第4話
引き続いて女神とのやり取りです。
ジャンピング土下座して泣く女神(確定)をジト目で眺めて過ごすことしばし。
「ううっ、悪かったのじゃ。迷惑、ヒック、かけて、グスッ、しまって」
「・・・ほんとに女神?」
「女神なのじゃ。う、疑われても仕方ないが、真実なのじゃっ」
「まあ、そこは置いといて。で、何を間違えた、と?」
「お、置いておかれ・・・ま、まあいいのじゃ。じ、実は、そなたが異世界からの転生者だと思い込んでしまったのじゃ。で、つい、勢いで」
「それは勘違い。アタシは転生者じゃないハズだけどな」
「うむ、それは承知しておる。ただ巻き込まれたんじゃな」
「?巻き込まれた?」
よくよく話を聞いてみると・・・。
女神(確定)エルシオンと異世界の女神(仲良しらしい)で賭けをしてエルシオンが負けたため、転生者を受け入れたんだとか。神たちにしてみれば普通にあることで、それによって停滞しがちな自分の世界をかき回して発展させるきっかけとしてよく行われるらしい。
今回、エルシオンもそれを期待していたのだが。
「転生者の好みがすっごく偏っていてな。その結果一部の時空が狂いまくってしまってのぅ」
「それって、ひょっとしてアタシが5回やり直しさせられたこと?」
「そうそう、それじゃ!なんて言ったかのぅ・・・まるちえんでぃ、とか」
「マルチエンディングゲーム、ね。そうか、それで・・・」
「え!どうして知っとるんじゃ!転生者ではないこの星の固有種が・・・」
「うん、落ち着こう、女神さま?」
どうどうと肩を叩いて座らせる。どちらが年上かわからないね、これじゃ。
「アタシがどうしてそのループから抜け出せたかって言うとね、そのゲームのストーリー?ってのが頭の中に湧いてきたからなの」
「湧いて、きた・・・?」
「そうとしか言いようがない。だからこそ、今回はいろいろ用意できたんだから」
「そう、か・・・それでいて転生者ではない、と・・・」
何かかみ合わないことでもあるのか、女神(確定)は考え込む。
「女神さま?お~い、聞こえてる?」
「お、すまん。それでは聞くがの。その湧いてきたすとーりー、終わっておるか?」
「・・・そういえば、終了する前に逃げ出したんだっけ・・・」
「や、やっぱり~!」
どうやら、今回の転生者が望んだのは、隠しルートを完全攻略することらしい。
アタシはその一歩手前で逃げだしたんだけど、そのためにいろいろなものが狂ったままになってるとか。
「ど、どぉして終わらせてくれなかったんじゃあぁ!!」
「ほほう。アタシに死ね、と?」
「あっ・・・」
「大体、あんたは女神。世界を守るのが本来の仕事でしょーが。それを、神様の都合でひっかきまわしておいて挙句に文句をつけるとは何事よ!?」
「ずびばぜん~~っ」
ジャンピング土下座再び、でした。
「つまりは、狂いが生じたままになってるから何とかしてほしい、と?」
「あううぅぅ」
「それこそ女神の仕事でしょ。アタシじゃ荷が重すぎるわ」
「そ、それは・・・じゃがっ!あの領域は、もう干渉できないんじゃ」
「女神でも?」
「わらわでもじゃ。あまりに転生者の思い込みが強すぎての。彼女が持っている異世界の神の加護がわらわの力を押しのけて、転生者を囲い込んだままあの場に留まってしまっておる」
「よくわからないけど、それで?」
「彼女の思い描いた舞台の登場人物しか、あそこに入れないという状況になってしまってな」
「で、アタシがその一人だと」
「そういうことじゃ」
「・・・やっぱ無理。あきらめて」
「お願い、見捨てないでほしいのじゃぁぁ!」
でもねぇ、ど~しろってのよ、アタシに?
「た、多分、そなたが転生者にもう一度会うか、もしくはあの領域に立つかすれば何とかなるはずじゃ」
「会う、と言っても本人、牢屋の中だよね?もしかすると、もう処刑されてる、かも?」
「それは無いぞ。もしそうなら、解除されておるわ」
「なら、処刑を待つ、てのは?」
「無理じゃ。領域が固定されている限りは望めぬ」
「そうなんだ。でもなぁ・・・」
「頼むっ、わらわが言える立場でないことは重々承知しておるが、もう、どうしたらいいのかわからんのじゃあぁ・・・」
・・・この駄女神、誰か引き取ってくれないかな・・・?
最後の一行がリアの本音です・・・><