第15話
本日は3話まとめて投稿します。これが2話目になります。
男爵家の騒動があった2日後。
アタシたちは王都の門を眺める場所で最後の攻防を繰り返していた。
「だ~か~ら~、さっきから言ってるだろうっ!証言するだけだって!」
「アタシも言ってるよね!したくないって、何度も何度もっ!」
「お偉いさんが納得しないんだよ!オレだって最初から見ていなかったんだし!」
「見ててもわかんないんだからおんなじじゃん!そのまま言ったって納得しなかったら証言した意味ないでしょお?」
「そ、それはそう、だけど!」
「現物は無いんだし、これ以上変なことが起こらないんだったらそれで充分でしょ。もう2日もたってるから、確認だって出来てるしさ」
「う、むうぅぅ・・・」
「それにさ、引き留めてるのはドルシェの本意じゃないよね?上からの囲い込みじゃないのかな~?」
「!気づいてたんか、お嬢」
「あははは、当然!ね~、シエラ、ミルフィル?」
「くくっ、リアの言うとおりだな」
「ええ、強い冒険者を手元に置いておきたいのはどこでも同じだもの」
「アタシは確かにこの国で冒険者になったけど、従属する気はないからね。シエラとミルフィル、3人で行きたいところへ行くんだから」
「よく言った、リア!それでこそ冒険者だ!」
「リアも一人前になったわね~」
「はぁぁ~、なんだかなぁ。はねっ返り娘が成長してトンデモ娘になったような気がするぜ」
がっくり肩を落として嘆くドルシェを前に、3人でハイタッチする。と、門扉が開いて人の出入りが始まったようだ。
「ドルシェも言い負かしたし、これで心残りも無し!行こっか、シェルキルへ」
「あら違うわよ、『帰ろうか』でしょ」
「そだね、じゃ、改めて。『帰ろうか、シェルキルへ』」
「ああ、帰ろう」
「ふふっ、帰りましょ」
「てことで。ドルシェ、縁があったらまたね!」
「失礼する」
「また会うまでさようなら」
「・・・ああ。世話になった。気を付けて行けよ・・・お前たちに遭遇する奴の方が気の毒だぜ(ぼそっ)」
「何か言った~?」
「い、いや、元気でな!」
何やら顔が引きつっていたドルシェと門の内外で手を振りあい、街道へ踏み出したアタシたち。
遠くの空で鳥が舞い、そばを荷車が通り過ぎていく。今は人や馬車が多いけど、もう少し先の分かれ道でそれぞれの方向に進んでいく。
今の気候だと晴天は何日か続くから、ヤクサムに着くまで野宿でも行けるだろう。
少し離れた丘に馬車が見えるが、貴族の遠出らしく、辺りを騎士が取り巻いている。近寄るつもりもないし、今のアタシからは遠い世界だ。あの頃はあれが普通だと思って受け入れていたけれど、今にしてみると随分窮屈な場所なんだと気付いてしまった。思わず笑いがこみあげてくる。
「リア、いきなり笑い出してどうしたんだ」
大剣を背にしたシエラの赤い髪が風に揺らぐ。
「何か面白いことでも思い出したの?教えてよ」
紫銀の瞳を細めてミルフィルが微笑む。
「ううん、自由だなって思ったらうれしくなっちゃって」
いきなり笑い出したアタシを二人は不思議そうに見てくるが。
今のアタシはその表情すらいとおしい。
アタシは、解放されたんだ。ゲームから、そして、ループからも。
ここに居るアタシは、誰でもない、冒険者のリア。
頼もしい仲間に囲まれて、これから、リアの人生を生きていく。生きていける。
アタシが、アタシに根付いたんだ。
「ねえ、しばらくごろごろしてたから身体が鈍っちゃったよ。どっかで狩りでもしていかない?」
高揚した気分のまま、二人に問いかける。返ってくる言葉はもちろん、
「いいな、やろう」
「賛成!」
アタシの笑顔に二人とも笑顔で返してくれる。それがうれしくて、胸いっぱいになり。
「あそこの森まで競争だーっ!!」
滲んだ涙を腕で振り払い、一気に駆け出した。
「うわっ、待てリア、卑怯だぞーっ!」
「よ~し、負けないから~っ!」
後ろから猛追してくる気配を感じながら、アタシはスピードを上げた。
空は青く、そして、どこからか女神が見ているようなそんな気がした。
ドルシェ君、苦労性が裏目に出ました・・・。
リアはどこまでも突っ走りそう。後1話で完結です。




