしよし。どうにかライムは村人たちに認められそうだな。ミユシスの公認なら誰も文句は言わねーだろ。

キキルパやマルチルも少し警戒が解けたのか。しきりにライムの周りをぐるぐると、背中や頭の匂いを嗅いでいる。……それ必要なのか?


「くんくん…ライム、何歳?キキルパより年下?」


「そうですね。私はまだ0歳ですので」


「「「0歳~~~!?」」」


3人とも驚きが隠せないようだ。でも嘘じゃないんだよなぁ…


「なん、じゃと…では赤子ではないか!じゃがしかし…見た目は大人じゃぞ!?」


「あぁ、ライムはそのへんすっ飛ばしてるというか……説明むずいな、神の子だから?」


そういう事にしておく。元AIで云々とか絶対伝わらんし。


「赤ちゃん……じゃあ、おっぱいとかいる?」


「えっ?おっぱいですか…?」


そう言ってマルチルはライムの肩を抱きよせて、自分の胸に誘導する。

ライムもちょっと困惑気味だ。


「ええと…乳児に母乳を飲ませて育てる行為、ですよね?それは私にはもう必要ないんです、体は大人ですから」


「……飲まない?」


クゥーン、とマルチルは少し悲しそうな顔をする。ていうか出るの?マジで出るの?ホントに?出ちゃうの?


「ご厚意に感謝します。マルチルさんの優しいお気持ちだけでお腹がいっぱいですよ」


ライムはそっとマルチルにハグをして返礼する。うーん、美少女がふたり抱き合ってると絵になるなぁ。なんか背景に花とか浮いてる幻覚も見える。

セリフは全然噛み合ってないのだが。


「うん…でも飲みたい時は言ってね?」


「キキルパ代わりに飲んでやろうか?」


「もう!キキルパは赤ちゃんじゃないでしょ!…あ、ケンも飲む?」


「…飲まねーよ。俺も赤ちゃん違うだろ」


俺はやれやれ…と表面は大人の対応をする。内心それどころではない。

おっぱい出るんだ…まだ90歳くらいなのにけしからん。

…うん?まだ90歳?なんか俺もこの村の非常識にかなり染まってきたな…


「ううむ…それにしてもさすが神じゃのぉ。このようなしっかりした娘を生むとは」


「あぁまったくだぜ。俺も恐れ入ったわ」


「ということは神は女じゃったのか?」


「……ん?」


シイタケの…性別?いや知らんが。

そもそもキノコ星人って雌雄の概念あったか?さすがに俺もそんなの知らんぞ。


「まさかケン。そなた…」


「な、なんだ」


「……子作り、したのか?わし以外の奴と…」


「は?」


は?いやいやいや!?してねーよ!

ていうかなんでそんなハイライトの消えた目でこっちをじっと見つめるの!?俺はまだ童貞です!!


「何を勘違いしてる!?ライムは俺の子じゃない!!」


「……まことか?わしというものがありながら…恐れ多くも神相手に肌を重ねたりしておらぬじゃろうなぁ~」


「アレと!?無理だろ常識的に考えて!ていうか間違ってもそんな事言うな!拷問のほうがマシだ!」


ぞわわ!冗談でも嫌だ!俺に触手プレイの趣味はない。

私はキノコ趣味ではありませんのチェックボックスが眼の前にあるならコンマ一秒以内でチェックを入れれる。


「肌を重ね合う…艦長とですか?それなら昨日…」


「…あ!?違うからね!?あれは医療行為だったよね!?」


「…ケ~ン~?まさか神の使いであるライムにも無理やりそのような事…」


「してなーい!!尻尾すら触ってない!!つーかライム尻尾あんの!?」


「はい、ありますよ」


えっ、ライム尻尾あるんだ。いやケモミミ種族ならあって然り…なのか?

