季節外れのカマキリ
季節外れのカマキリが私のマンションのドアに、へばりついていた。
今は秋だった。珍しいなと思いながら部屋に入った。ソファーにこしかけるとフーと疲れが押し寄せた。今日も仕事が無事に終わしった。安堵する。
私は、松村香菜、三十二才、独身、一人暮らしをしている。顔は、人からは、かわいいと言われる。身長が百五十もないからかなと思っている。
仕事は、N会社で、経理をしている。
数字ばかりの毎日で目が疲れる。
仕事が終わった。
私は、自転車に乗り家に帰った。
私の部屋は、五階だ。
部屋に入り部屋着に着替えた。
私はソファーに腰かけくつろいだ。
今日は何を食べようかなと思っていた時チャイムが鳴った。
今頃誰だろう。
ドアのチェーンをつけたまま少しだけ開けた。
「夜分にすいません、隣に引っ越して来た岡本と申します。」
私は、少し安心した。
一人だとどうしても警戒してしまう。
「はい」と言ってチェーンを外しドアを開けた。
私は、松村と言います。
彼は、よろしくお願いします。と言い、少し微笑えんだ。
白い歯が印象的だった。
彼は、小さな箱を手渡した。
「私は、どうもご丁寧にありがとうございます。」
と言った。
彼は、「失礼します。」と言い帰って行った。
箱の中身は、洗剤だった。助かるなと思った。
彼の年は分からないが三十代だろう。
イケメンだったな。
私はレトルトカレーを用意して食べ始めた。
お隣さんかぁ私は、ぼんやり考えた。
独身なのかな、私は、趣味でギターを弾くけど隣に響かないかな、何故か気になった。
私は、食事を終えた。
私は、料理が苦手だ。食事は、だいたいレトルトか、冷凍食品だ。
ちゃんとした料理はほとんどしない。
独り身だし疲れて帰ってから作れない!
いい訳だよね。
この年になって料理ができないなんてどうしたものかと反省する。
入浴を済ませドライヤーで髪を乾かす。
野菜ジュースをのむ。
それから溜めていた録画を見る。
気が付くと十時過ぎていた。
そろそろ寝ようかなとベッドにもぐり込む。
電気を消した。
次の朝、六時半に起きる。
朝かぁ、今日も一日頑張ろう。
そうだ今日は、ゴミ出し日だ。
岡本さんに教えた方がいいかな、そんな事を思いながらゴミ置き場へ行った。
やっぱり教えてあげようと岡本さんのチャイムを押した。
彼は、すぐにドアを開けた。私を見ると「おはようございます」と言った。
私も挨拶をして「あの今日ゴミ出し日なんです。このマンションは、火、金がゴミ出し日なんですよ」
「そうですか、引っ越したばかりでいろいろ捨てる物があったのです。ありがとうございました」と、言った。
部屋に戻りすっぴんだときずき悔やんだ。 そして身支度を始めた。髪が長いので後ろで束ねた。 そして薄化粧をしスーツに着替える。朝食は、トーストと、コーヒー、ヨーグルトと決めている。
会社は、割と近いので、自転車で通勤している。
さあ行くか、部屋から出るとガチャっと音がして男の子が勢い良く出てきた。
岡本さんが後ろから出て来て「すみません、こいつは、僕の子供で良と言います」
「挨拶は、」と彼は、良君に言った。
良君は元気良く「おはようございます。と言った。
「これから保育園に、連れて行くんです」
保育園は、私の会社の方向だった。
私は、良君に「何歳?」と聞いた。「五歳」「そうかそうか」と微笑んだ。「パパ好き?」「だーいすき」
と笑った。
少し歩いて良君は、保育園に入っていった。
歩きながら岡本さんは、話しだした。「僕は、父子家庭なんです。良は、ああ見えて病気入退院を繰り返しているんです。最近少し落ちついてきたので園にいれたんです。保育園に近いのででこのマンションに決めたんですよ。ああこんな事松村さんに言う事じゃあないですね、すみません。」
「いえ、私は大丈夫ですよ良君あんなに元気そうなのに。」
「良は、小児ガンでして何度も手術を繰り返しているんです。でも何度しても再発するんです。
あの子の体は、傷だらけです。」
「そうだったんですね。かわいそうに。」
少し間があいて、岡本さんは、
「いい遅れましたね、僕は、岡本友也、三十六歳です。」「私は松村香菜といいます」
少し歩くと私の会社に着いた。
岡本さんは、「いろいろ聞いてもらってありがとうございました。」と言った。
「僕の会社は、もう少し先ですが歩いて行くんです。
運動のためにね。」そう言って歩いて行った。
彼は、いろいろ話してくれたがあまりに重い話しで なんて言っていいか分からなかった。
ただ岡本さんは、大変なんだろうという事だけは理解できた。
会社ではパソコンを打ち続け目が疲れた。
私の会社は、残業が無い。それだけが救いだ。
デスクの上を片ずけて、帰りの準備をした。
自転車にまたがり走った。保育園の近くまで来た。何して遊んでるのかな?
