第3話
女神登場!なのですが・・・
「ここにも・・・オ、ト、メ、ゲー、ム、乙女ゲームだって!?」
あり得ない文字列に声が出た途端、体の周りに魔法陣が絡みついて魔法が発動した。
「くうぅぅっっ!」
白い光が目の前でフラッシュしたため思わず目を閉じ、頭を抱える。
空間転移によく似た浮遊感を覚え、そして、ふっと軽くなった。
「・・・ここ、は?」
顔を上げた先は白い空間。さっきの白い光が焼き尽くしたかのような錯覚に陥る。
(・・・いに・・・・たか・)
「え?誰?…どこにいるの?…」
(・・っと・・・てん・・い・・・・のか・・・)
「ごめん、よくわからないのだけど、姿を見せて?」
(・・・こに・・・まま・・て)
その瞬間、目の前で光が凝縮して・・・人型となった。
ゆっくりと開いた眼は金色に輝いている。豊かに全身を覆うその髪は虹の色。
纏う光はそのまま発光する衣服となってその身にまとわりつく。
どう見ても、誰が見ても女神としか言いようがない現れ方をしたその存在は。
眉尻を上げ、アタシを指さす。
「ようやっと捕まえたわ、転生者め。覚悟せよ」
えっ?!
指先からほとばしる雷光に危険を感じ、問い返すより先に身をひるがえす。
間一髪、身体の脇を紫電が貫く。直撃こそなかったが、かすった部分がパチパチと火花を上げていたことから、威力の高い攻撃魔法だったに違いない。
「チッ外したか。今度は逃がさぬ!」
次々に放たれる魔法を、冒険者として培った反射神経でよける。が、このままではらちが明かない。
腰の袋に手を入れて、つかんだものを女神(?)の指先、魔法を生み出しているもとへ投げつける。
「くっ!なんじゃこの球はっ?!」
空の魔法石は生み出されようとした魔法を、その前の魔力として即、吸収する。
そのため魔法は不発に終わり、結果として。
「おわぁっ!?」
「うっさいわぁぁっ!」
女神(?)を蹴り飛ばし踏みつけ・・・終了となった。
「さて、どうしてくれましょうか、ね」
「わ、わらわは、女神じゃっ!ふ、不遜じゃぞっ!」
「目が合って、即、魔法ぶちかましてきた相手に言われたくない」
「そ、それはそーじゃがっ」
「ふむ、まだ騒ぐだけの元気はある、と。じゃ、次行ってみよ~かぁ」
「つ、次、じゃとっ?どどどどうするつもりじゃぁぁ!?」
「ふふっ、こうするの・・・よっ」
現状、女神(?)は芋虫状態で転がっているので、空の魔法石をあちこちに括り付けてみた。順調に魔力を吸い込み始める。うん、いい気味と思うアタシは悪くない。
「う?ぐっ!くうぅぅっ!」
「さてさて、どれだけ持つかな~?もうひとつ追加しよっか♪」
このまましばし時が流れ・・・
「あ、謝るっ!謝るから、これ以上魔力チューチューはかんべんしてェェ~!」
「魔力チューチューってひどい命名ね。はあ、気が抜けた。もう攻撃しないでね?」
半泣きになってうごめいている相手に少し留飲を下げ、拘束を解く。よほどきつかったのか脱力しきった女神(?)。うん、完璧。
「それじゃ説明してもらいましょうか」
「あ~うん、まずはこっちへ来るのじゃ。自己紹介からやり直すから」
と、お茶の用意ができているテーブルに誘導される。そこに落ち着いたのち。
「まずは、どうにも抑えきれなくて魔法を放ってしまったことを謝罪する。この通りじゃ(ゴチッ)」
深々と頭を下げた。下げすぎてテーブルに額を打ち付けていたけどスルー。
「そう。じゃ、まずはその謝罪を受け入れます。あと、どちら様かな?」
「(いててて)ん、わらわはこの世界の女神エルシオンという」
・・・いろいろ残念な感じがするのだが、無視。
「で?ここにいる理由は?」
「あ、あの~、じゃな、それは、その~・・・」
途端にしどろもどろな返答となる。ん・・・?
「その次は?」
「え~、は、話せば長いことながら・・・」
「へぇ~?長い、ねぇ?」
「あ、あぅぅぅ・・・」
「はっきりきっぱり言う!」
「ひゃい!間違えました、ごめんなしゃい~~」
一気に幼くなった。何なの、この展開。