side story レツ編その4 ”精霊様”という存在
誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分は、そういうものだと思って読んでいただければと思います。
精霊様。
それは本来は形のない、声のみの存在。存在しないのに、声だけが聞こえて、僕らに大きな勇気を与えてくれる不思議な存在。その精霊信仰はこの国に留まらず、この世界中に広まっており、精霊様を祀る社である”霊宅”が各地に点在している。とはいえ、普段は”住処”と呼ばれる場所に落ち着いているとされ、その周りを含めた”霊域”は関係者以外立ち入り禁止であり、”精霊の使い”と呼ばれる選ばれた者のみが住処に立ち入ることを許され、精霊様のお世話をしている。
この世界の魔法使いと同じように5つの属性に対応しており、各属性1体ずつ、全員で5体いらっしゃるとされている。
その一人が”水の精霊様”であり、その水の精霊様の使いがほかでもないレツなのである。
本来は形のない、声のみの存在ではあるのだが、使いの人以外の人の前に姿を現すときには、人間の姿に化けることもある。それがまさに今なのだが、1番化けやすいという理由で”レツ”に化けたため、若干ややこしくなっていることは否めない。
その、”レツの姿の精霊様”が、5人の前に出る。そこには、ほんの少し前に精霊様の力によって動きを封じられた悪魔がいる。箱型の水の膜によって動きを制限された悪魔は、必死に動こうと暴れようとするが、びくともしていない。
そんな悪魔に面と向かった精霊様が、高々と右腕を上げた。
『アーグア・ミリア・サジタ(数千の水の矢)』
精霊様が呟くように呪文を唱えた次の瞬間、水の膜の中にズドドドドドと矢の雨が降り出す。その矢によって悪魔が拘束されると、水の膜は弾けて消えた。
「さあ、今のうちに止め差しちゃって。」
「あ、はい。」
まるで何事もなかったかのような冷静さに呆気に取られていたが、声を掛けられて我に返ったカインが止めを刺す。
攻撃魔法、ソル・マルティーヨ。(光の鉄槌)
そして、あっという間に悪魔は光化された。
「す、すごい。あんなに時間かかりそうだったのに、こんなにあっさり・・。」
「さすが、精霊様。」
「ん?精霊様?」
ジャンとアスカが感動していると、ようやく我に返ったレツが精霊様を見つける。彼はニコニコとピースサインを作っている。
「どうして精霊様がここにいるんですか。姉さんと母さんをきちんと送り届けるようにとお願いしたじゃないですか。」
矢継ぎ早に説教文句を並べるレツを、戸惑ったような表情で精霊様が見ている。
「ま、まぁ落ち着けよレツ。」
「精霊様に悪魔を倒してもらったんだよ。」
カインとジャンのフォローをレツが黙って聞いていたが、場の空気を変えたのは精霊様だった。レツに近づいて、こう言ったのだ。
「ボクは特別な力を持った神様なんかじゃない。」
「え?」
「は?」
突然の告白に、みんな目がテンになる。
「何を言っているんですか、精霊様。まるで意味が分からないんですが。」
使いであるレツでさえ驚きを隠せない。それもそうだ。今この瞬間に、今までの一般常識を覆されたのだから。
「ボクはさ、信じてくれてるみんなの想いのカタマリなんだよ。特にレツくんの、つまりは使いの人の想いのカタマリなんだよ。」
レツのハートに右の拳を当てて見せる。
「さっきボクが、あと一撃で仕留められるだけの攻撃が出来たのは、レツくんの想いが物凄く強くて、ものすごく集中してたからなんだよ。」
「確かに、さっきのレツの集中力はすごかったからな。」
アスカが振り返る。
「レツ、さっきの奴、倒せて良かったね。」
ジャンがレツの両手をぎゅっと握る。
「あ、あぁ。」
ジャンの勢いにやられるレツだったが。
「これでお姉ちゃんのお墓を守れたね。」
その一言でやっと気づく。少し行ったところには姉の墓があったのだ。
「あぁ、・・そうだな。」
やっと見せた笑顔は優しく、ほかのみんなもつられて笑顔になる。
「ん?」
何かの気配に足元を見てみたカインは、草木で編まれたどんぐり1個分くらいの小さな小さな祠を見つけた。しゃがんでよく見てみると、その中でぽおとあたたかい光が浮いたり沈んだりしていた。
『会いたいよ。』
ふと、光から声が聞こえる。
『もう一度、会いたいよ。』
「えっ、マジか。」
「どうしたんだ、カイン。そんなしゃがみこんで。」
驚くカインに、イアンが声を掛ける。
「あぁ、いや、光魂を見つけた。」
「え、”光魂”って、夏合宿で習ったアレか。」
「あぁ。」
耳なじみのない単語に、アスカが確認する。
”光魂”とは、未練を残したまま亡くなった人の彷徨える魂のことだ。
「どこ!どこ?光魂!」
「ここだ。」
興奮するジャンに、カインは足元を指さす。その指先をたどっていく。
「あ、コレか。」
イアンにも見えたようだ。それに続くように、ほかのみんなもしゃがんでよーく見てみる。
「ホントだ。あった。」
「あったかーい。どんな人だったんだろうね。」
ぽおっとあたたかく光っている光魂を見つめながらそんなことを口にしてみる。
「造り出してみるか。」
うまくいくかわかんないけど、と注釈を入れてから、カインはポーズをとる。
特殊魔法、アーパリエンシア・レッティリャダ。(姿を思い出す)
光魂の六方を小さな魔法陣が取り囲む。すると、魔法陣に向かって光魂から思い出のレコードがどんどん出てくる。それを基に、光魂の上側のちょっと大きめの魔法陣の上では、形がヒト型に形成されていく。
「俺も覚えたてだけど手伝うよ。」
特殊魔法、リクエルドス・デハール。(想い出が出てくる)
イアンも唱える。四方の魔法陣が二重になり、形成スピードが上がる。
「二人とも、良く知ってるね、そんな特殊な魔法。」
精霊様が感心する中、形成されたその姿はーー。
ページの最後まで読んでいただきありがとうございます。少しでもおもしろいと思ったら、評価や感想を残して頂ければ嬉しいです。これからもマイペースに投稿していきますので、続きが気になった方はブックマークをしていただければと思います。




