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第11話

最終決戦も間近・・・エリナがやっと出てきます。

「さて・・・あとはここだけだね」


ホールに居たメンバーに男爵の保護を頼んだ後、アタシたちはもう一度探索に戻った。


ところどころ返り血や切り裂かれた壁紙が垂れ下がり、2人が言切れていた。もはやお化け屋敷の有様に近い。2階奥の階段を上がると、家族のプライベートルームになる。そこはややまともではあったものの、中央付近に扉の壊れた部屋があった。男爵の話が真実なら、ここが元凶・・・エリナの部屋という事になる。


扉自体は壊れて無くなっているが、室内は見えない。外よりも濃い闇が渦を巻き、今まで感じられなかった気配・・・妖気(ようき)、もしくは瘴気(しょうき)とでもいえる何か(・・)がそこにはあった。



アタシは再度袋から魔法石を取り出す。虹色のそれはあの時、女神から吸い上げた魔力できらめいていた。


『わらわの魔力なら転生者の結界を破ることも可能じゃろ。それでもって、領域を歪ませたあ奴をぶっ飛ばしてくれんか。こんなことを頼むのは女神として間違っているかもしれんが、もうわらわにはほかに方法が思いつかんのじゃ・・・』


疲れたように笑う女神を思い出し、かなり頑張っていたんだろうなと思う。いろいろやって、でもどうやってもできなくて・・・自分の力の一端を渡しても何とかしようと思い詰めるくらいに。


女神の代行なんて考えたこともないけど、人として受けるのはやっぱり無理があると思う。この虹色の魔法石だって、アーティファクトなんじゃないかな。使い切るつもりで3個もらってきたけど、もし残ったら隠しておかないとね。見つかると大騒ぎになりそうな気がする。



まあ、すべてが終わってからもう一度考えよう。今はこの歪みをどうにかしないと。


「さて、行きますか」


手にある魔法石を目の前の渦に投げ入れる。門の時と同じように音のない衝撃と共に渦が消し飛び、室内が見えるようになった。



その室内に静かに入る。アタシの両脇にシエラとミルフィルが立ち、攻撃と防御どちらにでも応じられる構えをとっている。


ゆっくりと室内を見回すと、右手に可愛いコレクションケースが並び、貴族の令嬢が喜びそうな小物がぎっしり詰め込まれている。複数の異性から贈られた諸々を飾ったのだろうか。


左手には豪華なベッドが天蓋付きで置かれている。ピンクの薄い絹のカーテンが引かれ、中に誰かが座っているのがうかがえた。小さな声で絶えずつぶやいている。しかも同じ言葉を。


「私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は悪くない私は悪くない」



「リア、あれがそうか?」


シエラがささやくように聞く。


「多分そう、だと思う」


「呼びかけても聞こえるのかしらね、彼女」


ミルフィルが首をかしげる。


「アタシが声を掛けたら気づくと思う。エリナの描いた世界の登場人物だもの」


だが、ここから先はどうなるかわからない。脚本(シナリオ)そのものがないのだから。


大きく一歩踏み出して、深呼吸する。わずかに感じた埃の匂いが時間の経過を感じさせた。


「エリナ・タランドール嬢。いい加減に出てきたらどう?」


ベッドの上の影がそれとわかるほど肩を跳ね上げる。顔がこちらを向く。


「その声は、オレリア・ファルケニート侯爵令嬢・・・?今まで、どこに行ってたのよ・・・!」


天蓋のカーテンをはねのけ、ベッドから飛び降りてきた少女、エリナ。ピンクブロンドの髪をふわふわと揺らし、サクランボのような唇を尖らせて可愛く笑う、妖精を思わせる美少女。その彼女が。



様変わりしていた。



手入れされ、陽の光を優しく弾く綿アメの髪が、もつれて捩れてばさばさになり。


可愛く形作られるピンクの唇が、荒れてひび割れ、血の気が引いた茶色になり。


何よりどす黒く汚れて返り血のついた肌と変色したドレスが。


妖精ではなく、さりとて人と云うには問題がある、そんな存在になったのだと語っていた。



さり気に人外設定しちゃいました・・・あ、妖精だからもともと人外だっけ・・・?

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