第5楽章その2 秋の身体・能力検査
誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分は、そういうものだと思って読んでいただければと思います。
数日後、研究棟の向こうのホールにて、秋の身体・能力検査が実施された。普通科も合同の、全校一斉での大型イベントだ。円形の闘技場の様式をとったホールでの、ほかの生徒や教授陣に見られながらの能力検査は特に見物で、どの学年もずば抜けた特待科の能力に、大きな歓声が頻繁に上がっている。
身体検査は端の方の屋根の下でやっている。一応の配慮のようだが、男女混合で行う項目もあるので、配慮しているのか何とも言えないところではある。
「182.4cm。」
「少し伸びたな。」
「レツはもう伸びなくていいんじゃない。」
教師の読み上げた数字に、喜ぶレツとそれを聞いて嘆くアマリリス。
「164.4cm。」
「思ったより伸びてたんだ。」
つい先ほどまでの怒りはどこへやら。えへへと喜んでアマリリスは列を外れた。
「163.2cm。」
「えっ、ボク、リリーより小さいの。」
次に並んでいたジャンの方が小さいと知ったアマリリスはちょっかいを出す。
「小っちゃいコ♪小っちゃいコ♪」
「小っちゃいってゆうな。ボクだって男だぞ。ガオー。」
「ハイ、かわいい。」
「かわいくないもん。ボク、男だもん。技だったら負けないんだから。」
ほっぺたをぷくっと膨らませてジャンが拗ねる。
身体検査の項目は、身長、体重、視力、聴力が必須で、より詳しく知りたい人はこのほかに検査項目を選択する形だ。
そして、能力検査で何をするかというと、タイムアタックバトルを2種類行う。校長が創り出した幻の悪魔を1分間で何体倒せるかと、100体の幻の悪魔を倒すのにどのくらいの時間がかかるかを測定する。
攻撃魔法、ビエン・エチョ・ディエンテス。(よく焼いた歯)
ジャンの火属性魔法で、あっという間に悪魔が消えていく。
「100体を10秒か。強くなったな、お前。」
「えへへ、ボクだって男だもん。」
レツとの交代の際に少しの会話を交わす。これが入試9位のちびっこ魔法使いジャンの今の実力だ。
「ジャンが10秒だって。」
「私たちも負けませんから。」
特待科1年生の平均は約10秒、1分間では1,000体だった。
「普通科の平均が、25秒の650体か。もうちょっと行けたんじゃないの。」
カミルレが結果表を見て悔しそうに言う。
「でも、いい見せしめ、出来たよ。」
「女の子たちにキャーキャー言われちゃったし♪」
イアンの女癖は4月から変化なし。
「1番はやっぱりレツで、5秒の1,214体か。」
カインが結果表を見てうらやましそうに言う。
「でも、特待科最下位のアルメリアでさえ13秒の823体とは。僕たちも強くなったもんだな。」
「お前も病院通ってたくせにやるなぁ。」
「足手まといには、なりたくないですから。」
レツとアスカに褒められたアルメリアが照れる。
実際、アルメリアは検査中に発作を起こし、右半身の自由が効かなくなった中での13秒だった。ミズ・ダリアの推測では、この発作が無ければ6秒強とレツに続く数値をたたき出しただろう、とのことだった。現在は丸二日の入院のおかげですっかり元気になっているが、またいつ発作が起こるか、みんな内心はとても心配なのだ。
そんな折に、アルメリアが不意に言った。
ーー皆さんに、ちゃんとお話しします。
11月に入り、校長のことどうしよう、と話していた中での発言だった。
「話したく、ないんじゃないの。」
カンナが心配するように、みんな不安を隠せない。
「でも、回復に時間がかかってしまっていて、それどころかもっと悪化しそうで。皆さんにもたくさん迷惑をかけるかもしれなくて。皆さんのお力になれなくなりそうで。なので、話しておきます。」
表情はみんな真剣だ。
「ことの始まりは今から8年前、私が7歳の時の事故にさかのぼります。」
そしてアルメリアはその当時から持っていた驚くべき能力について話し始めた。
あの当時の私は、今の2倍ほどの魔力を持っていました。今はその強大な力を封印しています。それは、少しは失ってしまった分もありますが。生まれた時から光属性の魔法を使えたので、擦り傷などのケガならすぐに自分で治していました。
事件のあった日、私は祖父母と一緒に旅行に行っていて、あのバスにはその旅行の帰りの移動手段として乗り合わせていました。私たちは運転席から3列後ろの席に並んで座っていました。窓側の席に私が、通路側の席に祖母が座り、通路を挟んだ向こう側に祖父が座っていました。
詳しい事故の内容はレツくんが皆さんに話した通りです。急に座席が迫ってきたと思ったら、前の方で炎が上がったんです。私は思わず魔法で防衛膜を張って座席からすり抜けようとしました。パニックになっていたのもあり、祖父母には膜が張れず、気がついたら二人はすでに炎の中でした。熱かったので、冷たい方へ行けば逃げられると思ったのですが、私は足が遅かったのでバスの外へは出られず、倒れてきた座席に挟まれてしまい、身動きが取れなくなってしまいました。助けて、助けてと叫び続けたら、救助隊員が来てくださり、やっと外に出られました。
そこでやっと周りを見られるようになり、黒く焦げていくバスと焼けていく乗客に気づきました。私の体は膜のおかげで無事でしたが、ほかの方は助かりそうにありませんでした。
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