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破国の召喚神   作者: 松本 豊
17/28

〜修行開始〜


ーーークロノスの空間ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


リンナが杖を返し、サラマンダーがクロノスを説得してなんとかその場は収まった。


サラマンダー(全く、クロノス!あんた何やってんのよ!)


クロノス「ファッファッファッ!懐かしいなサラマンダー!お前にそうやって怒られるのも久しぶりじゃ!」


サラマンダー(もう!のんきだなー!)


3人はこの2人のやり取りを横目に、これまでの経緯を報告し合っていた。


リンナ「レオン、まさかお前があの4大精霊のうちの一人と共にいるとは驚きだ。」


ミストラ「僕も、精霊が実在するなんて思ってもみなかった。さらにそれを普通に従えてるレオンにはもっと驚くけど、、」


レオン「自分でも理解が追いついてないよ。でも、まさか2人もここにいるとは驚いたよ!本当に無事で良かった。」


リンナとミストラは顔をそらす。


ミストラ「その事だけど、、、ごめんねレオン、、コルトは、、ネロの兵に殺された」


レオン「、、え?」


リンナ「バロンも私をこの空間へ逃す為に敵の大軍を相手に1人盾となり、、おそらく、、」


ジョー以外は全員が無事だと祈っていたレオンは、その現実を受け止められなかった。

3人の間には重い沈黙の空気が流れていた。


その様子を見ていたクロノスがサラマンダーに尋ねる。


「さて、しばらく来訪者のいなかったこの空間になぜ急にこうも人が現れる、、外界では何か良からぬ事が起きたのか?」


サラマンダー(ネロが復活したの。奴の軍の攻撃で、あの子達は多くを失った。)


ネロの名を聞いた途端にクロノスの表情が曇った。


クロノス「ネロとはな、、また懐かしい名前だ。しかし奴は確か、、」


サラマンダー(えぇ、かつての大戦で私たちが封印した"はず"だった。しかし、どういうわけか封印は解かれ、また力を付け始めている。)


クロノスは事の重大さを理解した。


クロノス「何はともあれ、ここに来れた以上もちろん修行は拒まぬ。が、まずはこやつらの事を知りたいのぅ。どの程度の実力を持ち、どの程度の人間性を持つのか、、(とはいえ、1人はゼウスの道より現れ、1人は4大精霊を手懐け、一人はその身に小さくも強力な何かを宿しておる、、この幼さでどれも只者ではない)」


そういうとクロノスは立ち上がり、3人を睨みつけた。


「小僧ども!!!!」


3人は突如空間に鳴り響いた声に顔を上げた。そしてクロノスの発する威圧感に圧倒された。


「さっきまでとはまるで別人だな、、、」

リンナの頬に一筋の汗が流れる。


「お前達に修行をつけてやる!まずは手始めにお前達の今の力を確認する!とりあえずワシの顔に一発入れたら貴様らの勝ちじゃ!まとめてかかってこい!!」


3人を睨みつけたまま、クロノスは大きな声で語りかける。


「よく聞け!弱いから先ほどの様に悲しむ事になるのだ!!お前達が強ければ大切なものを奪われる事などなかった事をしっかり心に刻め!!そしてその気持ちを修行中片時も忘れるな!次は必ず邪悪な敵の好きになどさせるな!!」


ミストラはその言葉を聞いて時空の裂け目に入る前の老人との会話を思い出していた。


老人「ミストラ、もう過去を悲しむではないぞ。前を向け。お前が強くなり世界を救う事が出来たのなら、お前を救ったコルトとやらの死もそこで大きな意味を持つ。そしてコルトという英雄は後世にまで語り継がれ、その意思は生き続けるのだ。」


ミストラの目には決意の火が灯る。


ミストラ「(コルトの死は絶対に無駄にはしない!)クロノス様、これからよろしくお願いします!!」


リンナ「もう何者も、私の前で好き勝手にさせん。」


レオン「(もう、、悲しまない。僕は必ず強くなる!)やってやる!」


クロノスは3人の表情を見てわずかに微笑む。


クロノス「では!始める!!こい!小僧ども!!」


ーーー 3時間後 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クロノスに全ての力をぶつけた3人は、疲れ果て倒れていた。


そして3人を見下しながらクロノスは思考に耽っていた。


クロノス「なるほどな。(レオンは言わずもがな精霊を呼び出すほどの潜在能力を秘めた"召喚士"。そしてリンナは"浮遊"の魔力で生命の宿っていない物に限定されるが自在に操る事が出来る。そして、戦いの最中の突然の突風や雨、驚いたがミストラは"天変地異"の魔力を宿している。)」


(しかし、、)


