第8楽章その5 あれは”ミマス”
誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分は、そういうものだと思って読んでいただければと思います。
片腕を振り回し、いとも容易く土壁を1枚破壊したミマスに、まずはハイドが一撃を食らわす。
攻撃魔法、フリオ・テネドール。(冷たいフォーク)
攻撃魔法、フリオ・レガロ。(冷たい贈り物)
先の鋭いフォークの形の氷がミマスに突き刺さる。それを力づくで跳ね返そうとしているので、ベルガモットがその柄の先に大きな氷の塊をぶつけて深くまで刺そうと試みる。
抑制魔法、ピエ・ブロケオ。(足を施錠)
ヒロトが地面に片足を固定しようとする。それを嫌がるように、もう片方の足で土壁の2枚目を横なぎに壊す。
攻撃魔法、クチジョ・アセルビエント。(ナイフの風が吹く)
バニラがクナイを投げるかのように、ナイフのように鋭くさせた風を飛ばすと、驚いたミマスが尻もちをつく。そのままミマスは咆哮して威嚇する。
防衛魔法、プレスィオン・パレー。(圧力壁)
風圧で女子勢が吹っ飛ばされそうになるのを、ガイが壁を作って止めていた。
「マーベラスさん、これ以上の戦闘は建物に悪影響です。いかがいたしましょう。」
「そう言われてもなぁ。」
コスモスはああ言うが、善戦している今、この状況を崩すのは少々憚られ、隊長が二の足を踏む。
その会話を聞いてか聞かずか、ミマスが最後の1枚の土壁に突進し、そのまま討伐隊の間を抜けて外へ出ていく。
「ちっ、マーベラス、先行くぞ。」
ヒロトがいち早く反応するが、それよりも早く光属性の二人が動く。
防衛魔法、コルティナ・エンヴォルベール。(カーテンで包む)
防衛魔法、エスペホ・コルティナ。(鏡のカーテン)
扉から外に出た直後を狙い、リアトリスが光のカーテンで行く手を阻む。カーテンに手足を取られている間に、突進の勢いのままに、今度はアラタの光の壁に激突し、そのまま真下に墜落していく。落ちた地面でミマスがじたばたしているうちに、みんな外に出て取り囲む。
「フクシアさんの覚醒は・・。」
「おそらくまだかと。」
コスモスの懸念に、フリージアが答える。
体内の悪魔に体を乗っ取られてしまうと、当人は一度睡眠状態に陥る。その状態だと、体を悪魔が支配していることになり悪魔が自由に動けるので、ある程度は攻撃の予測ができ、悪魔として応戦することが出来る。だが、当人が睡眠状態から目覚めると、当人の自制心と悪魔の凶暴な心による主導権の争いが始まるので、周りを一切気にしないハチャメチャな動きをし始める。そうなると応戦も難易度がぐんと上がるのだ。それを”覚醒”と呼び、覚醒までに当人の体内に棲みついた悪魔を排除できるかが、悪魔化阻止の焦点ともいえる。
「だが、いっそ覚醒してしまえば、逆にあいつを引きずり出してアレを使うことも出来るな。」
「え、でもそれは挑戦的なんじゃ。」
ハイドの言葉にベルガモットが躊躇する。
「それも含めて鎮静手段を考えている。悪い、もうしばらく待ってくれ。」
隊長マーベラスが頭を悩ませる。そこに。
「マー兄!フクシアは?」
ディオーネで合流していた4人が仲良く一緒に駆けてくる。
「抑え込むのがやっとだが、まだ覚醒はしてない。一旦、落ち着け。」
「う、うん。」
少し取り乱していたアマリリスが、兄の隊長マーベラスに鎮静化される。
「うわぁ。これがフクシアとか、信じらんない。」
カミルレも悲観的な声を漏らす。4人はバスに乗ってフォボス火山へと向かっていたのだが、隊長の命を受けたリアトリスのソル・ボスで連絡を受け、途中下車してこちらへ来たのだ。
「魔法警察は呼んだんですか。」
「いや、それが・・。」
アスカの質問を答えることに、ハイドが難色を示していると、代わりにアラタが答える。
「呼ばずに何とかしろってさ、ミスター・ラードンに言われてるんだよね。」
「確かに。本当にフクシアが断罪者になろうとしているのなら、それは学園内の問題。その責任は魔法警察ではなく、校長先生にあるでしょうからね。」
アスカは随分と冷静なようだ。
「でも、こんなの、どうしろと。」
まだ絶望の空気を纏うカミルレが嘆いていると、ミマスが尻尾を振り回してくる。
抑制魔法、スアベ・エステラ。(柔らかいマット)
尻尾の先の鉄球の威力をフリージアが受け流しているうちに、全員散開して避ける。戦いを避けられないと悟った1年生司令塔レツが叫ぶ。
「隊長!作戦は?」
「今考え中!」
東側の空に顔を出した月に背を向け、空中からネプトゥーネの町を見下ろすミマス。その姿を誰よりも拝みたかったのは、深い傷を負わされたクレアだったのかもしれない。
そのクレアはというと、アルメリアの奇襲に苦しんでいた。
ぐはあぁぁッ。
「小娘ガァ。いい気になッテー。」
時間稼ぎといえどもバトルはバトル。まぁ、一言で言うと大変なもので。とはいえ、攻撃することが目的ではないのであまり力は消費していない。とりあえず、逃げていればいいんですよね、とアルメリアは必死で逃げまくる。後ろからは、背中の傷に耐えながら猛スピードで追いかけてくるクレアの姿が。さすがは悪魔と言ったところか。その速さは異常で。たった数秒振り返る間に、一気に距離を縮められてしまう。
「振り返ってはいけない。追いつかれてしまう。」
それでもたまには位置関係の確認が必要で、ならばいっそと力を貯める。
攻撃魔法、フロル・レクト。(花をまっすぐ)
燃える花びらの火玉がクレアを襲う。
ぐそぉっっ。
月よりも明るい炎の明かりは、クレアの目にあるものを映してしまった。
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