五話
「アル、これなに?」
案の定終わらなかったパズルを続けること三日。
パズルはようやく全体の三分の……いや、どう軽く見積もっても六分の一程度が完成した。
集中力が切れたのか、んぐーっと伸びをするなかで俺の持ち込んだそれの存在にリゼ様は気づいたらしい。
「オセロです。……こうやって交互に黒と白の駒を置いて挟み込んだ駒をひっくり返していって最終的にたくさん駒を持っていたら勝ちのゲームですね」
きょとんと首を傾げるリゼ様に簡単にルールを説明するとおそるおそるといった具合に駒を手にとってじーっと見つめる。それからチラリとこちらを見上げた。
「やってみますか?」
「うん!」
おそらく望まれていたであろう言葉を口にすると、嬉しそうにそう返事してリゼ様はパズルをそっとどかせてそこにオセロ盤を置く。
「アルはやったことがあるの?」
「いえ、存在は知っていましたけど、こうやって遊ぶのは初めてですね」
娯楽なんて楽しめる環境じゃなかったからね。というかたぶん実際に遊んだ経験って話ならリゼ様のがよっぽどあるんじゃなかろうか。
黒か白か。ひっくり返せば変わるけど、とりあえず色ごとに分けられているケースを差し出すと白のケースを受け取って、そのままパチリと黒を挟み込むように駒を盤に置いてひっくり返す。
それから、少し不安そうな顔でこちらを見上げた。
「これであってる?」
「あってますよ。次は俺の番ですね」
適当に黒で白を挟み込む。
前を向き直るとリゼ様がにこにことこちらを見ていた。
「楽しいわね、アル!」
「……そうですね、リゼ様」
なにが?なんて聞いちゃいけない。箸が転がるだけで面白い年頃って奴なのだろう。
とりあえずここまで書いてみたのを投稿してみました。
仮にこの作品、連載したとして需要ありますかね?
よかったら感想とかください。