あの子があんなに重い病気を抱えているなんて、信じられなかった。
かわいい顔をして、利発そうな子だった。
、何時頃迎えに来るんだろう。考えながら家路に着いた。
部屋に入ると、どっと疲れがでる。
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、コップに注ぎ、飲んだ。
部屋着に着替え、ソファーに腰かけぼんやりしているとバタバタと音がした。
ああ良くんが、帰って来たんだな。
私は、簡単な食事を済ませ、ギターを弾いた。
上手ではないが、楽しいのだ。
次の日、申し合わしたように、親子に会った。
彼は、ニッコリして、「おはようございます」と言った。 良君は、「お姉ちゃんまた会ったね」
お姉ちゃんと呼ばれて嬉しかった。
私は、自転車を、押しながら良君に話しかけた。保育園で何が好き?」 「ブランコ!」
そっか保育園楽しい?」 「うん楽しいよ。」
「そうか良かった。」
岡本さんは、少し驚いた風だった。「良は、人見知りで自分からしゃべらないんですが、松村さんには慣れているようです。」
私は、「何か嬉しいです。」
それからは、待ち合わせて出掛けるようになった。
「今日お姉ちゃんとこ遊びに来る?」「うん、いく!」「岡本さん、いいですか?」
「こちらこそ」
良君は、絵本を持って来た。「何の絵本?」「はらぺこあおむし」
「お姉ちゃん、読んでー」良君は、
言った。
読み始めると良君は、私の膝に乗ってきた。読み終わるると、私は、良君をぎゅと抱きしめた。
かわいくて、かわいそうで仕方なかった。
それから良君は、ちょくちょく遊びに来る様になった。
ある日、いつものように三人で歩いていると岡本さんは、困った顔をしていた。
「どうかしたんですか?」
「それが、明日から出張なんです。大阪まで。」
「どのくらい行かれるんですか?」
「二泊三日です」「私が預かりましょうか?」
「そんな悪いですよ。」
「いいですよ、どうせ帰っても暇ですから。良君も、私になついてくれてるみたいですし。」
「本当ですか、ありがとうございます。」
「安心してお仕事に行って下さい。」私は、何のためらいもなく引き受けた、!、翌朝、良君に、会った。 良君は、「今日、お姉ちゃん家に御泊まりする。」と嬉しそうに言った。
岡本さんは、保育園の鞄とリュック、着替えを渡した。 「よろしくお願いします。」と言って、「これ僕の携帯番号です。何かあったら連絡して下さい。」
岡本さんは、そう言って、タクシーに乗って出発して行った。
「良君、保育園へ行こうか」
「うん」
私は、良君を、保育園へ、見送った。
私は、会社へ行った。
仕事を済ませ、良君を、迎えに行った。
岡本さんが事前に私が迎えに行く事を伝えていてくれたので、保母さんは、良君を呼んでくれた。
良君は、園内にあるブランコで遊ぶと言った。
ブランコ好きだなぁ。それから、うんていで二段とばかしを、自慢げに私にみせた。
「帰ったら御飯食べようね」
「食べる!」家につき、良君の着替えを手伝った。
私は、クリームシチューを作った。
どうぞとシチューをつぐと、美味しいそうに食べてく
れた。
昨日練習しておいて良かった。
これから料理を覚えていこうと思った。
「良君、お姉ちゃんと、遊ぼうか。
人生ゲームしない?」「うんする!」
私は昨年、友達と遊ぶため買っておいたのを、思い出した。良君は、サイコロ進。私は、一、や二ばかりで進んでも後ろに下がりなかなか上がらない。良君は、大金持ちになってゴールした。
「良君、プリン食べる?」
