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破国の召喚神   作者: 松本 豊
18/28

〜帰還〜


ーーー クロノスの空間 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クロノスの空間では早くも4年の月日が経っていた。


クロノス「これ!シンディア!大人しくしてなさい!」


クロノスの前には満面の笑みで庭先を駆け回る小さな少女がいた。


サラマンダー(ふふ、今日も元気ねシンディア!クロノスおじちゃんはなんか怒ってるから、私と向こうで遊ぼ!)


シンディア「うん!」


サラマンダーとシンディアは簡単な手話で意志の疎通が出来るようになっていた。


クロノス「おーい!あまり遠くに言っては行かんぞ!、、、全くリンナめ!産んでからすぐに修行に出て行きおって!」


リンナはシンディアを出産後しばらくすると育児をクロノスとサラマンダーに頼み、すぐに修行の地ミラーノ高原へ向かった。


クロノス「全く、、(しかし、驚くべきは3人とも一度も意識がこちらに戻って来ておらん。つまり、あれだけの修羅場に送ったにも関わらず一度も死んでおらんという事じゃ。これはひょっとすると、とてつもない事になるかものぉ、、)」


その時シンディアがクロノスの元に駆け寄って来る。それに気づいたクロノスが優しく持ち上げる。


クロノス「どうしたシンディア?いきなり足元に来たら危ないではないか?」


シンディア「お花!」

その手には沢山の花が握られていた。


クロノス「ほっほっほ。これはまた綺麗な花じゃなシンディア!ワシの為に持ってきてくれたのか?」


シンディアは笑顔で頷く。


クロノス「ありがとう、シンディア。(なんとも可愛い子じゃな。願わくば、この子には争いのない世界に生きて欲しいものじゃ。)」


その時、サラマンダーが異変に気づいた。

サラマンダー(クロノス!!"2人"の腕が黄色に光ってる!!)


「おぉ、ついに帰って来る時が来たか!!早速ここに呼び戻すぞ!」


クロノスが杖を掲げると2人がゆっくりと目を開け立ち上がった。


「よくぞ戻ったの。ミストラ、リンナ。」


目覚めた2人の顔は対象的であった。ミストラの目には涙が浮かんでおり、リンナは自信たっぷりの表情だ。


ミストラ「本当に今のは夢だったのか、、。あ、クロノス様、サラマンダー、ただいま戻りました。  ってあれ?この子は一体、、?」


リンナ「ふふ。留守中、世話をかけたな、クロノス、サラマンダー。戻ったぞシンディア。」


シンディアはサラマンダーの足にしがみつきながらリンナを見ていた。

リンナはその様子を少し寂しそうな笑顔で見ていた。


リンナ「無理もないか。お前が生まれてすぐに私は旅立った。」


シンディア「ママ、、?」


リンナ「え、、、?」


サラマンダー(あなたは本当のお母さんなんだもん。この子だってすぐに気づくわよ。さ、シンディア!ママに目一杯甘えてきなさい。)


サラマンダーは背中を押す。


「ママ!」「シンディア!!」


二人は駆け寄って強く抱擁をした。


親子の感動の再会だったが、ミストラは唖然としてその様子を見ていた。


ミストラ「リンナさんの、、、子ども、?」


その後、シンディアがヴェンとリンナの子だと分かりさらに混乱したミストラであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クロノス「では、本題に入ろうか。二人とも、お前たちをそれぞれ4年間と3年間旅行に行かせていた訳ではない。どれだけ強くなったか、もう一度2人でワシに挑んでこい。」


