side story カンナ編その2 カラカサス家の人々
誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分は、そういうものだと思って読んでいただければと思います。
広い庭に出ると元気そうな老人が、竹を針金でつなぎ合わせていた。
「んお?なんだ、カンナとお友達も来とったんか。なら竹が足りん。カンナや。ここからあと2本分刈ってくれや。」
「はい。」
数メートル先の庭の端には、カンナの身長ほどはある背の高い白い柵が囲っている。その向こうに竹林が青々と茂っているのは確かに見えてはいるが。刃を入れたい肝心の根元など、もちろん視認できない。様子を伺っていると、カンナが構えて集中し始めた。
攻撃魔法、プランタ・ティヘラス。(植物のハサミ)
特殊魔法、ブリッサ・アルフォンブラ。(そよ風の絨毯)
魔法で切って、魔法で運ぶということらしい。飛んできた竹2本は両方ともすでに縦半分に切断されていた。
「なるほど、カンナの展開する技の正確さはここから来てるのか。」
アスカの分析にみんなが納得しているところに、母がホースを持って登場するのだが。
「あら、ホースの長さが足りなかったわ。」
天然お母さんがやらかす。
「あの、力貸しましょうか。」
見兼ねたレツが手のひらを上に向け、水の球体を作って見せる。
「そっか。カンちゃんのお友達ってことはみんな魔法を使えるのね。じゃあお願い。」
「わかりました。イアン、ジャン、手伝ってくれ。」
「了解。」
イアンが土で三脚を造り、その上に四角い蓋のない箱を創造する。それをジャンが焼いて固める。陶芸の要領だ。入れ物が完成したら、レツが氷の塊を入れ、箱に穴を開けると。
「お、水が出てきた。」
無事成功だ。
「あ、この人数だとそうめんが足りないかも。カンちゃん、もっと茹でてきてくれる?戸棚に入ってるはずだから。」
「はい。」
母の気づきに、礼儀正しく返事をする。
「手伝おうか。」
「うん、お願いします。」
「私もお手伝いします。」
家に向かって歩き出すカンナに、アマリリスとアルメリアが駆け寄る。
「そうだ、ミニトマトも流しましょう。きっと楽しいわ。」
母が手をポンと叩くと、おじいさんが声を上げる。
「おい、君たちの中に、カンナと同じ風属性の強者はおるか。」
「風属性なのは自分です。」
アスカが反応する。
「さっきカンナがやっとったやつ、やってみるか。今度はミニトマトが相手じゃからな。難しいぞー。」
ニヤニヤと笑いながら提案してくる様子に、思わず息をのむ。
「頑張ってみます。」
ということで、今度は庭の反対側にある畑に実ったミニトマトで、アスカが修行をすることになった。
その場からやってみろ、と言われて動けないアスカを残して、みんなで畑に向かう。意外にも畑の野菜に興味を示したのは男子だった。
「いろいろな野菜を作っているんですね。」
カインが興味を示すと、嬉しそうに母が説明をし出す。
「ええ。ミニトマトに玉ねぎ、アスパラガス、苺に人参も。以前はスイカも作っていたわ。いつでもなんでも作れるのよ。」
「でも、それぞれ生育に適した時期があるのでは。」
「カンちゃんのおばあちゃんがね、土属性の魔法使いだったから、前に土の性質を少しいじってもらったのよ。」
「なるほど。」
嬉々として説明している母の後ろから、畑を見ていたフクシアによって、悲しい報告がされる。
「土、性質、戻る、かも。」
「え?そうなの?」
フクシアの言葉を聞いたイアンが、実際に土をいじってみる。
「うーん、確かに。」
「おばあちゃんの魔法、解けて来ちゃったかしら。」
「おそらく。」
否定しないイアンを見て、悲しそうにつぶやく母に、イアン自身も何とも言えない気持ちになる。
そんな様子を見て考えを巡らせていたカインが、あることを思いつく。
「展開されている魔法がわかれば、魔法をかけ直せるんじゃ・・。」
「確かに。やってみる価値はある。」
それだー、と喜ぶカミルレの横でレツも頷く。あ、カミルレの声にびっくりしたアスカが、運び途中だったミニトマトを一つ落とした。
「イアン、どんな魔法が展開されているのか、探れる?」
「んー、その作戦がうまくいくか保証はしないけど、やり方はわかるからやってみる。」
「ん。手伝う。」
カミルレがイアンに提案すると、フクシアもその作戦に協力してくれることになった。
「なんだかいろいろありがとね。」
「いえいえ、ご馳走になるんですから、これくらいはさせてください。」
恐縮する母に、カミルレが笑って見せる。お前はまだ何もしてないだろ、というツッコミが聞こえてきた気がするがスルーしておく。
そんな風にみんなでわいわいとしていると、玄関の方から女の人の声が聞こえてくる。
「姉さんいる?」
外から回ってみると、女の人が子供二人を連れて立っていた。
「あら、イベリスじゃない。二人もいらっしゃい。」
「こんにちわー。」
流しそうめんの準備を学生たちに任せてしまい手持ち無沙汰だった母が、ついてきたカミルレと一緒に玄関先で出迎える。
「これから私仕事行かなきゃいけなくなって、二人をお願いしたいんだけど。」
「いいわよ。」
「ありがとう、助かるわ。竜の一刻くらいには戻れると思うけど。」
「カンナもいるし、カンナのお友達も来てるから、一緒にご飯を食べて遊んでもらって待ってるわ。」
カンナの母の後ろで様子を伺っていたカミルレが、顔を見せて会釈をする。
「なんだか楽しくなりそうね。良かった。お願いします。」
「ええ。お仕事頑張って。」
「ありがとう、行ってきます。」
そうして、イベリスと呼ばれたその女性は、抱きかかえていた赤ちゃんをカンナの母に託すと、バタバタと行ってしまった。
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