「うん食べる。パパもいつもプリンくれるよ。」
良君は、リュックから小さなオセロを出した。
「お姉ちゃんしよ」「うんしよう。」
良くんの勝ちだった。頭が良い子だと思った。
「良君、お風呂に入ろう。」「お姉ちゃんと、入る。」 「じゃあ一緒に入ろうか」
お風呂で、良君といろいろ話した。
「僕、保育園でお昼寝できないんだ。だから寝た振りをしてるんだ。」
「保育園の御飯美味しい?」「おいしい時も、まずい時もあるよ。僕ミートボールが嫌いなんだ。でも先生が、残さず食べなさいって言うから、
我慢して食べるんだ。」
「そう、厳しいんだね」
こんな事聞いていいか迷ったが「ママの事、覚えてる?」 「もう忘れた。ずっと会ってないし、遊んでくれなかったし。」
「ごめんねこんな事聞いて。」
良君は、涙ぐんた。それを見られないように湯ぶねにもぐった。 「そろそろ出ようか。」
バスタオルで、体をふきパジャマに着替えさせた。
「のどかわいたでしょ」冷蔵庫からジュースをだした。良君は、ごくごくのんだ。
八時になって、良君が楽しみしている、戦闘もののテレビを、見た。テレビが終わり、少したって良君は、恥ずかしそうに、「だっこ」と言った。
なんてかわいいんだろう。「おいで」私はおもいきりだっこした。
母親が、いなくなりずっと甘えられなかったんだろう。
「良君、一緒に寝ようね。」 「うん!」
良君を、腕枕をして、眠りにつこうとした時、
良くんは、急に咳こみげほけほと苦しそうにはいた。
電気を付けると、良君は、血をはいていた。
「良君、大丈夫?
救急車を呼ばなきゃ。119番が手が震えてうてない。
落ち着け、落ちてけ、自分にいいきかせ救急車を呼んだ。
救急車が到着し、良君は、病院に運ばれた。
私は、岡本さんに、連絡した。「岡本さん、良
君が、吐血しました。今、かかりつけの病院にいます。」「分かりました。今から向かいます。 」
大阪からここまでどのくらいかかるんだろう。
私は、まだ震えていた。
医者は、「今検査をしています。あなたは、母親ですか?」「いえ」「ご家族は?」と聞かれた。「父親がいます。今こちらに向かっています。」
看護師が、私を、呼んだ。「お子さんとの御関係は?」「預かっていたんです。良君の父親が、出張だったため。」
少し待って、医者に呼ばれた。
「あなたに責任をかけることになりますが、いいですか?」 「はい」 「良君の、胃にがんが、みつかりました。すぐに手術が必要です。」「お願いいたします」と、書類にサインをした。 手術は、長かった数時間は、経っただろうか。そう思っていると、岡本さんが駆け付けた。
「良は、大丈夫ですか?」「今手術中です。」
私は、岡村さんが来てくれた事で、涙がこぼれた。
私達は、ただただ祈った。
手術室の赤から青に変わった。
私達は、駆けよった。
手術室から医師が出てきた。
医師は、辛そうに、「最善を尽くしましたが残念です。」と言った。
ベッドに、眠って居るように横たわってる良君に、岡本さんさんは、泣きくずれた。
私も涙が止まらなかった。
あんなに可愛いかった良君が亡くなるなんて。
私達は、良君から離れる事ができなかった。
葬儀は、身内だけで行われた。
私は、部屋で泣くばかりだった。
次の日葬儀が行われた。
葬儀には、私も参列した。
祭壇には、満面の笑顔の写真が飾られていた。
私は、もっと良君と遊んだり、世話をしてあげたかった。
ただただ辛く悲しい葬儀だった。
次の日の、岡本さんが尋ねてきた。
岡本さんは、「本当にお世話になりました。