それを聞いた2人は不敵な笑みを浮かべた。


ミストラ「今回は少しはクロノスさんの本気を引き出したいですね。」


リンナ「確かにちょうど良い実験台だ。」


そういうとリンナは右手をクロノスに向けた。


クロノス「まずはリンナか。(さて、、楽しみじゃな、、)」


その瞬間、クロノスの体が宙に浮き始めた。


クロノス「な!、、(馬鹿な!ワシの体を持ち上げているのか!?)」


すぐに事態を把握したクロノスは全身の力を入れて踏ん張った。


クロノス「ふふ、なめるなよ小娘ぇ、、!(まさか人すらも能力の対象とするとはな、、。)」


リンナ「流石に神を自在に操るなど無理か、、ではこれならどうかな?」


クロノスはリンナの左手が天に向いており、ミストラがいない事に気づく。

すぐさま上を向くと、そこには雷雲を従えたミストラがリンナの能力で浮いていた。


「クロノスさん、受けてもらいますよ!」


ミストラが指をさすと、クロノスを雷の槍が襲った。


クロノス「ぐおぉぉぉ!!!!(これはまさしくゼウスの雷撃!)」


クロノスは膝をついた。


リンナ「私は3年、ミストラは4年の修行で神から1ダウンだ。悪くあるまい?」


ミストラ「どうでしたか!?クロノス様!」


汗にまみれたクロノスは2人を見て微笑んだ。


クロノス「ま、まぁまぁかな、、だって!ワシ、本当は戦うタイプの神じゃないんじゃもん、、」


予想外のクロノスの言葉にリンナもミストラも呆気にとられた。


サラマンダー(ぷっ、、なにそれかっこ悪い!)

シンディア「きゃっこわるーい!」


辺りは笑いに包まれ、即席の報告会は終わった。

そしてその後は全員で久しぶりの再開を喜んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次の日の朝、ミストラは未だに眠るレオンの顔を眺めていた。


ミストラ「レオン、、僕とリンナさんはもう戻って来たよ。今レオンもきっと大変な中頑張っているんだよね。いつでも待ってるから。」


そうしてミストラがもう一度自分の寝室に戻ろうとした時に事件は起った。


何か不穏な気配を感じたミストラは外に出ると、クロノスが殺気を帯びたまま遠くを見つめていた。

リンナとサラマンダーも同じ気配を察したのかすでに外に出ていた。


すると、遠くから1人の男がゆっくりと歩いてくるのが分かった。

男の正体をいち早く理解したクロノスの口から驚きの人物の名が出てきた。


クロノス「随分と久しぶりじゃな"ネロ"。なぜここに入ってきた?」


ミストラ(今、、ネロって、、?まさか、、)


ネロ「いきなり臨戦態勢ですか?お師匠様。」


リンナ「師匠だと!?どういうことだクロノス!?」


クロノス「、、後で話す。今は奴から目をそらすな。」


ネロは敵陣の中にいるというのに、まるで遊園地にきているかのように無邪気な笑顔で喋り続ける。


ネロ「皆さん、俺は別に戦いにきた訳じゃないよ。相談に来たんだ」


ミストラ「相談、、?」


ネロ「手短に言うよ。レオン君がここにいるって予想したんだけど、僕にくれない?」


一同はネロ襲来の目的を知り驚きの表情を浮かべる。


ネロ「当初はミストラ君で良かったんだけどね。レオン君が召喚神の力を持っているならそっちの方が話が早いからね。」


その時ネロに向かって巨木が飛んでいった。


ネロ「おっと!」


ネロは素早く木を躱す。


リンナ「これが答えだネロ。レオンは絶対に渡さん!」


クロノス「リンナ!?」


ネロはニヤリと笑いリンナを見つめる。


ネロ「ハイクの報告よりずっと強そうだ。ここで修行を受けたんだね。でも、リンナさん、家の中に"大切なもの"がいるのにそんなに好戦的で良いのかな?」


リンナ「、、っ!(シンディア、、!?)」


クロノス「奴の言う通りじゃリンナ。今は事を荒げるな。」


ネロ「さすがお師匠様。で、この状況を事を荒げずに乗り切るには、レオン君を渡してくれるしかないんだけど、どーしますか?」


クロノスは答えることが出来なかった。


「迷ってますか、、。かつてリラを死に導いたように、すぐ決断すれば良いでしょう?」


「!!!!???」


クロノスは苦悶の表情を浮かべる。


「ははは!神である貴方のそんな顔が見られるなんて、久しぶりにここに来た甲斐がありましたよ。」


クロノスはネロに問いかける。


クロノス「ネロ、、確かにワシは結果として取り返しのつかない事をしてしまったな。今でも後悔しておる。」


ネロは笑みを浮かべながらクロノスへ近づく。


ネロ「今さら後悔する必要なんてありませんよ。俺にとって良い教訓になりましたからね。だから俺の作る新しい世界ではもうそんな悲劇は起こらない。」


クロノス「新しい世界、、だと?」


ネロは自身の目的を語った。


ネロ「遥か昔、天空ではゼウスとサタンが争い、ゼウスが勝利した。そして今から300年前に俺が起こした戦争では王国側が勝利した。しかし、その後の世界は争いの無い世界になどなりましたか?」


