第1楽章その2 悪魔学
続きを読んでいただきありがとうございます。誤字脱字には気を付けていますが、表現が拙い部分はそういうものだと思って頂ければ嬉しいです。
それでは、どうぞ。
僕らが受ける授業は、歴史学や植物学などのいわゆる座学のほかに、魔法の実践に関する講義が2種類ある。
一つは”秘技”についてを学ぶ実践A。秘技とは、攻撃や防衛に関する魔法の呪文の総称だ。特殊魔法もこちらに分類されるものが多い。火属性や水属性、風属性に多く、敵たる悪魔と対峙したとき向けの魔法だ。
もう一つが”魔法陣”について学ぶ実践B。魔法陣とは、魔法の強化や影響力の抑制、回復に関する魔法の呪文の総称だ。光属性や土属性に多く、この力を活かした医師や看護師が大勢いる。
僕らは、午前中に座学を受け、学生食堂などで昼食をとると、午後は実践AかBで技を磨く。さらに、週に1度は午後に学外活動、通称”外課題”の日もある。これは、決められた課題をこなす”ミッション”か、自分たちで特待科用の依頼ボードに掲載されている依頼を選んでこなす”自由依頼”に分かれており、引率なしで自分たちで解決しその日のうちに報告しなければならない。そんな、実践での疲れが翌日の座学に響くようなスケジュールで僕らは過ごしていた。
「悪魔の分類について今まで細かく説明してきた。今日はそのまとめだ。」
ミスター・シドーが黒板に三角を書き、縦に三層に分けた。
「まずは”族”だ。テッペンは巨悪魔族。小さいものでも体長十メートルはある。ただし数はそんなに多くない、と言われている。まぁこちらの世界に来てないだけかもしれないがな。」
黒板の三角のテッペンの層に”巨、九”と書き込む。
「下は子悪魔族。こっちは下手すりゃ手に乗るくらいの体長が普通だ。大きくても1メートルはないな。」
黒板の三角の下の底辺の層に”子、数千”と書き込む。
「そして一般的なのが小悪魔族。ほとんどが人間サイズだ。大魔界の王、大魔王ガニメデも小悪魔族だと言われている。」
黒板の三角の真ん中の層に”小、約800”と書き込む。
「黒板の数字は過去5年分のこの国での討伐数な。ちなみに、この約3分の1はウチの学生が討伐したんだ。特に、巨悪魔族は毎回、特待科が討伐してきたんだ。みんなも、駆り出されたときは相手が巨悪魔族だと思ってたほうがいい。」
今度は黒板に四角をかき、十字で区切ると、枠の上に”速い”、下に”遅い”、右に”小さい”、左に”大きい”と書いた。
「次に分類だ。悪魔は大きく4つに分類される。その一つ一つはやってきたとおりだが、今日はその関係性を見る。」
左上の欄に”羽”と書き込む。
「でっかくて速いのが羽悪魔。空を飛びながら攻撃してくるから、いかに協力して応戦できるかがポイントになってくる。」
次に、右上の欄に”棘”と書き込む。
「小さいが速いのは棘悪魔である場合が多い。棘の効果は実に様々だが、受けなければ問題はない。ただ、すばしっこいから弱点が見つけづらく、戦いが長引きやすい。」
次に、右下の欄に”爪”と書き込む。
「小さくて速くもないが数がめちゃめちゃ多いのが爪悪魔。爪を伸ばしてムチみたいに操ってみたり、爪を合わせて刀のように使ってみたりと、結構トリッキーなやつが多い。」
最後に、左下の欄に”角”と書き込む。
「最後、遅いがでかい角悪魔。その角の数は強さや階級を表していて、数が少ないほど位が高く、強いらしい。」
今度は5つの絵を描いた。燃える炎、滴る水、渦巻く竜巻、花を育てる土、輝く光。
ミスター・シドーは絵が上手い。僕が真似してノートに書いたもののほうがなんだか残念に見える。
「俺たち魔法使いと同じく、悪魔もその力を5つに分けることができる。”属性”と言われるものだ。火、水、風、土、光の中から一つの力を得る。」
と、黒板の炎の絵になぜかバツを付ける。
「さらに、悪魔に限っては”耐性”という力もある。それは、自らの属性以外の4つの中から一つを得る。属性が火なら、耐性は火以外ということだ。」
と、今度は水の絵にバツを付ける。
「悪魔は、自分の持っている属性と同じ属性、また耐性からの攻撃は、ほぼ無効化してしまう。例えば、火属性水耐性の悪魔相手には、火と水の技は効かなくなる、といったところだ。戦闘の際はこの2つの力を見極めることも大切だ。」
ペンの動く音がカリカリと忙しない。
「ここで気になるのが大魔王についてだろうな。」
大魔王とは、悪魔はびこる”大魔界”を治める王のことだ。
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