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シューヤ

「お父さんじゃないだろ?ダーリンとか、お兄ちゃんと呼んでくれないかな」


シューヤが少し拗ねてる。


お兄ちゃんってどんな感じか分かんないし。それにダーリンって何?共通語かな?

記憶には無いけど、何となく「お父さん」の方がしっくりくる。


「シューヤ、今帰ったの?」


アオイ姉さんはウキウキな感じ。キリが良いし、これで魔法の練習は終わりかな。

一応、魔法の発動は出来たんだから。


「あぁ、さっきね。しばらくしたら、また出かけるけど。とは言っても数日は居るかな」


そうだ、肉の件。


「ねえ、シューヤ。4日連続で肉なんだけど。別のもの食べたい」

「別のものって?……魚とか?」

「さかなって?何」

「ムラサキは食べたことなかったっけ?海にいる魔物のことだよ」

「それって、結局、肉でしょ?」

「肉って言えば肉だけど、肉とは違うなあ。魚なんだよね」

「さかなって魔物の肉でしょ。肉じゃん」


シューヤとわいわい言い合いしていると、アオイ姉さんが入ってくる。


「ムラサキ、あんたねえ……じゃあ、何が食べたいのよ」


えぇっとね。アレっ!アレっ!美味しいヤツ。


「カミキリソードの幼虫とか!ミドルワームとか!」


あの、何とも言えないなめらかな食感がいいんだよね。

シューヤの表情が、うげっ、て感じになる。


「今度、魚を買ってきてやるから、それにしよう、な!ムラサキ」

「あんた、魔法を覚えたでしょ、それで鳥でも獲りなさい!」


シューヤだけでなく、アオイ姉さんも別のものをすすめてくる。でも鳥も肉だと思うの。


「じゃあ、さかなでいいや」

「おぉっ……そうだな。今度、買ってくるよ」


その後、しばらく近況などを話していると、シューヤのどっかん魔法の話になった。

アオイ姉さんは昨日から気になっていたらしい。


「いや、どっちかというと光だね。この一帯吹き飛ぶから、ここではちょっとね。」


何となしにシューヤとアオイ姉さんの話を聞いているけど、何の話をしてるか、分かんない。

でも、魔法を発動できるようになったからだろうか?

なんだか魔法って面白いって思えてきた。


「ねえ、シューヤ。ほかにも何か面白い魔法ある?」

「色々あるよ。でもムラサキは、まずは基本的な魔法にしてごらん?」


そうだけどさ。

でも、今は出来なくても「こんな事も練習すれば出来るようになるかも?」って、知っておきたいじゃない?


「そうだ、ムラサキ。ファイアボールが発動出来たのなら、多分、ステータスも自分自身に唱えるのであれば、発動すると思うよ。ちょっと、やってごらん?」


そうかな?さっそく詠唱の言葉を教えてもらうと、さっそく試してみた。


「自らの 相と力能を表せ。ステータス」


上手く行くか心配だったけど、ちゃんと出来た。

少しぞわぞわっとした感覚がしたかと思うと、目の前に透明な文字板が現れる。


ムラサキ=カノ

年齢 8 

称号 タラム人、孤児、シューヤのハーレム候補

レベル 2

HP:10  MP:5  SP:3

筋力: 1 精神力:6  胆力:8

素早さ: 4 持久力:4 器用さ:7 運:8

スキル: 短剣(Lv1)、詠唱魔法(Lv1)、算術(Lv1)

     エクメネ共通語(Lv)、タラム語(Lv)

状態:胃もたれ(軽)


「ほらっ、ちゃんとスキルに詠唱魔法が出ているでしょ?ムラサキ。私のおかげねっ」


アオイ姉さんが得意げだ。そうだけどさ。でも、頑張ったのはわたしだと思うよ。


「ねえ?アオイ姉さん。詠唱が違うからかな?昨日見たのと違う感じだけど、何で?」


何だか表示される文字が少ないし、それにスキルが他にもあった気がする。

詠唱魔法は確かにあるけど、それって、気になる。


「詠唱に応用を加えているの。あれだと基本的な詠唱に比べて、普通では表示されない所まで分かるし。それに芽っていうの?きざしのようなものも分かるのよ」


へぇ、便利じゃん。今度やってみよ。


「あんたには未だ無理ね。あれって、その分だけ魔力を必要とするし。それに詠唱に対する理解も必要になるから。夜のお勉強の時間をもっと増やす?」


わたしはすぐさま、ぶんぶんと首を振って「このままで十分です」アピールをした。何事も程ほどが良いのですよ。

寝る子は育つって言うらしいし。夜更かしは乙女の大敵、怨敵、御年8歳なのですよ。


「そうだ、あんた。勝手に森に入っているでしょ。忍び足のスキルを習得しそうな感じになっていたわよ。それに調合とか……変なもの混ぜ合わせていたりしてないわよね?」


あれっバレてる?いや?確証はないはず。


「そうだ。ねえ、シューヤ。ハーレムって何?」


多少強引に話題を変える。それに気になる言葉ではあったのだし。


「うーん、そうだねえ。……僕の夢って感じかな?」


んん???


「あっ、私も知りたい。アレってなに?ムラサキの他に、私やハナチルサトにも付いているのだけど」


アオイ姉さんも気になるよね。ふふん。忍び足はしょうがないとして、調合についてはこれ以上の追及をされる訳にはいかない。

そうだ。ハナ姉にもあるって?何なんだろう?


「で、何?なんなの?」


あれ、なんか誤魔化そうとしている?でも、アオイ姉さんの追及は簡単には止まらないよ。

さあ、お答えなさい。永世女王様であらせられるアオイ様の言うことは絶対なのだ。


「……んんっと、そう!家族!みんな家族になるって事だよ」


家族かあ……えへへ。それなら、やっぱし、シューヤはお父さんだね。

アオイ姉さんにハナ姉。それにビアンカも。

ビアンカの方が年上みたいだけど、わたしの方が、お姉さんって事で。

そうだ、今度、ビアンカにはムラサキ姉って呼ばせよう。


「そう、分かったわ」


アオイ姉さん少しうれしそう。今日は良い日だね。


「そうだ、アオイ、ムラサキ。まだ伝えていなかったよ。そんな家族がまた増えることになりました。フロウラちゃんって言います。……仲良くね?」


良いことって重なるもんだね……あれっ、どうしたの?アオイ姉?MPの渦が見えるけど。



あんまり覚えていないけど、いつの間にかオンボロ小屋に帰っていたわたしは、ハナ姉からフロウラって子を紹介された。

ビアンカと同い年の女の子だって。この子もハーレム候補なのかな?

仲良くしようね。

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