良は、あなたになついていました 。良が心を許してたのは、僕以外あなただけでした。ありがとうございました。
僕は、明日から職場復帰します」
次の日私が自転車で走っていると、岡本さんが、とぼとぼ歩いていた。
私は、から元気を出し声をかけた。
「岡本さん、」 「あっ、松村さん。」
「背中丸まってますよ。」『何か気が抜けてしまって。」『辛いですよね。でも良君は、最後まで良く頑張ったじゃないですか。」
「重い病気をかかえながらも、明るい子でした。
「でもまだ五歳ですよ。
早すぎるじゃないですか」
「ああ、松村さんに当たってしまってすみません。」
「いいえ何でもいって下さい。」
少し歩いて、私の会社に着いた。
「じゃあ行ってらっしゃい。」
私は、少し声を、大きく言った。
それから、数日後、どちらかともなく一緒に通勤するようになった。
岡本さんは、少しづつ落ち着いてきた様子だった、
ある日、岡本さんは、「今日仕事の後、予定ありますか?」と、聞いてきた。
私は、別段、なにもなかったので「ありませんよ。と、答えた。」
「今日、食事に、付き合ってくれませんか?」
とっさの誘いに少し驚いたが、「はい」
と、答えた。
仕事が終わって、しばらくして、チャイムが鳴った。
彼は、「行きましょうか。」と言って、いつもと違う方に歩いて行った。
そこには、車が止まっていた。
私は、車のことは、良く知らないが、黒くて、大きな車だった。
「車持ってらしたんですか。」
「ええ、ここに置いとくと駐車料金取られちうんで友人の家に置かしてもらってるんです。どうぞ。」
、彼は、ドアを開けた。
私は、少し緊張した。
車に乗り、シートベルトをすると車は走り出した。
「どうしても、行きたい店があるんです。」
「はい、おまかせします。」
店には、十五分ほどで着いた。
可愛いらしい店だった。
「入りましょう。」
店内も、落ち着いた雰囲気だった。
「この店は、良とよく来てたんです
あの子は、お子さまランチが好きでした。
僕は、お子さまランチに、します。」
「私も同じもので。」
ウエイトレスは、大人に、につかわないもので、
不思議そうにに運んで来た。
(チキンライス、からあげ、小さなハンバーグ、小さなおもちゃ、)と、遠い昔を思い出した。
「食べましょう。」
岡本さんは、チキンライスを一口食べると、涙ぐんだ。 食事が終えると、岡本さんは、コーヒーを二つ頼んだ。
「良は、プリンが好きでした。」
「私の家でプリンをだすと喜んでくれました。」
私達は、良君の思い出を夢中で、話した。
岡村さんは、「この後時間ありますか?」
あは、「はい。」と答えた。
「良との思い出の場所があるんですよ。」
少し走って、高台を上がった。
下を見ると、車が、たくさん流れていた。
「どうですか?」と、岡村さんは、聞いた。
「車のヘッドライトが、綺麗とても綺麗です。」
「良は、この光景がとても好きでした。」
私は、この人は、本当に、良君の事を、愛していたんだなとしみじみ感じた。 」 「帰りましょうか。」 マンションに着き岡本さんは、「今日は、ありがとうございました。」と言った。私は、「ご馳走 様」 と言った。 彼は、「また明日。」 その言葉に少しときめいた。 今度、岡本さんに料理
作ってあげようかな私は、思った。
ハンバーグでいいよね。
私は、岡本さんと、会社へ行く途中、「今日家にご飯食べに来ませんか。」と、言った。
「えっ、いいんですか?」「はいそうして下さい」
それは私は、会社の帰りスーパーで食材を、買った。
