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DRAGON+CROSS  作者: 黒姫美奈
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第8楽章その2 熱き煌めき、厚き信頼

誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分は、そういうものだと思って読んでいただければと思います。

 這い上がってくる様子のないクレアを見て安心していると、どこからか声が響いてくる。


『エウロパ、エウロパ・・。ミランダはここだよ。お願い、もうホントに時間ないから。エウロパ、今まで、本当にありがとう。』


 アルメリアにも聞こえていたのか、涙が頬を伝っている。それを見て何も言えないでいると、カインが口を開いて悔しそうに言い放った。

「救ってやる。助けてみせる。悪魔のまま終わらせてたまるか。」

 その言葉に、遠くに手放しそうになっていた何かをぐっと手繰り寄せる。


「私が諦めてどうする。」


 小さく言葉に吐き出して覚悟を決める。もしかしたら覚悟が出来ていなかったのは私の方だったのかもしれない、と自分を奮い立たせる。生い茂る木々よりも高い位置まで来ていた満月と同じくらい明るく芯の通ったカインの声が、体の奥底に封じていた熱いものを解放させる。


「そうだ。この魔剣に炎を(まと)わせよう。ソル・インセンディオだ。」

 魔剣についている宝石を指さす。(つば)に埋め込まれた2つの赤黒い宝石は、闇夜にその深紅を焦がしていた。


「ソル・インセンディオって五光火の一つですよね。でも、あれは確かまばゆい光を発する技だったかと。」

「そうだ。かなり明るくなってしまいますよ。そんなことをしたら、クレアにすぐ見つかってしまうんじゃ・・。」

「二人のどちらかが(おとり)になってくれればいい。」

 アルメリアとカインの、技を理解しているからこその懸念を一蹴(いっしゅう)する。


「この魔石には技のエネルギーを貯めることが出来る。一定量貯められれば剣に(まと)わせられるはずだ。が、今の私にそれだけの力はもうない。」


 アルメリアとカインが顔を見合わせる。


「仮に剣に纏わせられたとして、その剣を振るうのは校長ですよね。今のお体ではかなり厳しいのでは。」

「いや、大丈夫だ。私が、かたをつける。」

 心配する二人の制止を振り切り、獣のような瞳で魔剣をにらみつける。木々の間から顔を覗き込ませる満月に照らされた魔剣が、その独特の真っ赤な華紋様(はなもんよう)をくっきりと浮かびあがらせている。


「最期だ。出し惜しみなどしない。終わらせてやる。」

 決意を口に出していると、カサカサと葉擦(はず)れの音がする。

「這い上がってきたか、クレアめ。()りないやつだ。」

 獣、いや鬼の目を細めて、音のする方の様子を伺う。きっと、最後の力を振り絞ることになるだろう。息を整え集中力を高めていると、アルメリアが動いた。


「私が(おとり)になります。その(すき)に貯蓄を。カインくん、そちらは頼みます。」

「一人で大丈夫か。」

「はい。多分。ただ逃げるだけですから。」

 アルメリアがにっこりと微笑んで見せる。

「なら、任された。」

 カインが額に4本指を当てて敬礼をして見せる。その力強い返事を聞いてから、アルメリアが矢のように飛び出した。


強化魔法、ソル・トレンラピド。(光の特急列車)


 自分で自分に速度上昇の魔法をかける。その光に導かれるようにクレアが離れていく。

「さあ、今のうちに。」

了解(ラジャー)。」

 クレアが見えなくなったのを確認し、魔剣の宝石部分をカインに向ける。カインがポーズを構え、(ささや)くように唱える。


攻撃魔法、ソル・インセンディオ。(光炎(こうえん)


 カインの手から黄金色の炎が宝石に向かって流れていく。目がくらみそうなほどにまばゆい光が、宝石にどんどん吸収されていく。そのうち、2個あるうちの魔石の一つが、血のような赤色から、朝露によって輝く向日葵のような黄色に変わっていった。


「こちら側も黄金色になれば充填完了だ。もう少しだから頼むぞ。」

「はい。」


攻撃魔法、ソル・インセンディオ。(光炎(こうえん)


 改めて技を展開するカインの手に、より一層力が入る。その炎は、闇夜に淡く(きら)めく。


 その輝きに1番近い町ネプトゥーネ。その(スト・アナトリカ)側にあるフォボス火山との間を『火山の聖水』によって(はば)まれた、国内有数の神秘的な町だ。


「で、なんで全員で来たワケ?しかも、()()だとは指定されてなかったんでしょ。何か根拠でもあるの?マーベラス。」

「まぁ落ち着けよベル。その説明がこれからあるんだから。」

 マーベラスに掴みかかろうという勢いを見せるベルガモットの腕を、脇の下から腕を差し込んだヒロトが慌てて持ち上げて、力ずくで止める。


「それで、整理できたならそろそろ情報くれない?」

 ベルガモットから逃げながら手帳とにらめっこを続けていたマーベラスに、アラタが声を掛ける。


「まず、土属性魔法使いの1年生フクシアが断罪者になりかけているという話は分かった。それと、そのフクシアが誰かの手によって誘拐および監禁されている、というのも理解した。」

「エディンバラ教頭先生とミスター・ラードンがお二人そろっておっしゃられていましたから、この情報は正しいのでしょう。」

 ハイドとコスモスがわかっていることを提示するが。

「でも、この情報だけでなんで()()なんだ。」

 ガイがそれ以上を求める。


「話には続きがある。まず、ガニメデにはもともと側近がいた。セレナちゃんとマリアちゃんの二人だ。その二人ともがガニメデと(えん)を切っている。だから今、こちらの世界と大魔界のつなぎ役を担っているのは、とある断罪者だけだということになるんだ。これが、僕らがわかっていなければならない前提事項だ。」

「とある断罪者だけ・・。」

 マーベラスの言葉を必死に理解するように、キーワードを繰り返し、噛み砕こうとする。断罪者が関わる案件である以上、時間はない。


 ”討伐隊”と呼ばれる3年生たちによる、フクシア救出のための現地での作戦会議が始まる。

ページの最後まで読んでいただきありがとうございます。少しでもおもしろいと思ったら、評価や感想を残して頂ければ嬉しいです。これからもマイペースに投稿していきますので、続きが気になった方はブックマークをしていただければと思います。

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