合同訓練の報酬(2)
「一応メモリー使用使用権限の拡張はいつでもどこでも使えるという訳ではないんだ」
五十嵐は語りかけるように言った。
「つまり、緊急時のみに使えるみたいな感じですか? 」
宗平は聞き返した。
「大方そうだ。 その理由としては、さっきお前が言っていたクライアントに多少にでも負担がかかるかるのが一つだ」
五十嵐は頭を掻いている。
「ただ勿論クライアントの命に関わるような負荷が掛からないようには設定されてはいるから、実際そこまでクライアントに対しては気にする必要はない……ただ」
「ただ?」
宇佐美は五十嵐の言いかけた言葉に同じ言葉で返す。
「使う本人にかなりの負荷がかかる」
深刻そうな顔で言う。
「まって、やっぱそれ報酬としては釣り合わないんじゃない? 」
宇佐美はさっきまでの言葉をなかったかのように、手のひら返しをした。
「いや、その負荷がかかるって言うのは連続使用する時だけだ。 任務で1回使う程度じゃ支障をきたさない」
ふーんとまたつまらなさそうな顔をする宇佐美に五十嵐は呆れた顔をした。
「そんなにメモリー使用の権限拡張の凄さを知らないなら、一度試してみるか? 」
突拍子も無い提案に宇佐美は驚いた。
「どうやって? 」
宇佐美は首を傾げながら聞いた。
「仮想空間の訓練室」
五十嵐はメアリーに準備を促した。
彼女の顔はいかにも嫌そうな顔をしながら、ため息つきながらガラス張りの部屋へと向かった。
「そういえば、メアリーさんがそう言う風に準備するの初めて見ました」
宗平は体に不釣りあいな巨大なモニターの前にメアリーを見た。
「今まで見ていなかったってことですか? 」
メアリーはしかめ面しながら、机に映し出されたキーボードをタイピングしながら言った。
「いやいや、今まで他の人が準備してると見れなかったので…」
申し訳なさそうに言うと、メアリーは機嫌を直したのか部屋の説明をした。
「ここはDDNの中央制御室、もしくはオペレーション室と呼ばれているところです」
モニターにはフルダイブしている人の心拍数、脳波、体温、メモリー使用量、CPU使用率の数値が随時記録されていた。
「後、メアリーさんの呼び方前から嫌いなんです」
冷たく言った。
「じゃなんて呼べば? 」
宗平は申し訳なさそうに聞いた。
「Dr.メアリーと呼んでください」
偉そうに腕を組みながら小柄の少女は言った。
「じゃメアリーって呼びますね」
宗平は嫌味たっぷりに言った。
「ちょっと話聞いてました? 」
かなりあわあわとしているメアリーはとてもドクターをつけるのには不釣り合いに思えてしまう。
「メアリー早く準備を」
五十嵐は咳払いしながら、メアリーに指示をする。
「それじゃガキどもに見せてあげるか」
彼の表情はいつもに増して子供らしい__目が輝いていた。
全員がDNNの準備が完了し、メアリーはスイッチを押した。




