プロローグ
ドガッ、ボゴッ。・・・・あぁ何故こんな風になってしまったんだ。痛い、苦しい。誰か助けてくれ。誰か・・・・
「・・・・ちゃん」「お兄ちゃん」 步、、か。
妹の步に叩き起されやっと目が覚めた。今でも思い出す。あの3年間の吐き気がする様な光景を。
告白しよう。俺は中学3年間イジメを受けていた。俺の通っている高沢高校では俺をイジメてくる奴は誰もいない。それは、俺がリア充 竹下 悠だから。もしも俺が中学生のままの 竹下 悠でこの私立の名門高沢高校に入学したとなれば、今の生活など夢のまた夢。高校3年間イジメ抜かれて卒業、、、むしろ中退していたかもしれない。
今の生活は俺が中学卒業から高校入学までの短期間で自身を改造、作り上げたからだ。
シャワーを浴び、歯を磨いて制服に着替え高校に向かう。どこの高校生でもやっている様なモーニングルーティーンが出来る事に喜びを感じる。典型的な高校デビュータイプの人間の思考だ。
「オッス」学校に着き1番始めに声をかけてきたチャラ男。
林 泰示だ。高校内唯一の俺の中学時代を知っている我が親友であり1番の理解者だ。「相変わらずテンション高いな。」朝1番で何故こんなにハイテンションでいられるのか。俺には一生かかっても出来ない芸当に思えてくる。
「お前今日もカスミン弁当作ってきてたぞ。」最近毎日作ってきてくれるな。今まで俺が好きなオカズを徹底的に聞いて来ていたのはこの為だったのかとつい先日理解した。「おぉ、そうなのか。」泰示に返事をして「霞の所行ってくるな。」と教室の席を立った・・・・。
隣の教室へ行きキラキラしたオーラの学年1のマドンナに声をかける。「霞、おはよう。」すると、つい見とれてしまいそうになる様な笑顔をみせて「悠〜。おはよ!今日もお弁当作ってきたよ!」と言ってくれた。あぁ惚れそう。素直にそう思った。
2人で雑談をしていたらまた、別のキラキラしたオーラを放つ美女が歩いてきた。「霞、悠おはようございます。」「あぁ、おはよう。」「おはよう!奈由!」相変わらず美人で頭のてっぺんからつま先まで完璧に綺麗な奴だ。これまた素直にそう思った。
「おまわりさーん。朝から学校内人気トップ1、2位に囲まれて鼻の下伸ばしてる変態がいまーす。」な、何っ!聞き慣れた声が聞こえたと思ったら俺のすぐ後ろにはニヤリと笑みを浮かべた泰示がいた。
「俺は断じて鼻の下を伸ばしたりしているわけでは……ない。」
クソッ。実際少し浮かれていたから完全に否定出来ない。
「おはよう。奈由。あ、それとカスミン、悠に弁当渡せたか?」
霞は俺が今手に持っている少し大きなふろしきをみる。
「うん!渡せたよ。泰示いつも相談乗ってくれてありがとね。」
俺に弁当渡すだけでも泰示に相談するのか……。
やはり、幼なじみというのは、凄いものだな!
今、現在俺と泰示、霞、奈由この4人でいる訳だが高校1年の6月辺りからはこのメンバーとの思い出しかないくらいにずっと一緒にいる。学年1のリア充グループである。始業チャイムまであと2分を切る頃に俺と泰示。霞と奈由に別れ各自教室に戻り授業を受ける。
現在、俺の頭の中では俺に弁当を渡す事が出来たからか、喜んで飛び跳ねていた霞のおっぱいが脳内再生されている。
あぁ、挟まれたい。そんなことを思いながら授業を1時間ずつ受けていたらあっという間に昼休みに入っていた。
「ほら、悠。早くテラス行こうぜ!」「あ、あぁ。そうだな。」
俺たちはいつも通りテラスの右から2番目の机に腰掛けた。すでに、霞と奈由は弁当を広げて待っていた。
「悪い遅れた。」俺はそう言いながら、ボヤっと授業中考えていたことを思い出す。そして、静かに目線を下ろす。そこには霞の綺麗なおっぱいがあった。
「霞。お前胸デカいよな。」俺が言うと、霞はこう言った。
「結婚してくれるなら挟んだり揉ませてあげてもいいよ?」
クソッ!えろ可愛い〜!俺が霞とおっぱいトークで盛り上がっていると奈由が俺の耳元で囁いた。
「もしも霞にふらちな真似したら警察に突き出しますよ。」
怖い。なんでそんな笑顔で物騒なこと言えるんだ!
あぁはやく霞と付き合いたい。付き合ってあんな事やこんな事を……。
「私、悠が好き。私と付き合ってくれませんか?」
半年前俺は霞に告白された。俺は初めて霞の事を見た時から霞に惚れていた。俺は霞が好きだ。でも、「ごめんな。」と伝えた。
俺は霞と付き合えない理由があった。俺の家には俺と妹の歩、この2人しか居ない。父親はとうの昔に縁をきっている。というか会いたくても会えないのだ。酔った勢いで車で幼稚園に突っ込んで、6人を殺し死刑判決が下った。母親は母親で3年前に愛人をつくり家を出ていった。この様にクソみたいな両親の子供であることから、昔からよくイジメられる事があった。今は両親の事をまわりに隠し、見た目にも気をつかい中学の頃の様なダサい格好やパッとしないイメージを全て捨て、高校に入った。そう。まさに高校デビューなのだ。