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秘密をかかえるアマネ



次の日

「王宮…」

「今からやめるか?」

「そんなことしない!行くよ!」

「はいはい…」


今日キルは小さな小鳥の姿に変身しアマネの肩に止まっている

アマネは仕事の時に着る動きやすくかつ暗闇に溶け込む黒色のジャケット姿で王宮の下働き出入り口に向かった。


カチャ…

下働きの扉は少しハッキングするだけであき、

ゆっくりとあたりを警戒して忍び込む


キルからの情報では下働き入り口は鍵が一つ

そこまではいつも通りあたりを警戒していれば問題ないとのこと

だがこの先の王宮の内部に入るためには専用のカードキーが必要だ


カードキーで入ったらその履歴も残りだれがいつ王宮に入ったかわかる仕組みとなっている

そのカードキーはもちろんキルは持っている

どうやら先日身寄りのない兵士が事故で死んでおりそのカードキーを依頼者が入手したとのことだ。


アマネはカードキーが必要な場所までゆっくりと向かうが途中で立ちどまり柱の影に隠れた

とっとっと…

人だ

眠そうに目をこすりながらカードキーの扉の前を通り過ぎトイレに向かっていった。


ギーバッタン…

トイレの扉が閉まる寸前

ピピっ

その音に紛れて扉の解除音をかき消しながら

王宮に続く廊下にでる。


薄暗い廊下だ

一本道で逃げ隠れする場所はない。

こういう場所は急いで通り過ぎる

非常時に対処できない場所で慎重にする意味がないのだ


廊下を抜けた先には装飾の凝った一つの扉があるがそこは鍵はない。

アマネは扉に耳を押し当て扉の先の音を確認する


ガシャガシャ…少し遠くで警備兵であろう人の足音が聞こえた。

ガシャ…ガシャ…

その足音が徐々に小さくなっていったのでアマネは扉を素早く開けて中に入った。

すぐさまあたりを見まわし花瓶の置かれた台を見つけると素早くその場所に身を潜めた。


扉の先は広々としたホールだった。

大理石の床に美しい装飾の柱、壁には肖像画だろうものも飾られており、天井にはおおきなシャンデリアが吊られている。


そんなあたりの様子をうかがいながら目的地を確認する


次は赤い絨毯が敷かれた中央の階段…

ちらっと肩に止まったキルをみると小さくうなづいた。

ガシャガシャ


今度は違う方から警備兵がやってくる

さすが王宮、1人だけではないらしい

その音がこちらに来る前に姿勢を低くしつつ素早く階段を駆け上った。


階段を上がり切ると多くの扉が並ぶ

聞いた話によるとこの階の部屋は全て客間

現在はだれも使用していない

そんな2階はほとんどスルーし、すぐさま3階へ向かった。


王の間

様々な宝石に入り取られた高級な王座が一つその横にはひとまわり小さな椅子、こちらも様々な宝石でちりばめられている、王妃の椅子であろうそれらが3階に奥に並べられていた。