全然服から貫通もしてないし主張してないけど。すっげー気にはなる。


「ご覧になりますか?少々お待ちを…ん、脱ぎます…ね」


「いや、脱ぐって公衆の面前でおま……わぁー」


俺がやめさせようとするも一歩遅く、ライムはスカートの裾を大きくたくし上げて。

白いドロワーズにぽっかりと開いた隙間、人間で言う尾骶骨のあたりにちゃんと立派な。短くて丸っこい、ふわふわな白い毛が目立つ尻尾があった。

へぇ、兎の尻尾ってこんなのなんだ…ぴこぴこ動いてて可愛い。


「くんくん…」「ふすふす…」「すんすん…」


俺が感嘆している隙に、ライムは尻尾の匂いをめっちゃ嗅がれている。

さすがにちょっと恥ずかしそうだ…。


「あうぅ…その、皆様…そんなに嗅がないでください~」


「……お前らもういいか?そのへんにしといてやれって」


「…ハッ。すまんすまん、ちょっと夢中になっておった」


ケモミミ種族は互いの体臭を嗅ぎあう習慣でもあるんだろうか…。

とりあえずそれは置いといて。話を進めよう。


「ゴホン、それでだ。ライムの紹介も終わったし、今度は俺の調査結果も聞いてほしいんだよ。村人達すべてに関わる重要な事が解ったからさ」


「ほう…?では腰を据えてじっくり聞くとしようぞ」


俺達は話の続きをすべく、ミユシスの家に向かった。


・・・


かくかくしかじか。俺達はミユシスの家に移動して話を続けた。

墜落船で出会ったキノコ星人から聞いた内容を、噛み砕いてミユシスに説明する。

つまり要約するとだな。俺がいれば子孫は増やせる事、それと未来の話だ。


「……むむ~。農業、というのは難しそうじゃのう」


「大丈夫だ、そこは俺達が全力でサポートする」


「はい、お任せください。村人の皆さんが出来るようになるまで私達がしっかりサポートしますよ」


「うむむ、そうじゃの…あとはミャーオ族の民達から助力が得られればよいが」


「そういえばさっきそんな事も言ってたな。彼女達はそのへん詳しいんだって?」


ミユシスと技術的な話を進めているうち、どうも村で取り扱われている植物とか果実に関してはミャーオ族のチームが詳しいらしい事が理解った。

元々ミャーオ族は大きな国にまとまって住んでいて、その国政は村より先進的であったという噂があるらしい。

もし本当ならミャーオ族の村人全員から話を聞いてみたい。


「食料問題は今後村が大きくなったら避けては通れない話なんだ。一度彼女たちと話す機会を作れないか?」


「うむ…確かに大事な話じゃ。明日にでも皆を集めて話し合いの場を設けるとしよう」


「助かるぜ。他の村人全員の力も必要だ。一緒に盛り上げていこうぜ!」


「うむうむ、あいわかった。……さて。わしとケンは他に大事な相談事がある。子供達は外で遊んでくるのじゃ」


ミユシスはほれ行け行け、とキキルパとマルチルに退出を促す。

二人は立ち上がって部屋の外へ出ていった。

俺もライムに目配せをする。この後の展開は0歳の子供には見せられない。


「では艦長、私も船の方に」


「おう、何かあったら呼ぶから」


「はい。それでは」


ライムも会釈をして立ち去っていった。部屋の中には俺とミユシス、二人きり…。

ミユシスがすこし遠慮がちに俺に近づく。

小さな手を俺の胸に当て。そのまま俺にしなだれて、ぽつりと。つぶやいた。



「…ではもう。子作り、出来るんじゃな?」



言い出すと思った。知ってた。

俺もとうとう童貞を捨てる時が来てしまったか……幼女相手だけど。


「…本当に、俺でいいのか?」


「意地の悪い事を申すな…わしは、そなたになら…」


ミユシスも緊張しているのだろうか。上目遣いに俺のほうを見る。

誰が見たって、その頬は紅く染まっていた。


「ミユシス…」


「…ずっと、待ち焦がれておったんじゃぞ?こんなに待たせおって」


ぺろっぺろ…とミユシスは俺の耳を舐める。

くっ…!男なんてこうすればイチコロじゃろ、とでも?はい、爆発しそうです!!

だが俺だって…舐められっぱなしじゃいけねぇ!ここは、男の俺ががリードして!


「ミユシス!」


「ケン…!」


俺は力任せにミユシスを抱きしめる。

小さな体。大きな尻尾。彼女の震える吐息が俺の首筋を撫でる。たったそれだけで。少し、動悸が早くなる。

…ふぅ、焦るな俺。クールになるんだ。まずは宇宙服を脱いでそれから…どうするんだっけ。き、き、キスとかするんでしたっけ。

俺は全力で過去に見たアダルト知識を思い出して脳内シミュレーションをする。そんな、タイミングで。


ガサ、ゴソ…


「…子作りここからどうやる?マルチル知ってる?」

「そ、それはその…あんなふうに男の子が、女の子にくっついてぇ…」

「それからそれから!?」

「あーうー!だからぁ!その後は~」


…ん?

なんか家の外、窓越しから小さな話声がする。さすがにミユシスも気づいた。


「…これお主ら~!人の色事を覗くでなーい!///」


「ばれた!?逃げるー!」

「あ、待って!置いてかないで~!」


きゃんきゃんわんわん


……よくよく考えたら、ミユシスの家にプライバシーは殆ど無い。

入口にドアなんてもんはないし、なんなら窓にカーテンだってない。驚きの開放感、がばがばセキュリティ。

あんな小声でもはっきり聞こえる程度の風通しの良さ。俺に聞こえるくらいだから、ケモ耳ならもっとだろう。


「やれやれ…では続きを」


でもミユシスはそんなの気にも止めず。

普通に試合再開の合図と言わんばかりに、俺に密着してくる。そんな風にされても


「出来ません」


うん、無理っす。俺のハートはガラス製。

だってこんな家、暖簾すら無い居酒屋みたいなもんだ。大将やってる?と言わずとも一目見りゃわかる。

そんな所で男女のアレコレをしようなど、今絶賛盛ってますよー!寄ってらっしゃい見てらっしゃい!と、宣伝してるようなもん。


「ええい何を今更!照れるでない!」


「出来ませぬ…ッ!!」


「はよ、こーづーくーり!!」


「しーまーせーん!!なーにが子作りだ!それよりも先にプライバシーの確保をだなぁ!!」


「ぷらいばしーじゃとぉ!?わからん言葉を使うのをやめぬか!いいからするの!!するんじゃ~~~!!」


この後。俺は全力で駄々を捏ねるミユシスを、こちらも全力で撫で回して満足させた。

ミユシスの尻尾はふわふわで、マシュマロのように。春の日差しのように温かで、柔らかかった。

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