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第5話

「お帰り、ちょっと遅かったけど何かあった?」


「ううん、帰りに店に寄っただけだから」


宿に戻るとシエラが声をかけてきた。ミルフィルも一緒にいる。


後で食堂に行くことを伝え、ひとまずは自分の部屋に入る。



「ふう、やっと戻ってきた」



あれからまた泣いてすがる女神(確定)をなだめ、とりあえず国に戻ることにした。まずは現状をこの目で確かめねば。


「やっとここの生活にも慣れたんだけどな・・・」


リアとしての冒険者生活は楽しいことばかりではなかったが、貴族令嬢の時の息詰まる緊張がなくなった分、とても楽だった。戻って見つかったならば、どうなるかわからない。


「それでも、決着をつけるべきよね」


いい加減にきっちりしないといつまでも引きずってしまう。もう足踏みはしないと決めたのだから。



部屋を出て食堂に向かう。見回せば、いつもの席で二人が手を振っていた。


「食事注文しておいたけど、良かった?」


「ありがと。もうお腹ペコペコだったんだ」


「ふふ。リアって本当においしそうに食べるものね。こっちまで幸せになって来ちゃう」


「え~。アタシそんなに食べないよ。シエラの方が多いじゃん」


「大剣振るからね。運動量が違うさ」


「あら、はっきりおっしゃいな。筋肉の差でしょ?」


「むう、ミルフィルの魔力馬鹿に言われたくない」


「体力がないと困るのは魔法使いでもなのよ!」


「その割には胸の発達がいいようで」


「ほっといて!」



いつものような口争いをしながらも笑顔が絶えない、そんな3人を囲んで周りの冒険者たちもそれぞれ賑やかに騒いでいる。いくらかエールが入って声高に話すものもいるが、おおむね穏やかな一日の終わりだった。



それでも勘のいい二人は何か気が付いたようだ。


「リア、何かあったの。さっきから手が止まっているじゃない」


「あ、うん、ごめんね。ちょっと考え事」


「どうしたんだよ。もしかして誰かに何かやられたのか?言ってみな」


「ううん、そういう事じゃないけど・・・後で部屋に行っていい?」


「遠慮はいらないわよ、いつでもどうぞ」


「お湯を浴びたら行くね。じゃお先に」



部屋で身体を拭きながらどこまで明かすべきか考える。自分の元の身分はいいとしても、5回繰り返しただの、ましてや女神のことなど荒唐無稽すぎて頭を疑われるだけのような気がする。でも、隠したままでは納得してもらえないだろう。


「二人を巻き込みたくない。アタシひとりなら何とかなるかな」


湯を始末して荷物をまとめ、二人の部屋へ向かう。ノックして声をかけると、


「いいわよ、入ってきて」


二人は自分の武器の手入れをしていたが、アタシを見ると手を止めて迎え入れる。



「ごめん、忙しいのに」


「何言ってるんだよ。仲間だろ」


「そうよ、気にすることないわ」


優しい言葉に決心が鈍りそうになるが、何とか踏みとどまる。


「それでどうしたんだ?別れてから何かあったのか?」


「話したくないことがあれば聞かないわ。でも、頼ってほしいな」


「うん、ありがとう。実はね、一度、国に・・・コルスゲン王国に帰らないといけなくなったの。それで」



「ああ、そうなのか。じゃ、明日にでも行くか」


「え?」


思ってもみないことを言われて混乱する。行く?


「そうね。明日朝一番の乗合馬車なら、そんなに手間取らないし」


「ちょ、ちょっと待って。あの、行くって、どこに」


「どこって、コルスゲン王国だろ?隣国なら近いもんさ」


「私たちは冒険者よ?どこにだって行くわよ」


「いや、その、アタシひとりで行こうかと、で、パーティから外してもらおう・・・」



「「何言ってる(の)!」」





リア本人は気づいていませんが、パーティの二人はとても気に入っているのでこの対応です。

シエラ・・・リアってさ、結構素直なんだよな。可愛い妹みたいなもんなんだ。

ミルフィル・・・いいところのお嬢さんみたいなのに、何この善良さは!

二人共通・・・その割に向こう見ずなんだよな、リアは・・・(笑)

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