この椅子一つでどれだけの価値があるのか想像できないほどだった。

アマネはその王座にゆっくり近づく

ちらっと椅子のおくにある扉の様子をうかがった。

この扉の先には王族の寝室がある空間につながっており、騎士団が常に警備しているとのことだ

だが目的地はその奥ではない。

アマネは王座のほうに目を向けた


「キル…」

「あたりを警戒してて」


キルがアマネの肩から降りるとくるりとあたりを飛び何かを確認する


その間アマネはあたりの警戒を行う


「…これか」

王座の足の一つに複雑な魔法陣が刻まれているのをキルは発見するとそれに向かって小さな嘴で触れた


ブーーン…

低い電子音のようなものがあたりにゆっくりと響く


「おぉ…」

すると王座の後ろに同じような魔法陣が大きく現れたかと思うと床が消えて下に降りる古い階段が現れた。


「行くぞ」

「オッケー」

キルはアマネに声をかけて階段の下に向かって降りていく、アマネもその後に続いた。


暗く足元がほとんど見えないが長い螺旋状の階段が続いているようだった。

アマネはすぐさま目を瞑りあたりを警戒しつつ暗闇に目を慣らしていく


「足元に気をつけて」

そんなアマネの肩にキルはとまってそう言った

了解

階段はそこまで長くはなく少し経つと大きな広間のような場所につながった。

広間の中心にはなにやら台座が置かれているようだった。


アマネはすぐ様その広間に入ろうとしたが立ち止まった

「キル…なんか変」

「…これは……」


入り口が微かに歪んでいる

キルはゆっくりと入り口を観察する

「魔法障壁か…」

「魔法障壁?」

「あぁ、この壁を抜けると全ての魔法効果が無効になる」

「全て…」

「そうだ、俺の変身はもちろんアマネにかけてるものも解ける」

「…それ以外に問題は?」

「とくにないな…時間をかければ大体1時間ぐらいで魔法障壁を解除することはできるが…」

「…そこまでするメリットはあるの?」

「いやない、さっさと中のものとって出てくればまた魔法が使えるからな」

「じゃあさっさと行こう」

「…ここで待つということも選択にあるぞ?」

「.何かあった時すぐ動けないのは嫌」

「…わかったよ」

そういうとキルが先に魔法障壁を潜った

潜るとすぐ様魔法が解けていつもの黒いフード姿に戻った

….アマネもその後を追ってくぐる

するとアマネの髪色が変わった。

濃い紺色の髪から色が抜け栗色の髪が現れた。


ゆれる髪先がちらっと視界にはいったが気にせずすぐさまキルの後を追った。


「これ?」

「あぁ、そうだろう」

台座の上には小さな宝箱のようなものが置かれていた

それをキルがらゆっくりと開ける


「ネックレス…」

そこにはシンプルなデザインで金色の宝石を使用した一つのネックレスがあった。

それ以外は何もない。

「これだけ?」

「あぁ」

「ふーん…」

アマネは少し確認するとそのネックレスに手を伸ばした

バチっ

「っ!?」

触れようとした瞬間指先に痛みが走り咄嗟に手を引っ込めた

「……なるほどな…」

それを見てキルは納得すると今度はキルが手を伸ばす

そして…

ネックレスを持ち上げた

「なんで?」

「…色々条件があるみたいだ」

そう言ってコートのうちポケットにそのネックレスを仕舞い込む


「これで仕事は完了だ、さっさと出るぞ」

「了解」

キルとアマネはすぐ様きた道を戻っていった。


王座から出る時はあたりを警戒しキルに続いてアマネも抜け出す

すると魔法陣がまた現れたかと思うと階段は消えた。


キルは人のまま歩き出すが階段を降りずぐるっと回り込むとそこにあったバルコニーへ続く窓を開けた


脱出はこのバルコニーから、キルが大型の鳥に変身してアマネをかかえて逃げるというシンプルな方法だ。

この方が楽であり早い。

バルコニーでキルが変身するのをアマネが待つ

その時

ギッーー…

王座の奥の扉がゆっくり開いた

3階は窓から差し込む月の光で明るく、扉から出てきた人物の姿がよく見えた

金色の髪に青い瞳、少しやつれたような疲れたような雰囲気があったが美しい青年だった。

その青年はアマネの姿を捉えるとその瞳が大きく開かれる

「アマリネス…?」

「乗れ!!」

「っ!」

キルの声に我に返ったアマネはすぐにバルコニーにいる大型の鳥に変身したキルに飛び乗った


「待って!待ってくれ!!」

キルが飛び上がるとバルコニーに飛び込み青年が叫んで呼び止める


その声に振り返ることなくキルとアマネは空高く飛び王宮を後にした。



************


「これからどんな約束より僕との約束を優先してほしい。僕の婚約者なのだから」

「わかりましたわ」


「僕以外の男と話さないで、公爵はしかたがないけど」

「わかりましたわ」


「誰も僕のことをわかってくれない、あぁ、アマリネスだけ、いつまでも一緒にいてくれるよね」

「わかりましたわ」


「僕の可愛い子猫、成人したらこの部屋で過ごそうね。僕だけをみて僕以外に見られないようにするんだ、あぁ…待ちきれないよ」

「わかりましたわ…」


「っ!!」

アマネは悪夢にうなされて目が覚めた。

最悪だ…


「…起きたか?」

「…なんでいるの?」

「アマネが俺の家に泊まったんだろう?」

「…そっか…」

あたりを見回すと自分の住んでる場所とは違い最低限の家具だけが並ぶ質素な部屋

その部屋の中心にあるテーブルには空になった大量の酒瓶


あの後キルの家に上がり込んで散々飲みまくったことを思い出した。


「頭痛い…」

「はぁ…ほら飲め」

頭痛がすることに今更気がつきそういうと

キルはため息混じりで手に持つマグカップを差し出した。

透き通った緑色の液体、少し独特な香りがする

「これなに?」

酔い覚まし薬だ俺が煎じた。

「…いただきます。」

口に含むと少し苦いがスッキリした味わいだった。


「…今後どうしたらいいかな…」

「昨日も話たけどな」


キルはそういうとアマネの髪に触れる


「あの時は髪の色が戻っていたが今は髪色をいつもの紺色に変えてる。

前にも話したがこの魔法は遠目だと認識阻害効果もあるものだ

それに3年前に死んでいることになってたんだ。

そう簡単にバレないだろう」


「そうだよね…」

「…だが、念には念を入れて当分の間は目立った行動は控えることだな、俺も少し忙しくなるから、アマネはゴリラとノッポと一緒に警備隊として行動すること、あと1人でフラフラと飲み歩きに行くのもやめておけ」


「うっ…わかった…」

「いい子だ」


そういうとキルはアマネの頭を優しく撫でた。








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