side story ジャン編 その2 双子の姉と、特待科
誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分は、そういうものだと思って読んでいただければと思います。
午後の外課題のミッションで、パトロールに出た一同。大きく3つのグループに分かれてパトロールをすることになり、レツとジャンとフクシアの3人は学校を出て東側に向かっていた。
森林浴をするような穏やかな時間を過ごす者。役場訪問に若干緊張している者。そして。
「よし、着いた。」
校門のところで女の先生が待ってくれていた。
「ヘールボップ魔法学園からパトロールに来ました。」
「あらあらかわいらしい魔法使いさんだこと。私はこの子供学校の校長のプルーティアと言います。少しご相談したいこともあるのだけれど、その前に。」
校長はなぜかそこで一度言葉を切り、校庭ではしゃぐ子供たちを眺める。
「子供たちと遊んであげてください。」
「はい。」
放課後の賑やかな校庭。ぶらんこを漕ぐ音。鬼ごっこならぬ悪魔狩りごっこの楽しい悲鳴。
「今校庭にいるのは低学年の子たちです。話をするのはあの子たちが帰った後にしましょう。」
「わかりました。」
社会の闇を知らず、何にも縛られずに笑う子供たち。一瞬曇った彼の瞳には、一体何がどう映ったのだろうか。ジャンは深く息を吐き出した。
「さて、誰と遊ぼうかなぁ。」
一瞬の暗闇はあっという間に過ぎ去り、再び笑顔を作った少年は数年分時を戻したかのように元気に駆け出していった。
「魔法使いの討伐隊と言えども、まだわんぱく盛りの学生なのよね、彼だって。」
ジャンに気付いた男の子たちの輪に、彼が自然に解け込むのを見ながら、プルーティア校長はしばらくその場で佇んでいた。
「”芸術鑑賞で演劇を子供たちに見せたい”ですか。」
校長室で告げられた相談内容は意外なものだった。
「ええ。演劇は心を豊かにするものだから見せてあげたいのだけれど。」
「あ、そっか。ないのか。」
「そう、ニフタ・ミナスには演劇団がいないのよ。」
他の州やまちでは行政お抱えの演劇団があるところも多く、人々の豊かな暮らしのためにいつも様々な夢を見せているというが。ニフタ・ミナスの場合は、王都プラシノス・オケアノスが近いこともあり、拠点としている演劇団が無いのだ。演劇を見たい人は、王都のエリア・ウラノースにある王立劇場に行くか、ガリダ・ストロッフィーの町レムスでのマチェッタ・マゼッタの定期公演に足を運ぶのだ。
「うーん。あ、移動劇団のマチェッタ・マゼッタを呼ぶのはどうですか。たしか、活動範囲はプロイ・オニラ州全域だったはずですけど。」
カミルレの一件を思い出して提案してみるが。
「私も考えたのだけれど、あそこはレベルが高くて恐れ多いわ。それに今はマクリス・キソスへ行っているという噂を聞きましたので。」
「あー、端っこだ。それで、ボクたちに何かやってほしいと。」
「ええ。お願いできないかしら。」
「うーん。演劇はボク一人ではできないからなぁ。学校で仲間たちに相談させてもらってもいいですか。」
「ええ、もちろん。」
それこそカミルレにでも相談すれば、きっといい案が出るだろうなと考えつつ、その場を後にした。
「ただいまー。」
演劇の練習をいつやればいいのだろうかと考えながら帰宅した途端。
「おかえりー。ねぇねぇ、3年生の火を操る人かっこよくない?マント翻してさ。」
「えっと、マーベラス隊長のこと?」
夕飯を目の前に、椅子にも座れずに二人のお姉さんたちの会話に巻き込まれる。
「そーそー。かっこいいよねー。あの炎を私の魔法で増幅させたい。」
シクラメンがうっとりしながら言うので、席に着きながら、隊長をカンナが援護する状況を想像してみる。うん、消火係で後ろに控えるレツまで視えた。
「でも、それで言ったらあんたんとこの指示役だって、なかなかのイケメンよねー。」
まさか想像を読まれたのかと驚きつつ、構えるレツに焦点を合わせ直す。
「あたしが育ててる野菜畑に、彼に水を撒いて欲しいわぁ。なんか特別な効果付きそう。」
「は?野菜?水?」
キッシュを口に入れながら、野菜を両手に持った頭の中のレツと一緒に首を傾げる。
「家の裏で野菜を育てているのよ。いろいろな魔法をかけた土壌でね。まぁ、実験にも近いけど。」
「今日のサラダの野菜も全部シオンが作ったやつだよ。大丈夫、ちゃんとおいしいよ。」
シクラメンの怪しげなフォローに多少の不安を覚えつつ、サラダを口に運ぶ。
「ね、おいしいでしょう。成功成功。でも、彼に水を撒いてもらえたら、もっとおいしくなると思うんだよね。」
誰がやっても変わらないような。
「今度、レツくんに頼んでみようか・・?」
「え、ホントに?嬉しい。」
何気ない一言に物凄く反応してくる。多分アマリリスに頼めばマーベラス隊長も召喚できそうだけれど。それをここで口にしたらもっと面倒な話になるだろうからやめておく。
その後も、二人はほかのクラスのイケメンたちの話に花が咲いて止まらなくなったので、演劇のことを相談するのは早々に諦めたのだった。
「演劇ねぇ。」
翌日の学校で早速相談してみる。
「そういうのはやっぱりルーちゃんじゃない?この前もそうだったけど。」
カンナがカミルレの方を見る。
「で、どんなお話がいいって言ってたの?」
「えっとね、悪魔退治のお話しか、お姫様と王子様のお話しがいいって言ってたよ。」
カミルレの質問にジャンが答える。
「魔法を活かすなら悪魔退治のお話しか。」
「でもお姫様のお話しもいいね。ちょうど本物のお姫様たちに会ってきたばっかりだし。」
アマリリスがカインを見る。
「え、僕たちでストーリー考えるのか?」
「いや、昔使ってた台本にそのタイプのお話しがあったと思うから、そこに手直しする程度かな。」
カインの気づきに、カミルレが答える。
「でも、衣装はイチから作らないと。」
「いや、そんな時間ないぞ。」
イアンとアスカが頭を抱える。
できればやってあげたいが。何か解決策はあるのだろうか。
ページの最後まで読んでいただきありがとうございます。少しでもおもしろいと思ったら、評価や感想を残して頂ければ嬉しいです。これからもマイペースに投稿していきますので、続きが気になった方はブックマークをしていただければと思います。




