side story カイン編その3 いざ、”鎖国国家”へ
誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分は、そういうものだと思って読んでいただければと思います。
「てか、カインてハーフだったの?」
空の旅の途中、カミルレがそんなことを言う。
「ま、まぁ、そう・・なる・・な。」
「何そのトボけた答え。」
笑いがどっと起きる。
カインたちは今、鎖国国家モシコ・ダッソスを目指して、ヘールボップ魔法学園のあるニフタ・ミナスから、西側に向かってプロイ・オニラ州を横断している。もう少しでガリダ・ストロッフィーを通過するところだ。
「事情をジュピター校長に説明したら、王都プラシノス・オケアノスの権力者の協力を得られることになって。」
言わないが、権力者とは、国王陛下である。校長から、陛下の協力を得られると聞いたときは、思わず固まってしまったものだ。
「てことで、これが、通行証な。バッジタイプだから、常につけておいてくれ。」
休憩のために直下の町に降り立った時に、大事なアイテムを渡す。
「この紋章は。見たことないけど。」
「魔法陣、違う。」
アマリリスやフクシアが、その精巧な文様にすぐ反応する。
「モシコ・ダッソス側の有力な貴族の家の紋章らしい。」
「へえ。」
実は王家の紋章であることは、まだ言わないが。
ここまでと同じくらいの道のりを飛べば、国境のバリケードを超えられる。高さ100メートルを優に超えるバリケードが、鎖国国家たるモシコ・ダッソスをぐるりと取り囲み、周囲からの侵入を防いでいるのだ。バリケードの内側には見張りがいるとされているほか、その閉鎖具合から、バリケードの上にも見えない魔法の壁が続いているという噂まである。
仮にどちらも本当の話だったとしても、この通行証である王家の紋章のバッチが、カインたちの安全を保障してくれるのだ。
「みんなつけたな。よし、それじゃあ、カインの親孝行作戦、ミッションスタート。」
「了解。」
司令塔レツの掛け声で、いよいよ本番だ。
強化魔法、マリポサ・プルマ。(蝶の羽)
空を泳ぐ。雲を抜けるように進む。五色の光を放ちながらバリケードの上へと。
特殊魔法、コロー・ニエブラ。(色の霧)
バリケードの上には噂の魔法壁はなく、すっと入れた。監視員の方がいたようだが、カインが行ってバッチを見せたら一瞬だった。
「モシコ・ダッソスの中、初めて見た。」
「教科書にも、国内の様子のイメージ画はないからな。」
地理学の教科書の各国の説明の際にも、それぞれ20枚以上のイメージ画があるのに比べて、モシコ・ダッソスの国内については1枚も無いのだ。
「ねぇ、カイン。どこまで行くの。」
カイン以外は行先を知らない。大騒ぎにしたくなかったので。とはいっても、カインも行ったことは無いが。
「まだまだ先だ。左右対称の高い門塔を持つ邸宅が目印だって聞いてるけど。」
「なーんか向こうの方にそれっぽいものが見えなくもないけど。」
路面電車の走る煉瓦の町の奥に、左右対称に整備された領域があり、高い塔が2本見えるようではあるが。
「それを超えた先に一際大きな時計塔があって、そこが目的地なんだが。」
「時計塔?そういえば、国の真ん中らへんに王都があって、高い時計塔が国民の生活を支えているって教科書に載ってたような・・。」
カインの言葉を聞いて、カンナが思い出す。
「じゃあ、目的地は王都?」
「ああ。王宮な。」
ジャンの質問に、さらっと答えてみる。
「え、今、”王宮”って言ったか。」
「ああ。」
「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
調子よく飛んでいたのに、全員その場でピタリと止まってしまう。ヘリコプターでいうとホバリング状態だ。
「え、カインのお母さんの実家に向かってるんだよな。」
「ああ。王宮にな。」
「え、それは王宮育ちの使用人だったとか、そういうことか。」
「いや、王家の家系。」
さらっと爆弾発言。
「うわああぁ!まじ姫来たー!!」
「ガチでプリンセス来たー!!」
「しーーーっ!」
「すみません。」
空中とはいえ、大声を出せば、下のモシコ・ダッソス国民に聞こえてしまい、大騒ぎになってしまう。そんな事態は避けたいところだ。
最後の飛行でその王家の時計塔の鐘の下に到着する。
ガランガラン
目の前にある、巨大な金の鐘を鳴らす。
「よし、下に降りるぞ。アル、合図よろしく。」
「了解。」
特殊魔法、ソル・ボス。(光の声)
到着しました。よろしくお願いします。
時計塔を降りて、王宮前広場にある噴水から、道沿いに大扉を目指していると、中からあろうことか国王陛下御一家が皆様お揃いで出てきた。
「君がカインくんだね。すぐにわかったよ。あぁ、ライラにそっくりだ。他のみんなもよく来たね。」
「この度は快く受け入れていただき、ありがとうございます。」
国王陛下に丁寧に挨拶をするカインに続いて、みんなで礼をする。
「紹介が遅れたな。私は、国王のコトナー・ボレリアス14世だ。彼女は妻で王妃のヴィル、その隣が第1王女のシグナス、奥が第2王女のアークワラだ。」
国王自ら紹介をしてくれる。
「ライラの息子ということは、私の孫にあたるのですね。」
王妃ヴィルがカインを抱擁する。
「ほかの皆様も慶んでお迎えしますわ。」
「よろしくお願いします。」
緊張しきって動けないみんなを代表して、アルメリアが挨拶をする。
「カインくん、例のモノはお持ちでして。」
「はい、ここに。」
シグナスの確認に、カインは母のペンダントを掲げて見せる。
「うむ、確かに確認致した。さぁ、立ち話もこれくらいにして、中にお入りくだされ。君に言われたとおりに準備をさせておいてある。あとは君たちに任せよう。困ったら、執事やメイドに聞くと良い。」
「はい。ありがとうございます。」
「王宮内に騎士たちが配置されているのは、ただの警備ですからお気になさらず。」
「わかりました。」
先ほどからあちらこちらで見かける騎士の姿をみんな目で追っていたので、王妃が誤解を解いておく。
「もしかして、もうウチらの出番?」
緊張から復活したカミルレがこそこそと聞いてくる。
「ああ。準備、頼んでいいか。」
「じゃあ、作戦通りに。」
「了解。」
いよいよ、超壮大な母の日のサプライズが始まる。
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