第12話
エリナの言い分、大公開!
「あんたねえ、せっかく断罪のところまで行ってたのに、どこいっちゃってたのよ!おかげで隠しルートが開かなかったじゃない!どうしてくれるのよ!!」
「隠しルート?」
「そうよ!このゲームで最っ高にかっこいいイケメンのヘルリオス様があの後会場に来るはずだったのよ!そのチャンスをつぶすなんて、どう償ってくれるの!!」
「償う、とは?」
「ヘルリオス様にあたしは見初められるのよ。一目ぼれなんだから当然でしょっ!そして彼の帝国で二人は結ばれるのに。そのたった一度の機会をあんたはものの見事にはずしてくれたのよっ!!」
「それがなぜいけない?」
「な!何故ってっ・・・!」
「第一、あなたはタミール様と結婚するんでしょう?そのために婚約破棄を仕掛けたんでしょうが。それともさらに別の男性とも重婚するとでも?」
「そんなわけないでしょっ!あたしはヘルリオス様と結婚するためにタミールに近づいたんだから!!」
勢いのまま叫んだ後、自分の言葉に気づいて顔を青くするエリナ。
そんな彼女に醒めた目を向ける。
「つまり、ヘルリオスという男性に近づくためにタミール様をたぶらかし、婚約破棄までやらかそうとした、そういう事ね」
「え、あの、いや・・・」
「今のお話を聞いたうえで再度質問。何故オレリアが責められるの?」
「ううう・・・」
「逆にあなたは何故ここに居るの?今の言葉からあなたは王家に対する重大な犯罪『国家転覆罪』を宣告されるほどの罪人でしょう?それを何故自覚しないの」
「う、うるさい煩いうるさいいぃぃっっ!!あたしは、あたしはヒロインなのっ!!この世界では何をしても許されるんだからぁぁっ!」
「許されるわけないだろうが、このパッパラ頭は」
シエラが呆れた声を上げる。
「どこをどうすれば許すという事になるのか興味深いわね」
ミルフィルに至っては実験動物扱いだ。
「ど、どうしてよ!ここはあたしの・・・」
「ゲームじゃないから」
「え?」
「ゲームじゃないんだよ。確かに似通ったところはあるかもしれない。でも、ここは現実。あなたが、オレリアが、そしてほかのみんなが生きて生活している現実の世界だから」
「う、嘘よ、そんなのうそよっ!」
「まだ言ってるよ、コイツ」
「あきらめの悪い子ね」
「女神さまが言ったんだ。好きなことして生きなさいって、そう言ったんだもんっ!」
「その女神様、やり直してもいいって言ってた?」
「!!」
「繰り返し、何度も生きなおしてやってもいいと言ってたかな?」
「だ、だって、だってそのための力をくれたわ!だからだから、あたし、大好きだったゲームの世界だと思ってやってたのよ!」
「なら、今はあなたの望まない状態ね?ゲームだったならやめられたはずよね。やってみたら?」
「できない・・・できないの、とめられないのっ!」
「それがゲームではないという証拠だよ。もう一度言う、ここは現実なの。ゲームじゃない」
「そ、そんな・・・そんなことって・・・」
床にくずおれて呆然とつぶやく彼女の姿に、
「ふん、ようやく現実を認識できたか。情けないな」
「あら、シエラにしては手ぬるい言い方ね」
「現実の見えないお子ちゃまに、何を言っても無駄だろうさ」
「見かけだけ大きくなっても使い物にならなければ、ねぇ?」
このやり取りは二人にとっても相当なストレスだったのだろう。言葉に棘が有りまくりである。
と、うつむいていたエリナが含み笑いを始めた。
「ふ、フフッ、そうね、そうよね。出来が悪いゲームなら全部ご破算にすればいいのよ。それで初めからやり直せばいいんだわ。簡単じゃない!」
「おいおい、遂にブチギレたぞ、こいつ」
「気を付けて、何かを仕掛けてくるわ」
警戒するシエラとミルフィル。ゆらりと立ち上がったエリナがポシェットから何かをつかみだす。エリナの髪の色に似たそれはピンクダイヤモンドに見えた。
「これで、もう一度リセットしてやるうぅっ!」
言葉と共に手を振り上げて床にたたきつける・・・その時。
リアも袋から出した最後の魔法石を同じ場所へ投げつけた。
その瞬間。
真っ白な光が爆発して何も見えなくなった。
エリナは最後まで残念な子でした。
このお話の中では一人称が混乱しそうなので、エリナ=あたし リア=オレリアもしくはリアと変更してあります。
蛇足ですが、「ヘルリオス」は隠しルートで登場する遠国の皇太子です。




