あいう
大きな滴が地を濡らすとそれは大洪水となり、
怒りに我が身を任せるとそれは大地震となり、
世を左右した────────。
それが、異能と呼ばれる世の始まりであるイザナミの信書に残された名文である。
そんなイザナミの聖教と呼ばれる教会は誰でも入れる場所ではなく、今は鬼が住まうと言われ荒地となっていた。
[おぉ、おいたわしや……]
[倅をやってしまおうか]
[やまぬ……やまぬぞ]
鬼頭はするりとした長髪を垂らしながらポタポタと大粒の泪を流していた。
「「失恋」」なさったそうだと1匹の鬼が呟くと地には火が吹き荒れた。
同じ人間の皮を被ったもの同士だった。可愛げがありながら歌は上手で声のトーン全てが愛おしかった。
だが……彼は週に1度それを迎える。
[病み鬼]を。
心が腐る……誰も信じれないひとりにしてと病みに病み散らかす心の病である。
もちろん、芯の強い鬼であればそれはなんごとなき事ではあるが
彼は鬼の階級は高くも心は弱かった。
そして彼は……最後までワタシを好いてはくれなかった。
結婚の約束もして子供も欲しいと言ったのに……
お子もできたのに……
[恋愛]なんてものは煩わしい。
なんて煩わしいものなんだ。
やってポイっなんてする……不届き者に末代の呪いを掛けてやる。
それから何千年以上かけているのが僕らしい。
どうやらの末裔らしいが現代に異能なんて漫画やアニメの世界。
なのに……何故か陽性反応だと言われ収容所送りにされ早々に高校デビューし損ねた若きJKです。
[誰か助けてください]