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破国の召喚神   作者: 松本 豊
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〜会合①〜

ーーーヴェン達の家ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「これから具体的な行動に出たいと思っている。」


ヴェン達はダイニングに集まり、これからの隊の具体的な計画を確認した。


「昨日言ったが、北西の地ハームリック城を俺たちの拠点とする。だがそれには問題がある。」


「問題?」


レオンの質問にはハルが答える。


「ハームリック城の前に3つの城が存在するの。そこがただの無人の城なら何も問題はないんだけども、城にはそれぞれドワーフ族、古の魔女達、そして狼人族が住んでいるの。過去に国王軍からの侵攻をことごとく撃ち破ったのはこの3城の兵達だったんだよ。」


ハルの説明にヴェンが続く。


「そこを無視して新興勢力である俺たちがいきなりハームリック城を拠点とするとなると、その3種族からの攻撃を受けかねない。だから前段階として正面からその3城を"落とす"必要がある。」


話の最中、レオンには強く引っかかる点があった。


「その3つの城を"落とす"って、、そこに元々住んでいた人達を、、殺して奪うって事?」


ヴェンは少し笑みを浮かべながら説明した。

レオンの口からその質問が出る事を予め分かっていたようでもあった。


「そこに関してはそんな物騒な事はしないさ。もちろん最悪の場合はそうなる事もあるかとも思ったが、そんな方法で奪った土地に俺は住み着くつもりはない。」


レオンはほっとしたと同時に、そうであれば城を取るための方法が気になった。

元々そこに住んでいる者に対して衝突を避ける方法などあるのだろうかと考えた瞬間、ヴェンはまたもそんな気持ちを見透かしたかのように説明する。


「そもそも彼らに城を出て行ってもらうつもりもない。落とすという言い方は語弊があったな。正確には彼らにも俺たちの仲間になってもらう事で俺たちがハームリック城を使用する事を認めてもらう。」


それが大きな理想である事は分かるが、本当にそんな事が可能なのか疑問がまだ多く残っていた。しかし、ヴェンからは驚きの返答が帰ってきた。


「そしてそれはもうほとんど終わっている。」


レオンはその答えに目を丸くした。


ヴェンの話はこうだった。


ハームリック城を手に入れるための前準備として重要となる周辺3城との"友好条約"は、各城に2人ずつ派遣した仲間達の働きですでに大枠は決まっており、あとはこちらのリーダーであるヴェンが近日それぞれの城に出向き、各城の城主と契約を交わすのみだという。


「すごい、もうすでにそこまでの段取りが済んでいるなんて、、」


レオンは驚愕するしかなかった。

そして次にそんな大仕事をやってのける、未だにハル以降は出会っていない未知の仲間達が気になっていた。


「残りの仲間は今どこに!?」


レオンは高鳴る気持ちを抑えきれず、前のめりでヴェンに尋ねる。


「2日後に一旦全員ここに最終報告を兼ねて集まる事になっているよ。その後、俺がそれぞれの城に出向き調印を済ませる予定だ。だから、そこでお前の事も他の仲間に伝えようと思う。」


皆が全員集まるまで、レオンはヴェン、ハルと共に基礎的な戦い方の特訓をしながら待つことになった。


ーーーー2日後ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


レオンが朝目覚めると、1階の食事場が賑やかになっていることに気がついた。


「ん?どうしたんだろ?」


一階に降りるとハルと黒髪で短髪、服の上からでも鍛え上げられた体が分かる大柄ではないが屈強な男性が何かを言い争っていた。さらに男性はレオンが初めて見るような鮮やかな衣装に身を包んでいる。


そして長椅子にはもう一人、落ち着いた雰囲気で丸メガネの男の子がその様子を眺めていた。歳は同じくらいだろうか。


「なーんで帰ってきて一発目の料理の当番がお前なんだよ!大体なんでお前の料理はこう、いつもいつもこんな甘ったるいんだ!ヴェンはいっつもこんなもん食って何にも言わねぇのか!?」


(あ、それは僕も思ってた。)

レオンもハルの料理に関して彼の意見に概ね賛成だった。


「みんなが任務に出てってからご飯はほとんど私が当番なの!てゆーか、久しぶりに会ったのになんなの!?ちゃんとご飯が用意しただけありがたいと思え!」


ハルの初めて見る怒ったような表情だった。しかし言い争ってはいるけど、二人ともとても楽しそうだ。


「はぁ、、、大体なによその服。あんた魔女の城でなにやってたの?」


「あ?あぁ、これは魔女ん所の長が俺のボロボロになった服を見て俺の要望通りに作り直してくれたんだ!どうだカッコいいだろ?」


「あんたの要望って、、その肩から出てる棘とか腰の変な形のベルトとかそのキンキンに尖ったなんか出て来そうな靴とか!本当に全部カッコいいと思って着てんの!?コルト、お願いだからそんな服で私と一緒に外に出ないでよ」


「な、、なんだと、、!?」


この時レオンも密かにショックを受けていた。

(な!?あれって、、女の人からするとカッコ悪いのか?)


男は傷ついた心を必死に隠そうとしていたが、遠目に見ても大量の汗をかいて動揺している事が分かった。


「ふ、ふふ、ハル、お前は料理といいどうもセンスが欠けてんなぁ。さっき外で会ったリンナは良いって言ってくれたがな、、。」


「え!?リンナさんも帰って来てるの!?早く言ってよ!じゃあ、ミストラもちゃんと全部食べるんだよ!」


ハルはメガネの少年にも声をかけ、満面の笑みで外に出て行った。


「ったく。俺の時とえらい違いだな。ミストラ、お前それ食えなかったら外のフラワードラゴンにでもあげてこい。」


コルトと呼ばれていた男性も椅子に座りながら男の子に声をかける。


レオンもそろそろ出て行こうかと思ったその時だった。


「で、お前がヴェンの言ってた新しい仲間か?」


レオンはその言葉に驚いた。男はこちらを一度も向いていないにも関わらず存在に気づかれていたのだ。


「あ、はい。ご挨拶が遅れてすみませんでした。僕はレオンです。」


起きたばかりの服装で二人も前に出て男性に挨拶した。


「あ、その服僕が使ってたのだ。似合ってるね。」


メガネの男の子は微笑みながら話しかけてくれた。


「ん〜なんかミストラ、お前とちょっとキャラがかぶる奴だな。ま、何はともあれ歓迎するぜ。そこで聞いてたかも知れねぇが、俺は天下無敵のコルト様だ!んでこいつはミストラ。よろしくなレオン。」


「よろしくレオン君。あ、そうだ!君は話によると動物と喋れるんだよね?後で僕にも喋ってる所見せてよ!」


「何ぃ!?なんだその面白い能力!?俺にも見せて!」


レオンは今日新しい仲間と合うことを心のどこかで不安に思っていたが、二人は拍子抜けするほど優しく受け入れてくれた。


「外にも戻ってきてる仲間が他にいたから後で紹介するぜ。ま、まずは身支度してきな。」


「あ、それとレオン。」


「?」


「お前は、、この服どう思う!?カッコいいだろ!?な!?」


その質問に満面の笑みで答える。


「すっごくカッコいいです!!」


レオンにとってその後のコルトの嬉しそうな顔は一生忘れられない思い出になった。


次回:〜会合②〜




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