そして、したごしらえをした。
そうだお味噌汁も作ろう。
次に、部屋を、かたずけた。
時計を見ると、六時過ぎだった。
しばらくしてチャイムが鳴った。」
「いらっしゃい。」「こんばんは。」
「どうそ上がって下さい。」
「おじゃまします。 」
「これどうぞ、ケーキです」。「ありがとうございます。
甘いもの大好きです。」
「それは、良かった。」
「可愛いらしい部屋ですね。」
私は、かたずけておいて良かったと思った。ハンバーグ、味噌汁、サラダ)で、もてなした。
「いただきます。」
一口食べて、「おいしい!」と言ってくれた。
そして、私も食べた。
彼は、お味噌汁も、飲んだ。
私も飲んだ。
「うっ、しょぱい」失敗した。
岡本さんも、「うんしょぱい。」
「しょぱい、しょぱいと、私は、言った、」
何故か笑えた。 岡本さんも笑った。
「私は、料理が苦手で、勉強します。」と言った。
食事が済み、二人でコーヒーを、飲んだ。
私達は、たわいのない話しをした。
しはらくして岡本さんは、「松村さん、僕と付き合ってくれませんか?」と言った。
「はい。私で良ければ」と言った。
「これから下の名前で呼び会いませんか?」
「はい、私香菜です。」」「僕は、友也でいいですよ。」
「でも急に友也と呼ぶのは、恥ずかしいですね」
「僕もです。」と笑い合った。
彼は、真顔になって、「僕は、ずっと前からあなたが好きだった。」「私もです。」
私たちが、恋に落ちるのに時間はいらなかった。
彼は、「いまから夜景を見に行かない?」
「良君との思い出の場所の?」
「そう、僕たちの事を報告するんた。」
「うん、行きたい。」私は、言った。
車を走らせ高台へ、行った。
「いつ見ても綺麗ね。」「ああ綺麗だ。」
そう、言って私をだきよせ、キスをした。
マンションに着き、「また明日」と、友也は、言った。 「今日、泊まっていきませんか。」と、言った。
「いいの?」「どうぞ。」
「でもシングルベッドですけど」
「僕、寝相悪いよ。」と、言って笑った。
その夜私達は、結ばれた。
朝になって、私は、(トースト、目玉焼き、ヨーグルト、サラダ)を、用意した。
彼は、くしゃくしゃの髪を撫でながら起きてきた。
「朝食出来てるよ。」と、言って先に、コーヒーを先に出した。
「いただきます
朝食を済ませ、身支度をして、二人で家を出た。
「明日は、土曜日だね、どこか行こうか。」
「ぅん行きたい。」
「じゃあ行きたいところ考えてといて。」
と、手を振った。
何処に、行こうかな、私は、パソコンを打ちながら
考えた。 そうだ、横浜のみなとみらいへ行きたい。
私は、友也に、連絡した。
まだ、仕事中の友也は、小さな声で「決まった?」
「ぅん横浜に、行きたい。」
「そうか、じゃあ、明日行こう。」
会社から帰り、私は、明日なに着て行こうか考えた。
そうだこの白いワンピースにしよう!
翌日二人は、車で横浜へ、向かった。
「何か飲み物買っとく?」
「そうだね。」
私は、コンビニでスポーツドリンクとお菓子を買った。
道中、私達は、子供の様に浮かれた。
「何か曲をかけようか。」
「サザンがいい。」
友也は、CDをかけた。
「サザンは、名曲ばかりだよね。
友也は、何の曲が好き?
僕は、(真夏の果実)かな。」
「私は、(TUNAMI)だね。」
「ポッキー食べる?」うん。」口に食わえると
何かかわいいと、私は、笑った。車は、三十分位、走っただろうか。
友也は、「少し休もうか。」と言った。
パーキングエリアに車を、止めた。
二人はスポーツドリンクを 飲んだ!