さらにネロはクロノスに近づき話を続ける。


「誰かの作った曖昧な正義の下で誰も傷つけず、永久に全員が平和に暮らすなど不可能だと長い歴史が教えてくれているでしょう?であれば、本当の意味で人をまとめ上げるのは全てがひれ伏す"圧倒的な力"しかない。」


「かつてサタンが作り出そうとしていた世界の様に、、ね。」


クロノスはネロの言葉の意味がはっきりと分かった。


クロノス「お前の真の目的はサタン軍の復活か?」


ネロ「その通り。そして精霊にも4人の精霊がいる様にこちら側にも封印されし4体の伝説の魔獣がいる。それらの解放をレオン君には手伝って欲しいんですよ。」


クロノス「何を、、!?魔獣が復活したとて、そんな者どもがお主に従うとでも思うのか!!」


その瞬間ネロの放つ魔力の質が変わった事をその場にいる誰もが感じていた。

ネロの顔半分を闇が覆い、そこから覗く赤く怪しい瞳でクロノスを見つめながら歩み出す。


ネロ「黙って従えクロノス、もうこの世界は俺の敷いたレールの上を乗り、走り出しているんだよ。」


クロノス「(今だ、、、!))


油断しているネロが話しながら自分に極限まで近づいてきた瞬間、クロノスはネロの体を掴んだ。


ネロ「なんの真似だ?」


一瞬の出来事だった。クロノスとネロは瞬間移動で別の場所に移動したのだった。

そしてクロノスのいた足元には杖が置いてあった。


ミストラ「クロノス様!!」


リンナ「く、一体何を!!しかし恐らく外界に出た訳ではない!この世界のどこかにいるはずだ!探すぞ!」


ミストラ「待って!リンナさん!!」


その言葉にリンナは動きを止める。


「そんな、最後にネロの体から放たれた魔力の強さは僕の行っていた過去の魔界の精鋭クラス、、いやそれ以上だったかも。それに、、4大魔獣の復活、、??そんな事したら、今度こそ取り返しのつかない事になるぞ。」


ミストラは修行の記憶の中で、魔族の強大な魔力を経験していた。天界での争いはそれぞれの長であったゼウスとサタンの戦いは特に壮絶で、戦争はゼウスの最後の力でなんとかサタンの封印に成功したのだった。その過酷な戦いの中でミストラの実力は大きく向上しゼウス軍の戦力として活躍したが、それでも最後まで魔族の精鋭クラスには敵わなかった。


ミストラ「もし仮にネロがかつての魔族の精鋭クラスの力を体現出来るとしたら、、、過去でもそれに対抗出来たのはゼウス様とその側近達だけだった。今の僕たちが行っても立ち向かう術はない。」


リンナ「では、私たちはどうしたら、、」


ミストラ「とにかく、ここに居ては危険だよ!レオンとシンディアを連れてここから一旦離れて身を隠そう!」


そう確認しあった2人はそれぞれレオンとシンディアのいる寝室に向かった。


そしてミストラとサラマンダーがレオンの部屋についたその時だった。レオンのその腕輪が"赤色"に光り輝き出した。


サラマンダー(レオン!?良かった、、すぐに連れ戻すね!)


外に連れ出し、レオンに向けてクロノスの杖をかざすとゆっくりと目を覚ました。


「、、ミストラ?サラマンダー? 僕は、、そうか、、あの時代から戻ってきたんだ。」


その時サラマンダーは体に異常な力が湧き上がるのを感じた。


しばらくしてリンナ達が走って駆けつけた。


「レオン!戻ってきたのか!?」


レオンは周りを見渡しながら、ゆっくりと立ち上がり口を開く。


「状況を、、教えてくれないかな?」



次回〜ネロ①〜




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