ネロが相手というのであればクロノスは彼らの魔力のレベルがまだまだ不十分であると悟っていた。


クロノス「(思った以上に皆魔力が弱い。サラマンダーは本来の力の10分の1も出せていなかった事や、リンナも浮かせられる物質の重量がまだまだ軽い。そして、ミストラ、、このままでは奴の魔力は戦いの手段としてはまず使えない。」


その日はそのまま全員に休息を与え、翌朝クロノスは全員を集めた。


クロノス「お前達は早急に奇能石の力をもう一段階上げる必要がある。レオンの腕輪は緑色だが、これは奇能石の初期の色、つまりレベル1の段階だ。恐らく後の2人も同様であろう。」


レオンは過去にサラマンダーに教えてもらった奇能石の仕組みを思い出していた。


レオン「レベルは3段階あって、それは色によって分かれているんですよね?」


クロノス「その通りじゃ。己の魔力を最大限にしたければ、レベル3の赤色を目指す必要がある。故にお前達はまずは取り急ぎ黄色のレベル2になる必要がある。」


リンナ「そうなるにはどうすれば良い?」


クロノス「黄色から赤になるにはある条件がいるのじゃが、黄色までなら鍛えれば上げることが出来る。レオン、こちらにこい。」


レオン「はい?」


呼び出したレオンの頭上に杖をかざすと、レオンがその場に倒れ込んでしまった。


ミストラ「な、一体何を!?」


クロノス「レオンの意識はまだこの大陸をドラゴンが支配していた古の時代の記憶に飛ばした。その世界で己の力を使って生き残る事とそこで出会う人物と一緒にある真実を解き明かす事が修行じゃ。」


サラマンダー(えっ!?だったら私も一緒の場所に連れてってよ!)


クロノス「それはならん。お前が行けば獣くらい全部倒せちゃうから修行の意味がなかろう。安心するな、もし仮に向こうで死ぬ事があれば、意識は再びこの体へ戻ってくる。」


さらにクロノスによると、飛ばした意識と現実の体はリンクしており、あちらで経験値を積めば現実の強さにも反映される。修行で向かう過去の出来事は全て仮想の世界での事で、結末が史実と違ったとしてもそれぞれの行動が未来に影響することもないという。


さらに修行の終わりは飛ばした過去の中の主な出来事を解決した時で、現実世界では奇能石が輝く事がその合図となっている。過去の出来事を経験できるのは最大でトータル7年間、もし仮に1年で戻ってきた場合は残りの6年分でまた他の過去にも行く事ができるとクロノスは説明した。


クロノス「ワシらはのんびりここで待って、それぞれの奇能石に変化があったらこちらに呼び戻す。簡単な仕事じゃ!はーはっは!」


陽気なクロノスとは違って、説明を聞いたミストラとリンナは目を丸くしていた。


リンナ「なんてふざけた場所だ、、。」


そしてクロノスの異次元の力に驚愕すると同時に、リンナはバレンがこの地へ連れてきた理由が分かった。

「(ただの修行ではなく、ここでクロノスのこの力を使いネロに対抗する力をつけろという事だったのか)」


クロノス「次はミストラじゃな。」


同様に頭上に杖をかざし、ミストラも意識を失う。


クロノス「ミストラはレオンよりも過酷かも知れんのぅ。天変地異の力を有するのであれば、神の戦いを経験した方が良かろう。かつての天空の覇権を争っていた"ゼウス"と"サタン"の争いにゼウス軍として参加し勝利に導く。」


クロノス「次は、、」


クロノスはリンナの顔を見る。


リンナ「私はどこに飛ばされる?2人のように飛んでからのお楽しみか?」


クロノス「いや、お主は一旦ここに残れ。お主は現在2人よりも戦闘力が高い。後からでもすぐに追いつけるじゃろう。」


リンナ「な、なぜ!?私には時間がない!バロンの為にも、一刻も早く強くならなければ、、」


クロノス「お主の気持ちがわからぬ訳ではない。しかし、お主のお腹の中の子の無事は何より最優先させるべきと思うが?」


リンナはクロノスの言っている事が理解できなかった。


リンナ「私の子ども?何を言っている?」


クロノス「もちろん、お主はまだ何も感じないであろう。しかし私はどんなに小さな生命でも感じる事が出来る。間違いなくお主はその体に子を宿しているよ。」


クロノスは笑ってリンナの顔を見る。


サラマンダー(良かったね!リンナちゃん!)


リンナ「本当か、、?」


リンナの目からは自然と涙が溢れる。


(、、、ねぇ、ヴェン。私たちの子どもだって。何があってもこの子はあなたに会わせて見せるから、、)


クロノスは突如大きく笑いながら天を仰いだ。


「さーて!レオン、ミストラ、ここでの滞在期限は最大で7年間じゃ!もたもたする時間はないぞ!」


次回〜帰還〜


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