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【コント】時間帯指定宅配

作者: 須郷 彬

場所:客の自宅の玄関先

配役:ボケ=客 ツッコミ=宅配業者


玄関で宅配業者を待つ客の姿。


客「まだかなー。そろそろかなー。遅いなー。時間指定便なんだけどなー。まだかなー」


せわしなく待つ客。

玄関前に宅配業者が現れる。


業者「時間早いけど大丈夫かな」


チャイムを鳴らす業者。

間髪入れずに扉を開けて玄関先で叫ぶ客。


客「いらっしゃっせー!」


業者「うっわぁ!!!うっわぁ!!わぁ!!……わあ」


客や家の外見を確認しながら挙動不審な動きをする業者。


業者「びっくりしたもう!チャイム鳴らしたんでインターホンで出てくださいよ!なんで直で出るんですか!なんですかいらっしゃっせーって!」


客「スタンバってました!」


業者、腕時計を確認する。


業者「……18時指定便ですよね?」


客「はい!」


業者「今14時ですけれども」


客「はい!」


業者「はいじゃないんですよ。おかしいんですよ。何時間待つつもりだったんですか」


客「18から14引けばわかりますよ」


業者「計算がわからなかったわけじゃないんです。なんで指定時間外なのにスタンバっちゃったんですかって聞いているんです」


客、指を折って数える。


客「……4時間!」


業者「計算よくできましたね。それで、なんで玄関先で待っていたんですか?」


客「14時なので!」


業者「あー、18時指定便と14時指定便を間違えて記載されていたようです。よかったです、時間早いですけれど来てしまって」


客「いえ、18時で指定しました」


業者「どうして」


少々間がある。


業者「どうして」


客「御託はいいので荷物を渡してください」


業者「あ、すいませんでした。俺が悪いのかな……では、こちらの方に印鑑かサインをお願いします」


業者、荷物を台代わりにハンコを求める。


客「拇印でいいですか?」


客、親指を出しながら。


業者「類稀なことを希望しますね?前例が無いので印鑑かサインでお願いします」


客「あ、はい(少し落ち込んだ声)」


客、落ち込みながら印鑑を押す。


業者「そのチャレンジャー精神を僕は評価しますよ」


客「じゃあ拇印でいいですか?」


業者「はい、では荷物の方をどうぞ」


親指を出したまま固まる客と、荷物を差し出したまま固まる業者。


業者「今の『はい』は拇印の許可ではありません」


客「あ、はい」


素直に箱を受け取る客。


業者「本日はもう二件、荷物が届いております」


客「え、知りません」


業者「あ、身に覚えがございませんか?でしたら最近、荷物を勝手に送り付ける送り付け商法などもありますので、念のためご確認をお願いします」


客「はい。どれどれ」


客「にゃんにゃんパラダイスフォー!集まれ!お兄ちゃんたち!~ロリっ子猫娘はみなお兄ちゃんに夢中にゃ!(ここまで大声)……あ、僕のだ」


業者「あなたの趣味が近隣住民に知れ渡りましたけれどね。なんで商品名読み上げちゃったんですか。それじゃあ印鑑かサインの方をお願いします」


客「名作なんで」


業者「聞いてないです」


客、ハンコを押して荷物を受け取る。


業者「ではもう一件の方も確認をお願いします。なるべく声は絞って」


客、何も喋らずに荷物を確認する。


客「あー、知らない荷物ですね」


業者「でしたら受け取り拒否ができますよ。その旨を私にお伝えしていただければ、私どもがご依頼主様の方にご連絡及び返送致しますので」


客「じゃあ徳川埋蔵金の方を返しといてください」


業者「え!これの中身徳川埋蔵金なんですか!?」


客「書いてありますよ」


業者「絶対嘘ですよ!……違いますよ、これ、ご依頼主様が徳川埋蔵とくがわうめぞうさんです」


客「あー!うめちゃん!」


業者「お知り合いなんですね。では印鑑かサインの方お願いします。……紛らわしい名前してんな」


客、ハンコを押して荷物を受け取る。


業者「では荷物はこれで以上ですので、失礼いたします。本日は指定時刻よりも早く到着してしまい申し訳ございませんでした」


客「そうですね。僕も指定時刻よりも早くスタンバっていてしまい申し訳ございませんでした」


業者「それは深く反省してくださいね。私の寿命が5年は縮んだので」


客「御託はいいからさっさと行け」


業者「あ、はい。失礼します。……俺は悪くないと思うんだけどなぁ」


業者、玄関先から去っていく。

客、玄関先で届いた荷物を整理すると玄関の扉の前に立つ。


客「よし、次は19時指定便だ」


おわり

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