表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

公爵令嬢アマリネス



アマリネスは子供の頃は好奇心旺盛だった。

なんでもやりたがってなんでも興味を持つ性格でメイドや執事におてんばだとよく困らせていた。

だが両親がおおらかだったため、自由に伸び伸びと育っていた。


だが…

「お母様…お父様…」

12歳の頃馬車の事故で2人を失った。


「アマリネス今日から私たちと暮らすことになる。」

「よろしくお願いします。叔父…義父様」

父の弟である叔父が公爵家にやってきたことで色々なことが変わっていった。


「まぁ、アマリネス!そんなはしたない!」

義母はアマリネスを可愛がってくれてはいたが、庭を走り回るアマリネスをよく叱った。


「淑女なるものは美しくなくてはなりません。

ほら、可愛らしいドレスを着ましょう。あなたはとても可愛らしいのだから。」


そう言ってアマリネスにたくさんの服を与えてそれをみては喜んだ。


女性は女性らしく、男性の一歩後ろでお淑やかに。

そうなのだろうか?

義母義父がいなければ生きていけないことを幼いながらに理解していたアマリネスは反抗もできなかったのでそんな疑問を持ちながら義母の言う通りに動く、まるで義母の操り人形である。


だがそのかいあってか、公爵家に素晴らしいニュースが飛び込んできた。


アマリネスが14歳になった頃

「ルーフォン王子がアマリネスを婚約者にしたいとのことだ!」

「まぁ!素晴らしい!さすがだわアマリネス!」

喜ぶ義父と義母

「とても光栄ですわ」

作り物の笑顔でそう答えた。


「公爵令嬢…その…アマリネスと呼んでもいいだろうか?」

「えぇ、殿下の呼びたいようにお呼びください。」

「じゃ、じゃあ!アマリネス!!僕の事はル、ルーフォンと呼んでくれるかい?」

「わかりましたはルーフォン殿下」

ルーフォンはいつもオドオドしておりなにに対しても消極的だった

婚約者になったのだからそんなルーフォンを支えるのが自分の役割なんだろう

そう思い義母についていって社交にも出るようになった。


だが…

「アマリネス、どうして僕との約束より他を優先したんだい?僕のこと…嫌いになったから?」

ある日のお茶会で顔面蒼白で震えながらルーフォンがそう聞いてきた。


「….ルーフォン殿下を嫌いになんてなるわけありませんよ?」

人との繋がりを作るため少し遠くの領地でのパーティーに誘われたことがあった。

1週間程義母と義父とともに出払い

毎週行われるお茶会に参加できないことをもちろんルーフォンにも伝えていた。

だから驚きながらもちゃんと否定をした。


「…そうか、なら良かった。でも約束して?アマリネス、これからどんな約束より僕との約束を優先してほしい。僕の婚約者なのだから」


「…わかりましたわ」

家に帰りすぐに義母にそのことを伝えるたするとその日を境に社交に出ることがほとんどなくなった。


ルーフォンはそれから週1のお茶会をどんどん増やしていきいつのまにか毎日必ず15時にお城へ来るようになった。


そのほかにも

ルーフォンと連れ添って向かうダンスパーティー中他の男の人と少しでも話そうもんなら、


「アマリネスは他の男のほうがいいんだ、そうだよね…」

「そんなことありませんわ、私はルーフォン殿下の婚約者でとても幸せです。」


「じゃあ…僕以外の男と話さないで、公爵はしかたがないけど」

「わかりましたわ…」


ある日お茶会のあと見せたいものがあるといってつれていってもらったのはひとつの部屋

窓がなく寝具以外の物もほとんどないだけど飾りだけはすごく豪華な部屋だった


「僕の可愛い子猫、成人したらこの部屋で過ごそうね。僕だけをみて僕以外に見られないようにするんだ、あぁ…待ちきれないよ」


ちらっと出入り口のドアを見ると外側からしか鍵が閉められない仕様になっていた。


「わかりましたわ…」


異常な束縛と執着心

何度か反抗しようとしたがルーフォンの目が異常にギラギラしていて恐ろしく何も言えなかった。


義母も義父にも相談しようかと思ったが、社交を減らしたことで答えが出てる。

あの人たちはルーフォンの味方になるに決まってる。


仕方がない、どうしようもない

自分の部屋の窓から外を見る

屋敷の1番高い場所にあるアマリネスの部屋は外をのぞけばどこまでも遠くを見渡せた。

