side story ジャン編 その3 双子の姉と、演劇準備
誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分は、そういうものだと思って読んでいただければと思います。
『芸術鑑賞で演劇を子供たちに見せたいのだけれど。』
シャルロの子供学校の校長プルーティアからのお願いを叶えるために、教室でみんなで頭を抱えていると、突然勢いよく扉が開かれた。
「やっほー。情報提供に来たよー。」
颯爽と現れたのはジャンの双子のお姉さんたちだった。
「あんたが昨日寄ったっていうシャルロの子供学校なんだけど、少し前に子悪魔族のちっこい悪魔が出て、魔法警察出動してるんだよね。」
「演劇見せたい理由の一つは、それじゃないかな。」
そういえばそんな報告書を目にしたような、と思い出しながら二人の話を聞く。
「あと、私らの特技裁縫だから衣装づくりなら任せて。どうせヒマだし。」
「あれ、相談出来なかったんじゃ。」
この話題の前置きを思い出したアスカがジャンを見ていると、シクラメンが答えてくれる。
「うん、そうなんだけどね。さっき廊下で聞いてた。」
「そうだったんですね。でも、そういうことなら、お姫様系がいいかもな。」
レツが総合的に判断する。
「じゃあ、明日そういう系の台本いくつか持ってくるよ。」
「ありがと。」
やっぱりみんなに相談してみて良かった。お姉ちゃんたちはダメだったけど。去っていく二人を見ながら、ジャンはそんなことを考えていた。
翌日、早速カミルレがいくつかの台本を持ってきてくれた。中に様々な書き込みのされたそれらを回し読みして、どれにするかを話し合う。
「バトルシーンはそういう演出というより魔法でやった方がウケがいいから、コントロールの上手な人が敵役で暴れてもらって、演技できる人が味方役に回るのがいいと思う。」
日直として黒板を綺麗にしながら、カミルレが提案する。
「それなら、レツやカンナ、フクシアあたりが敵をやるのが良さそうだな。」
「カンナはお姫様役じゃないの。」
「え、私?お姫様役ってルーちゃんやるんだと思ってたんだけど。」
名前を上げていくアスカに反論するアマリリスの言葉に、カンナが首を傾げる。
「お姫様役、イヤなのかい?」
「イヤっていうわけじゃないんだけど・・。」
イアンの言葉にカンナが口ごもる。
「演劇なんてこの前のちょっとしかやったことないから、そんな大事な役、私に務まるのかな、って・・。」
「だったら、このお話しがいいかもな。僕が敵である大蛇を水で表現する。で、それを従える悪い女王様がカミルレ、攫われる姫がカンナだ。これだと、攫われる姫よりも悪の女王の方が、演技力が必要になると思うし出番も多いから、姫の負担が少ないと思う。」
「それなら、それを退治する王子様はカインだね。」
「それは・・、お話しに関係なく僕になっていた気がするんだが。」
レツの提案にアマリリスが乗じると、カインが指で頬をかく。
「えーっと、そうね。確かに、そのお話しならそんなに長すぎないし、子供たちも飽きずに見られると思う。少し手を加える必要はあると思うけど。」
台本をパラパラとめくっていたレツの手元を、カミルレが黒板消しを持ったまま覗き込んだ。
「皆さん、ミズ・ダリアから無事に許可をいただけました。」
「演劇、楽しんで。言ってた。」
カミルレの手から落ちそうな黒板消しをイアンが心配そうに見ていたところに、アルメリアとフクシアが戻ってきて報告する。
「二人ともありがとな。」
アスカがお礼を言う。
「時間も限られているし、今日中に配役まで決めるぞ。」
「了解。」
レツの掛け声に、みんなやる気に満ちた返事をする。
「ちなみに、次に子供学校に行くのはいつなんだ?」
ふとアスカがジャンに確認する。
「うーんとね、行くなら明日かな。なんで?」
「演劇やるって言ってあげれば喜んでもらえると思って。」
ジャンの疑問にアスカが答えると、カミルレが不敵に笑った。
「どうせ言うなら、ジャンが何の役をやるのか、一緒にクイズでも出しておいたら?」
「う、うん、わかった。」
何を思いついたのか、鼻唄を歌いながら黒板を消しに戻るその軽い足取りに、少々慄くジャンであった。
「このサイズ感で多分ピッタリかな。なら、もう少し大きく作っておこうかな。」
ジャンのお姉さんたちに呼ばれて、セリフのないスタッフ組がバンダル家に集まり、必要な衣装や道具を教わりながら作っている。
「ピッタリならいいのでは。」
ジャンが着る予定の動物の衣装を作っていたシクラメンの言葉に、アルメリアが首を傾げる。
「衣装替えが何度もあるみたいだからね。すぐに着られてすぐ脱げるようにしておいた方がいいかなって。」
「なるほど。」
シオンの説明にフクシアが納得する。
「でも、驚きました。ジャンの分は採寸してなかったのに。」
アスカが2人の器用さと妙な慣れに感心していると。
「昔、よく作ってたのよ。あ、もちろん男の子用の洋服よ。シャツとか、ズボンとかさ。」
シオンが苦笑しながら教えてくれる。
前日の放課後にお姉さん二人が教室まで押しかけてきて、舞台に上がる人たちの採寸大会をしたのだが、今回の演劇で1番衣装が多くなるはずのジャンの分だけ採寸しなかったのだ。
「あの頃は、自分たちで作った洋服でファッションショーをしたり、ミニ演劇をやって両親に見てもらったり。楽しかったなぁ。」
「楽しそう。服、まだ、ある?」
「私たちが作ったやつ?全部とってあるよ。多分もう着れないけどね。」
「一応、思い出だから。」
フクシアの質問に二人が遠い目をしていると、玄関の開く音がする。
「ただいまー。」
「お邪魔します。」
「今日の練習終わったから、手伝いに来たよー。」
カミルレによる演技指導を終えた出演組も集合し、作りかけの衣装をあてがってサイズの確認を始める。
楽しい放課後タイムである。
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