side story カンナ編その4 それぞれにとっての魔法
誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分は、そういうものだと思って読んでいただければと思います。
ご飯を食べ終わってみんなで遊んでいるところに、イベリスさんが仕事から戻ってくる。
「ただいまー、って、えっ!」
赤ちゃんとの再会も二の次に、部屋に入らずに縁側で心配そうにジャンの炎を見つめる。
「何やってるの?あいつら。」
「うーん、あ、悪魔狩りごっこじゃない?」
部屋に入らずに立ち止まってしまったイベリスさんに気づいて縁側に出てきたアマリリスとカミルレが推測する。
「あたしも小さいころよくやったなぁ。マー兄が悪魔役で。」
「え、隊長に悪魔役やらせてたの?」
「うん、お母さんがやっつけ係で、あたしが守られ役でね。」
「そっか。」
二人は呑気に感傷に浸っているが、イベリスさんは気が気ではない。
「大丈夫なのかしら。」
「悪魔役、誰?」
「今はジャンみたい。で、レツがやっつけ係らしい。」
心配するイベリスさんに痺れを切らしたフクシアが部屋の中から声を掛ける。庭で遊んでいる男子たちを見たまま、カミルレが答える。
「なら、大丈夫だねー。あなたも、大きくなったら、ああいう風にお兄ちゃんに遊んでもらうんですよー。」
カンナすらも呑気に赤ちゃんに話しかけるのを見て、ようやくホッとするイベリスさんであった。
「でも、良かった。あなたたちに遊んでもらえて。」
「どういう意味ですか。」
申し訳なさそうにイベリスさんが言い出すので、カミルレが確認する。
「あの子、2歳健診で魔法があるとわかって、この間の3歳健診でその属性が光だって確定したの。」
「へぇ、すごいですね。光属性って、言うほど多くないですから。」
カミルレが、部屋の中で赤ちゃんを抱っこしているアルメリアを見ながら言う。
「でも、カンちゃんの両親も私たち夫婦も魔法が無いのよ。だから、あのおじいちゃんに見てもらうしかなくて・・。」
「あー・・。」
さっきの竹の試練を思い出し、二人で気落ちする。たまらなくなったアマリリスがちらりとカインを見ると、思わず目が合ったので手招きして呼んでみる。
「どうした?」
「あの子、光属性持ちらしいよ。」
「そうなのか。」
「なんか技教えられないの、カイン。」
「そう言われてもなぁ。」
3人の会話をイベリスさんが不安そうに聞いている。
「次、私。」
モナルダちゃんの抱っこをフクシアに交代したアルメリアと、部屋の中を見遣ったカインの視線が交わる。アルメリアは少々思案すると、あ、と声を上げ、手で何やらポーズをとった。
「あー、なるほど。よし、1個教えてくる。」
「ん、え?あれで通じたの?」
「わかんない。」
笑顔でダンくんのもとに戻るカインを見て、二人が苦笑した。
「モナもお姉ちゃんたちに構ってもらえて嬉しそう。」
よく笑っているモナルダちゃんを見ながらイベリスさんが静かに言う。
「ベリーおばさんもそうめん食べていってください。まだお母さんたちやってると思うから。モナちゃんは私たちで見てるので。」
「ありがとう。そうさせてもらうわ。」
部屋の中からカンナが声を掛けると、イベリスさんは庭に向かった。
「ママ!おにいちゃんにいいことおしえてもらた。」
流しそうめんに辿り着く前にイベリスさんがダンくんに捕まる。
「へぇ、どんなこと?」
「えっとねー。まほうでみんなをげんきにするわざ。ぼくにもできるやつ!」
「へぇ、良かったじゃないの。早く魔法使ってみたいって言ってたものね。」
そうめんの入ったままのつゆを片手に、ニコニコと話す親子をムズムズしながら見守るおじいさんに気づいて、アスカが声を掛ける。
「あの、どうしてそこまでして教えたいと思うんですか。カンナとか、ダンくんとかは身内だからわかりますけど、オレたちにもいろいろ教えてくれようとしたじゃないですか。」
「そうじゃなあ。」
顎に手を当てておじいさんが考える。その間に、カンナのお母さんが、イベリスさんの分の飲み物を持ってダンくんの所に向かい、代わりにレツがやってくる。
「わしには病気があってな、先があんまり長くないのじゃが。少し前に魔法を悪用するような時代があってな。そんな時代を生きたわしにとっては、正しく魔法を教えることは世界の秩序のためのことであり、使命みたいなモンなのじゃよ。」
命ある限り、その”技”を教えたい。
次の世代や、そのまた次の世代が、成長して力がついたときに、その力を自分で制御し、魔法を正しいことのために使えるように。だから必死なんだ、とおじいさんは続けた。
「わしに病気があることは、カンナらには内緒じゃぞ。」
「えっ、話さないんですか。」
「・・別れ難くなるじゃろうて。」
悲しそうに吐いた言葉も二人がしっかり拾い上げる。顔を見合わせると、内緒にしておきます、とアスカが返した。
そんなほんわかとした空気を切り裂くような雄叫びが、割と近いところから聞こえてくる。
「どこからだ。」
「わかんないけど、結構近くない?」
「とにかく、まずは悪魔かどうかを確認しないと。」
防衛魔法、レクト・フエンテ。(まっすぐ噴水)
みんながいろいろと推測する中、レツが水柱に乗って竹林よりも高い位置まで上昇する。
「悪魔だ!羽で飛んでる。あそこは学校か?子供がたくさんいる。攻撃は受けてないようだが、まだ魔法警察は来てない。僕たちで応戦しよう。」
「了解。」
庭にいた人が先に駆け出す。
「ぼくもいく。」
「わしも行こう。」
そう言って男子を追いかけて走り出した二人を、カンナが複雑そうな表情で眺める。
「私たちも行きましょう。」
アルメリアがカンナの背中を押す。その間にモナルダちゃんをイベリスさんに引き渡したフクシアも含めて、残りのメンバーも現場へ急いだ。
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