その窓から外をみることだけがアマリネスの息抜きだった。



「キャ!」

「もっ申し訳ございません!」

ある日のこと、久しぶりに義母とのお茶会をしていると新人のメイドがお茶をこぼし義母のドレスを汚してしまった。


この1週間、ルーフォンは王とともに隣国に出かけることになった。

最初はアマリネスも連れていきたいと言っていたが、王が許可しなかった。


そのため隣国に行っている間はルーフォンとのお茶会もなく、義母とお茶会を行なっていたのだ。


「全く!なんてメイドなの!すぐに着替えの準備を!」

「はい!」

他のメイドたちがバタバタと動き出し義母は着替えのため部屋に戻ることとなった。

残されたのは、お茶をこぼしたメイドとアマリネスだけ

部屋に戻ろうか…

そう思った時なんとなく空を見上げた


青い澄み切った青い空

そこに1匹の鳥が自由に空を飛んでいる


自由……


私は席から立ち上がると屋敷に戻らずゆっくりと庭を進んだ


「…まだあったのね…」

お庭を進んでいくと塀沿いに大きな木が立っていた。

小さな頃よく登って遊んだ木だ。


メイドたちは血相を変えて木の下であたふたしていたり、飛び降りようものらなら新人メイドは泡吹いて倒れたこともある。


その木の枝の一つが屋敷から出ていおり、

それをつたって行けば外に出られることをアマリネスは知っていた。

一度外に出たことがあったからだ


だから木に登った。

ルーフォンからもらった特注の青色のドレスが汚れるのも気にせずに

何十年ぶりの木登りだったが、うまく登り切ることができた

そして…

ザッ…


枝を伝って外に出た

塀の先には森が広がってる


アマリネスは森の中へ向かって走り出した。


走ることも久しぶりで少しきついが嬉しかった。

自由になりたい

ただそのことを思って

今後のことなんて考えず走って走って走って…


どれだけ走ったのかあたりは真っ暗になっていてそしてとうとう足に力が入らなくなって倒れた。



「…大丈夫か?」

そんなアマリネスに声をかける人がいた

黒いはフードを被った男…

それがキルとの出会いだった。


************



「……」

目の前には見覚えのない天井が見えた

「…………」

ぼんやりとその天井を見上げていたアマネだが

「!?」

気を失う前のことを思い出し慌てて起きあがった。

そうだあの時…

そしてあたりを見回そうと首を動かした時

リンリンリン

!?

鈴がなった。

アマネはすぐに首元を確認すると

そこには鈴のついた首輪がはめられていた。


「なっなによこれ…」

震える手でその鈴つきの首輪が取ろうとした、だが外し方がよくわからない

切れ目がない金属製の首輪であることだけはわかった。



どうにか平常心を保ちたくて今度は部屋を見回した

だが…


「あっぁ…こっここはっ…」


さらに平常心を保つことができなくなった。

部屋には窓がなく寝具以外の物もほとんどないだけど飾りだけはすごく豪華な部屋だったからだ


恐怖心に震えどうすこともできないでいると


ガチャ……

「!?」

部屋のドアが開く音

そして1人の男が入ってきた。


「…!?アマリネス!起きたんだね!!」

ガシャン!

お盆に何やら食べ物や飲み物を乗せていたのにそれをほうり投げて、こちらに突進すると

寝具の上で座りこんだままのアマリネスを抱きしめた。


「っ!」

「あぁアマリネスアマリネスアマリネス!僕のアマリネスやっと戻ってきてくれた…」

そういうと男はアマリネスを抱きしめたまま泣き出した。


「君が死んだと聞かされた3年前、何度も何度も僕は同じように死のうとしていたんだ….でも死ななくて良かった!また君に会えた!!君も会えて嬉しいだろう?最愛の婚約者ルーフォンに会えて!」


男….ルーフォンは体を少し離し真っ直ぐアマネを見つめてそういった。


少し顔色が悪いがあの頃と変わらないギラギラした目に見つめられるとアマネは体の震えを抑え切れなくなった。


「おや?寒いのかい?顔色も悪そうだね。待ってて今すぐあたたかい飲み物を持ってきてあげる。」

ルーフォンはとろけるような笑みを浮かべるとアマネから離れる


すぐに戻ってくるからね


そう言って扉から出ていった。

ガシャン…

ちゃんと鍵を閉め忘れることなく…





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