「私、趣味で、ギター弾くんですよ。今度、岡本さん私の伴奏で歌って欲しいな。」
「恥ずかしいな(笑)練習しとくよ」
「到着するのは、十二時過ぎになるなかな。」
あっちで、何か食べようか」
「あそこ、中華街があるでしょ、そこで食べたい。」
「じゃあそうしよう。
」
「横浜到着――。」
友也は、冗談ぽく言った。
「お腹すいた。」
中華街にたどり着いた。
どの店も赤色で、迷ったが、ランチのある店にはいった。
店内は、模様のついた赤い壁紙、赤色の大きな壺、
民族衣装等が飾られていた。。
ランチを二人前たのんだ。
友也が「ビールが飲みたいとこだな」と、おどけてみせた、
「駄目てすー」と言って笑った。
食事を済ませ、二人は、しゃれたカフェを見つけて、入った。
メニューも見ないで「僕は、プリンアラモードに、するよ、」 「私も、同じもので。」
プリンアラモードを、ウエイトレスか、運んできた。
友也は、それを、じっと見つめ、「良が好きだった。」
「そうね、」良君の事を思い出しながら食べた。
そして、興味本位で占いの館へ入ってみた。
すると占い師は、「二人は、相性は、いいですね。 でも
困難な事もあるでしょう。」と言った。
どういった事かわからなかったが、友也の顔が少し曇っていた。
外に出ると少し薄暗くなっていた。
「みなとみらいに行って見ようか。」
友也は、言った。 「そうね、」車を走らせた。
少し走ると、みなとみらいに、着いた。
横浜の街が一望できた。
私達は、暗くなるまで、車で待った。
友也は、「香菜に黙っていたことが。あるんだ。でも絶対解決するから。」そう言った。
なんだろう、でも何故か知るのが怖かった。
十一月下旬となると、日の暮れは、早かった、
車から出ると、まばゆい程の夜景が、広がっていた。
「綺麗ね。」 「そうだね。」
私達は、写真を撮った。
私は、幸せだった。
そしてこの幸せがいつまでも続いて欲しいと
願った。
私達は、ビジネスホテルに泊まる事にした。
友也は、私を抱いた。なんども…
私達は、シングルベッドで手ををつないで眠った。
翌朝、私達は、九時半頃に目覚めた。
そして、軽く朝食をとりホテルを、出た。
「帰ろうか。」 「そうだね。」
帰り友也は、あまり話さなかった。
でも、私が冗談を言うと笑った。
車は、走り、マンションに着いた。
「とても楽しかった」と言うと、「よかった。」と、
笑った。」
「寄ってく?」と言うと、「今日は、止めとくよ。」と、友也は言った。
「じゃあまた明日」「うん。」
私は、その夜、携帯を、かけたが繋がらなかった。
次の日、トーストを食べながら、ぼんやり
テレビを、見ていた。
ニュースが流れていた。
昨夜未明、女性の遺体か発見されました。
名前は、岡本愛さん、三十四歳、
岡本さんには、首を絞められた跡があることから、警察は、殺人事件として捜査を始めました。
私は、気の毒にと思いながら、テレビを消した。
そして、身支度を、始めた。
その時、チャイムが鳴った。
私は、ドアを、少し開けた。
友也だった。
友也の顔は、青白く、憔悴仕切っていた。
「何かあったの?」
彼は、部屋に入り、苦しそうに、話し始めた。
「香菜、すまない。僕とあいつは、離婚は、成立していなかったんだ。 二年前、あいつは、
良の看病に疲れたと言って、家を出た。
あいつは、良から逃げたんだ。
僕は、あいつに、離婚届けを、送った。
たげど、あいつは、離婚に応じなかった。
なんども離婚を迫った。
良を捨てたあいつとは離婚したかった。
あいつは、「良の看病は辛い。でも、あなたのことは愛してる。」
と、むちゃくちゃな事を言った。
君と真剣に交際を始めて、どうしても離婚したかった。
昨夜夕方、あいつのアパートへ、行った。
離婚してくれと言った。
、 「離婚はしないわ。」
それどころか 「ねぇ私達やり直しましょうよ、せっかく良もいなくなったんだし。」
「せっかく?せっかくだとぉ、」
僕の頭の線がキレた 。
気がつけば、あいつの首を締めていた。
恐くなって僕は、逃げた。
何て事をしたんだ。
途方にくれた。
「香菜 、本当にごめんよ。」
僕は、自首するよ。」
友也の告白に驚いたが、私の為にこんな事
に、なったんだと思うと、体が震えた。
「僕は、君を、愛していた。本当に心から。」
私は、「コーヒーを飲んで、落ち着きましょう。」と言った。
二人は、震えながら飲んだ。
「私、待ってる。何年も待ってるから」
しばらくして、パトカーのけたたましい
音が聞こえてきた。
そして、マンションで止まった。
「迎えに来た様だね。」
警察官は、友也の部屋のチャイムを押していた。
いないと分かると、私のドアのチャイムを押した。
私は、意を決して、ドアを開けた。
刑事らしき男が、二人立っていた。
「岡本さんは、いますか?
「はい。」と、友也は、返事をした。
「あなたが岡本さんですね。
重要参考人として、暑まで、ご同行願いますか?」
友也は、パトカーに乗せられた。
私は、片方だけのサンダルでパトカーに、駆けより
「待ってるから、いつまても。」と叫んだ。
愛してる友也。
完
美緒