デモ隊
宗平はナビゲーターの支持通りに目的地、新宿に着いた。
流石の大都市、人混みがある。ただ今日はいつもより人が多いと思っていた。
「DDN反対!! 」
「仕事を奪うDDNを許すな! 」
物々しく男たちが拡声機を片手に駅前で叫んでいる。
デモ隊。
DDNの<<バベルの塔計画>>発表辺りからデモ隊の存在が浮上した。<<レジスタンス>>と彼らは自らを名乗り計画の妨害を行っている。当初は仕事が無くなる危惧から一定数の支持を得ていた。しかしリーダーであった三島が先月DDNに入ると報道されたことをきっかけに組織は壊滅的になり、支持者は離れていった。
宗平は面倒事に巻き込まれないように避けて歩いた。
「ちょっと、君! 」
優しい笑顔と黒縁メガネが特徴的な30歳くらいの男が声を掛けてき
た。
「はい、なんでしょうか?」
少し嫌そうな顔しながら答えた。
捕まったか
「レジスタンスに興味はないかい?一緒にDDNに奪われた仕事を取り戻そう! 」
どこか誇らしげに男は言う、その瞳は真っ直ぐに宗平を見ていた。
「あっそれ実現すればいい話ですね……」
あははと笑いながら社交辞令をした。
「じゃ、加入ってことかな?ここにサインおねが…」
強引なところをみるとどこかの宗教勧誘の近いものを感じたと同時にどうしてもレジスタンスには耐えられないものを宗平は感じていた。
「リーダーが相手に寝返るようなとこには入りたくはないですけどね」
相手に被せるように小声だがわざと聞こえる様に言った。今は仕事探しに忙しいのに、叶いもしない夢を語られイライラしているのだ。
「おい、お前今なんて言った? 」
男のさっきまであった優しい顔は消え、鬼の形相へと変わった。いつの間にか宗平は5、6人の男たちに囲まれた。
「こう言うガキは痛い目見ないと行けないみたいだな」
メガネの男の声は低く、謝ったら許してくれる雰囲気ではなかった。
宗平は後悔したが、時すでに遅し。
頬に拳の感触を得た直後視界が暗くなった。